アイアン用のスチールシャフトの中で、国内トップメーカーの製品と海外トップメーカーの製品を比較すると、自分にとって必要なものが見えてくるようになります。
今回は、代表的な軽量スチールシャフトのN.S.PROとスチールシャフトのダイナミックゴールドで比較した結果から得られるものを紹介します。
アイアン用のスチールシャフトカーボンシャフトの比較
近年ゴルフ界では、ドライバーはもうカーボンシャフト一択となっています。
元々カーボンシャフトを開発したのが日本のメーカーですから、国内に浸透して認知されるまでのスピードが早かったこともあり、シェア確保に成功した考えられます。
一方同時期からアイアンもカーボンシャフトが開発され装着していますが、未だにドライバーほどのシェアが確保されてはいないようです。
当時はスチールシャフトと比較しても特別優れていたというわけではなく、「スチール=硬い・丈夫」というインスピレーションがカーボン繊維のシャフトを受けつかなかったのかもしれません。
ちなみにアイアンはカーボンシャフトの装着率は低いのに、釣竿はすぐにカーボンシャフトが受け入れられていきます。
大きくて引きの強い魚でも、折れずに弾力を保つことができることで大人気となっています。
そうしてカーボンシャフトが足踏みしているうちに、スチールシャフトは新たな商品を出してくることになり、その差はますます開いていきました。
アイアン用スチールシャフトの比較対象は重量にある?
アイアンのスチールシャフトは、以前と比較して軽量化が進んでいきます。
コアなユーザーにとっては、スチールの重さが安定に繋がるといっていましたが、徐々に年齢を重ねていくと軽いカーボンシャフトが選択肢に入ってきます。
重さがメリットだったはずが、徐々にデメリットと感じられるようになって軽量化せざるを得なくなるのです。
現在販売されているアイアンのシャフトとしては、軽量スチールシャフトは標準装備となっていて、ゴルフに携わるものであれば誰もが知る人気のシャフトになっています。
特に国内産の「N.S.PRO」は単一の950GHだけで累計3500万本という爆発的な販売数を誇る「日本シャフト社」の傑作品です。
この国内製品の軽量スチールシャフトの双璧が、世界のトップメーカーが作った「ダイナミックゴールド」です。
ゴルフを始めたばかりでも、一度は聞いたことがあろう有名なシャフトです。
世界市場で人気のあるアイアンセットを見ると、ダイナミックゴールドを標準装備にしていることがほとんどで、仮に軽量モデルでもグレードアップで装着を選ぶことができるようになっています。
スチールシャフトの双璧を重量で比較してみる
アイアンのスチールシャフトとして双璧をなす、N.S.PROとダイナミックゴールドを比較してみると、まず重さに大きな違いがあります。
日本国内メーカーが作って爆発的に売れたN.S.PRO950GHの総重量はカット後重量約98グラムです。
わずか2グラムですが100グラムを切ったスチールシャフトは、「カーボンを超えた」と評価されたからこその右肩上がりの販売数の伸びだったのでしょう。
一方世界トップメーカーが作ったダイナミックゴールドは、世界トップランクのプロゴルファーの数多くが使っていますし、日本国内でも特に上級者には人気のスチールシャフトです。
ところが重量を確認すると、DG-S200でカット後でも約119グラムもあり、N.S.PRO950GHと比較すると20グラムの差があります。
カーボンシャフトに対抗できる軽量スチールシャフトを作った日本シャフト社が、重量の比較では勝っていると思えます。
ただしパワーのある欧米人は、、軽量を好む日本人とは違うニーズがあるため、目線の位置によって勝敗は変わってくるかもしれません。
アイアン用スチールシャフトだけを比較しても意味はない?
国内向けと海外向けのアイアン用スチールシャフトを重量だけで比較しても、使用者のパワーが違えば何も意味はないかもしれません。
ただ日本国内で日本人が使用するとなれば、その比較は意味を成す場合もあります。
近年日本でアイアンのスイングの主流となっているのはレベルブローです。
芝を削り取らずに、「シュ」と芝面を擦る程度のクリーンショットを良しとしています。
クリーンなショットは、アイアンのヘッドに芝の抵抗を受けないことから、スクエアフェースを保ちやすくなります。
また抵抗がなくなれば、インパク時のヘッドスピードも速くなってくるはずですから、飛距離もそれなりに伸びてきます。
欧米人と比較してパワー不足が否めない日本人は、正確な距離と方向が必要なアイアンも飛距離を求める傾向が強く、飛びを意識した高弾道のN.S.PRO950GHは、まさに日本人のためのシャフトに仕上がっています。
ただダウンブローで打ち込む場合には、100グラムを切るその軽さはマイナスに作用することもあるのです。
国内外メーカーのアイアン用シャフトを比較した結果
アイアンでも飛ばしたいと考える日本人を欧米人はどう見ているのでしょう。
トゥルーテンパー社のスチールシャフト、ダイナミックゴールドDG-S200は日本シャフト社のN.S.PRO950GHと比べて、正確な距離と方向を出せると言われています。
2つのシャフトのフレックスが同じ表記であっても、ダイナミックゴールドには良い意味での硬さを感じます。
そのシャフトの硬さによって、パワーのある欧米人は引っ掛けの心配もなく思い切って振り下ろすことができます。
ここから分かるように、日本人の多くはスライスを心配しますが、欧米人はフックしないアイアンを求める傾向が強いようです。
しかもパワーを活かしたダウンブロー気味のショットは、いまも主流のスイングとなっています。
ニック・ファルドがg種をまき、アーニー・エルスが育てたボディーターンは、一部のゴルファーが愛好していても、多くは以前と変わらないパワーゴルフができるアップライトなスイング軌道になっています。
レベルブローのような流行にとらわれずオーソドックスなスイングでゴルフを楽しむのであれば、昔ながらの重たいシャフトのほうが扱いやすいのかもしれません。
アイアンのスチールシャフトの比較で分かったこと
アイアン用のスチールシャフトのN.S.PRO950GHと、ダイナミックゴールドDG-S200を比較してみて分かることは、日本人のために作られた軽量スチールシャフトに比べて、パワーのある欧米人に人気のスチールシャフトは使う人を選ぶということです。
一般男性の平均身長がゴルフクラブのライ角の基準となっているそうですが、日本人の平均身長はおよそ170センチ、欧米人の平均身長は180センチと言われています。
もちろん身長だけではなく、体重や筋力なども同様の違いがあるはずです。
一方で日本人は新しいゴルフ理論を受け入れる柔軟性と、その理論を吸収できる理解力が備わっています。
プロでなければ習得できないような進化系のボディーターンを、多くのゴルファーが実践するわけですから、これまた欧米のゴルフ界にはないことなのかもしれません。
単純に国内産と海外産の有名なスチールシャフトを比較したのではなく、それを使う日本人にとってどちらが向いているかを考えてみると、簡単に答えを割り出すことはできるのではないでしょうか。
アイアン用のスチールシャフトをトップ2社で比較
今でも各クラブメーカーが標準スチールシャフトとして選んでいる国内トップのN.S.PROと、世界トップのダイナミックゴールドの性能を比較してみました。
それぞれのコンセプトに合わせたすばらしいシャフトではありますが、日本人にとって扱いやすさを考えると、自分なりの答えを見つけることができるはずです。
ただ現在はカスタムでさらにこだわったスチールシャフトが選べます。
定番でなくこだわりたいのであれば、フィッティングによってさらに違ったシャフトを選択するもの面白いことです。