ドライバーのロフト角度は9.5度にすれば飛距離が伸びる?

最終更新日:2019/12/13

ドライバーの飛距離を伸ばしたいと考えたときに、ロフトの角度を変えるゴルファーがいます。

例えば10.5度から9.5度にした場合、条件次第で飛距離が伸びる可能性はあります。

しかしドライバーの特徴を正しく理解しないと逆効果になることもあるため注意が必要です。

一般的な飛距離とロフトの角度の考え方

はじめに基本的なところからおさらいをしていきましょう。

ドライバーの飛距離を伸ばすのにロフトの角度を立てるという考えは、一般的にどのような考え方から生じるのでしょうか。

ドライバーに限らず、全てのクラブに共通して前提となる情報ですからしっかりと覚えてください。

まず、ロフトの角度の大小について考えてみましょう。

アイアンで考えると分かりやすいです。

ロフトの角度が34度の7番アイアンと30度の7番アイアンを比べて考えてみましょう。

ロフト角は大きいものと小さいものでどのような違いが出るでしょうか。

ロフトの角度はボールの打ち出し角度に関係します。

打ち出し角度が違うということはボールが最高到達点に達するまでの距離が変わります。

ロフトの角度が大きいと打ち出しの角度は高くなり、最高到達点までの距離が近くなります。

一方、小さいと打ち出し角度が低くなり、最高到達点までの距離が遠くなります。

つまりロフトの角度が小さいほうが飛距離が伸びる可能性が高いと考えることができます。

実際に、アイアンの場合は飛び系と呼ばれるものほどロフトの角度が小さくなっています。

ドライバーも同じ考えで10.5度より9.5度のほうが飛距離が出やすいと言えるでしょう。

ドライバーのロフトの角度は9.5~11度

それでは、ドライバーの平均的なロフトの角度はどのようになっているのでしょうか。

ドラコン競技で使う飛ばし専門のものであれば、ロフトの角度が6度や7度といったものがあります。

今回はそういった特殊なものを除き、一般的にアマチュアが使うであろうドライバーの平均的なロフトの角度がどれくらいか紹介します。

メンズモデル、レディースモデルによってもロフトの角度は幅があります。

メンズモデルだと一般的に9.5~11度のものが多くなります。

高弾道やボールを上げやすい物だと12度くらいまであります。

またレディースモデルの場合、11度~14度とメンズクラブに比べ、ロフトが寝ているものが多いです。

そしてメンズモデルとレディースモデルでは、シャフトの長さとグリップサイズが変わってきます。

メンズモデルを使用したい女性の場合は、そのままではどこか妥協することになりやすいため、シャフトカットして長さを調整するか、グリップを細くして握りやすくする必要があります。

そもそも、なぜロフトの角度が違うかというと、ヘッドスピードと打ち出し角度の関係があります。

詳しくは後ほど説明しますが、ヘッドスピードが遅い場合、打ち出し角度が多く必要になるのです。

そのため一般的にヘッドスピードが速くない女性のためのレディースモデルはロフトの角度が寝ているのです。

ドライバーの打ち出し角度の作り方と適正

ドライバーの打ち出し角度について詳しくみてみましょう。

ティーアップして打つドライバーですが、基本的にはアッパーブローにインパクトします。

適正な放物線を描くために、ヘッドスピードが速いほど打ち出し角度は低く、遅いほど打ち出し角度は高くする必要があります。

ヘッドスピードが40m/s程度とすると、打ち出し角度は15度くらいが適正でしょう。

打ち出し角度は、インパクトのときのフェースがどの角度で当たったかで変わります。

簡単にいうと『打ち出し角度=ロフトの角度+入射角度』と考えてください。

例えば、ロフトの角度が9.5度のドライバーを使っている場合、5.5度の入射角度が必要になるということです。

アマチュアにとって入射角度を作ることは非常に難しいと言われます。

入射角度は、スイング軌道(重心深度とシャフトのしなり戻り含む)で作ることになるからです。

女子プロゴルファーの多くは約4度の入射角度があると言われますが、アマチュアが真似をすると感覚的には相当なアッパースイングに感じるようです。

その結果、無理にあおってしまってボールにエネルギーを乗せられません。

アマチュアの場合は入射角度を作るより、ロフトの角度に頼ったほうが打ち出し角度を作りやすいでしょう。

ロフトの角度とヘッドスピードの関係

ロフトの角度とヘッドスピードの関係について説明をします。

ここでは、スピン量が鍵になります。

単純にロフトの角度が小さいほどバックスピンは少なく、大きいほどバックスピンは増えます。

これは、クラブの流れを見ていれば分かります。

ウェッジで打ったボールがスピンで止まるのはロフトの角度が大きいからです。

次にヘッドスピードとスピン量の関係ですが、ヘッドスピードが速いとバックスピンは増え、遅いとバックスピンは減ります。

つまりヘッドスピードが速いゴルファーは、9.5度で打っても必要十分なバックスピンが得られますが、遅いゴルファーの場合はバックスピン量が不足してボールが上昇しないことがあります。

そのためロフト角で得られるバックスピンとヘッドスピードで得られるバックスピン量のバランスを見ることが大切です。

それでは、ヘッドスピードが速ければロフトの角度を小さくして良いのでしょうか。

問題はロフトの角度が小さいとサイドスピンがかかりやすくなってしまうということです。

バックスピンとサイドスピンのバランスで曲がり幅が決まるため、曲がるリスクが増えるということです。

ヘッドスピードとボールの曲がり方も考慮した上で、適正なロフト角のドライバーを選ぶ必要があるのです。

どんなにヘッドスピードが速く、ロフトの角度を小さいものにしても、曲がってしまったら飛距離は伸びません。

ドライバーのロフトの角度を9.5度にするデメリット

特に男性アマチュアゴルファーに多いのが、ドライバーのロフトの角度が小さい物を選びたがることです。

なぜかというと、始めにお話をしたロフトの角度が小さいほうが飛ぶという考え方と、プロゴルファーが使っている物と同じドライバーを使いたいという欲求がほとんどです。

一般的なアマチュアゴルファーであれば、9.5度を無理して使うとデメリットのほうが多くなります。

先にも話しましたが、ロフトの角度が立つほどボールが曲がるリスクが高くなります。

またヘッドスピードが足りていない場合、適正な打ち出し角度を作るのが困難になります。

真っ直ぐに打てるスイング軌道と最高到達点まで達するのに必要十分なヘッドスピードがある場合に限りおすすめされます。

ロフトの角度で足りない分を、軽く軟らかいものにしてヘッドスピードを上げて補おうとするゴルファーもいます。

ヘッドスピードは確かに上がりますが、シャフトが軟らかいほどヘッドの挙動をコントロールすることが難しくなり、タイミングも取りづらくなって難易度が高くなります。

無理をせず、10.5度や11度のドライバーを選ぶほうが賢明です。

表記は9.5度。実際は違うドライバーのロフトの角度

最後に、ドライバーのロフトの角度について注意点があります。

表記の数字と実際に計測するロフトの角度には違いがあるということです。

『それでは偽物』と思うかもしれませんか、表記ロフトをオリジナルロフト、実測値をリアルロフトと言い、差があって当然とされています。

実際には0.5~1度程度大きくなっているものが多いようです。

つまり、9.5度であれば10度ないしは10.5度程度あるということになります。

話をしてきたように、アマチュアゴルファーはプロと同じロフトの角度の小さい物を使いたい願望があるのですが、メーカーはその辺りも理解しています。

メーカーは、気持ち良くドライバーを使ってもらうという観点からも表記とリアルロフトの差を作っているとも考えられますが、実際はフックフェースが増えたことによる影響です。

フックフェースはスクエア方向に動くことでロフトは寝てしまうのは当然なのです。

このリアルロフトを理解できたら、これからのドライバー選びも変わってくるかもしれません。

ドライバーの飛距離を伸ばすためには、小さいロフトの角度のドライバーで打つことではなく、ヘッドスピードに対して適正な打ち出し角度で曲がらないボールを打つことです。

それに必要なロフトの角度を選ぶようにしましょう。

ドライバーのロフトの角度は見栄を張らなくて良い

ドライバーを使う上で大切なことは、ロフトの角度に見栄を張ることではなく、自分に合った弾道を実現できる物を選ぶことです。

実際、PGAツアーのトップゴルファーでも10.5度と大きめのロフトを使っている選手は大勢います。

これを機にドライバー選びを見直してみてはどうでしょうか。