ゴルフ競技は、厳正なルールのもとに勝敗を決するところに楽しさがあります。
技量の違う多くのプレーヤーが一緒に競技をするためにハンデはありますが、ハンデに公平性がなければ勝敗が決まっても楽しさは半減してしまうはずです。
そこでアマチュアゴルファーの競技に必要なハンデの歴史や算出法について紹介していきます。
ゴルフ初心者が楽しめるのはルールとハンデの制定にある!
近代ゴルフとして栄えた理由の1つに、ゲーム性にあったからと言われています。
ゲームと言うと遊びのイメージが強いと思いますが、本場の英国ではルールのある勝負事を表す言葉として使われています。
ゴルフ以外にもテニスや野球など多くのスポーツにも使われています。
対戦相手と競い合うことが「面白い」と感じられるのは勝ったときです。
負けてしまうと「悔しい」と感じますが、再戦では必ず勝ちたいと願うはずです。
この繰り返しが技量を向上させ、さらに強い選手となっていくことになります。
しかし初心者と熟練のツワモノが競い合っても、試合前に勝敗は決まってしまうのは仕方ありません。
これでは勝者は面白いと感じませんし、敗者も悔しいとは感じないかもしれません。
勝負は拮抗するからこそ楽しめるわけで、はじめる前に勝敗が決まっているゲームほどつまらないものはありません。
そこで考えたのがハンデです。
お互いが納得してハンデを決め、例え初心者であっても一緒にゲームを楽しめるようにしたわけです。
このシステムの導入こそが、ゴルフが栄えた理由と言われています。
ゴルフハンデを前提は決める直近スコアのルールを守ること
そもそもゴルフはスクラッチ競技が基本なので、プロトーナメントではアマチュアが出場してもハンデを受けることはできません。
しかしプライベートなゴルフではハンデを設けて、それぞれが与えられたハンデの中でパープレーを目指すことになります。
当初はマッチプレー方式で対戦相手と勝負していたのですが、ゴルフ人口の増加に伴ってストロークプレー方式がスタンダードなゲームとなっていきます。
多くのプレーヤーが1回の試合だけで勝敗を決められることから、便利な競技方法として採用されることになったようです。
同時にたくさんのプレーヤーがお互いのハンデを認めるために、統一したハンデ算出のルールを決めなければならなくなります。
ただし、算出の基本となるのはプレーヤーが提出するスコアです。
大前提は正しいスコアであることで、その上で遅滞なくすべてのスコアを提出しなければ、正しいハンデを算出することはできません。
ゴルファーとしての誠実性が問われるところですが、多くのゴルファーは自分にとって厳しいスコアを選んで提出していることが多いようです。
ゴルフ競技の成立にはルールに添ったハンデ算出が必要
日本におけるゴルフの歴史を考えたとき、まずはゴルフをはじめることで職業的地位が得られると感じ、次にゴルフ場のメンバーになることで社会的地位が得られたと感じたわけです。
そしてハンデがシングルに近づくことで、習熟度がステータスと感じることになります。
ハンデ至上主義だった時代には、ハンデでゴルファーの技量を図り、時には人格さえも判断する材料としていたことがあるほど、ハンデ向上はゴルファーの悲願だったのです。
当然のごとく良いスコアだけを提出して、査定を受けるのですから、競技では厳しいハンデがつくことになります。
自分に厳しく他人に寛容なことは良いことですが、競技でハンデ頭のプレーヤーが100台であれば、それはそれで問題と考える人がいてもおかしくはありません。
しかも当初のゲームの楽しさを考えると、拮抗した勝負で勝敗を決することが面白いと感じたわけですから、ハンデの算出ルールに添って全スコアを提出があってこそ、ゲームは成立することになります。
公正なハンデ査定をルール化するためのゴルフ界の努力
ではストロークプレー方式のゲームの根幹となるハンデは、どのように決めているかと言うことです。
そもそもスクラッチ方式で対戦するプレーヤー同士がハンデを決めていたので、基準となったのはお互いの同意です。
ところがストロークプレー方式になると、公平性を保つためにプレーヤーがハンデキャップ委員会を設立してハンデを算出するようになります。
しばらくはゴルフ場の中だけで通じるハンデだったのですが、ホームコース以外でのハンデ競技にも出場できるようになり、ゴルフ場間での共通化が求められるようになります。
統一した査定基準を設けることをルール化し、各ゴルフ場の委員会はその最低基準を守って、プレーヤーにハンデを付与することになります。
ここで問題となるのが、コースの難易度です。
Aと言うコースでは平均90打でプレーできるのに、Bと言うコースでは平均100打になる場合があります。
同じプレーヤーであってもスコアが違うことから、査定のためにコースの難易度を数値化してコースレートを設定します。
このコースレートができたことで、どこのゴルフ場でハンデを取得しても、同等のハンデ査定を受けることが可能になったのです。
ゴルフのハンデ査定ルールをより公平にする努力が実を結ぶ
実際のハンデの査定方法は、直近でプレーしたスコアーカード10枚から、ベストスコア5枚を抽出して平均値を求めたものです。
ただし提出したスコアカードの有効期限は、プレーの日から2年間としています。
提出枚数が10枚に満たない場合には、正式なハンデとは認められず、暫定(参考値)ハンデとされています。
ちなみに多くのゴルフ場では、ハンデ競技で暫定ハンデのプレーヤーが上位になっても受賞を認めないとする、表彰ルールが設けられていることが多いようです。
グロス(打数)からコースレートを引くとハンディキャップが算出されます。
平均グロス90でコースレート71であれば、ハンデは19となる計算です。
難易度の違うほかのコースのスコアが混在していても、コースレートが分かっていれば、問題なく提出したすべてのスコアカードからハンデを算出することができます。
時代によって提出枚数や査定枚数に変化があったり、また査定方法にも変化はありましたが、現在ではこのコースレート以外にスロープという概念が加わり、より正確なハンデを算出できるようになってきています。
公平なハンデ査定が絶対的なルールのゴルフ界が目指したもの
ハンデ競技のゴルフでは、公平なハンデ査定が絶対的なルールになります。
各ゴルフ場で査定していたハンデは、コースレートによってコースの難易度を数値で平均化していました。
これでも査定上の公平性は保たれていますが、技量をはかる上で100打の人と72打の人では、同じコースでも難しさに違いがあると考えたわけです。
それを数値化したのがスロープで、55~155の数値で表しています。
平均的な難易度が117なので、この数値を基準に大きくなれば難しく、小さければやさしいコースと感じられるはずです。
ちなみにスロープレートの算出は、ハンデ0の人がパー72のコースで出せるスコアであるコースレートと、ハンデ20の人がパー72のコースで出せるスコアのボギーレートの差から算出しています。
一般ゴルファーの場合には、スロープを採用したハンデ算出のほうが、より公平性が増すと考えられていますが、一方でハンデ取得者ではないゴルファーがハンデ競技を楽しめる、ダブルペリア方式のコンペが増えてきているので、ハンデの公平性を求めるのは創世記の倶楽部競技が主体となってきています。
ゴルフ競技のルールとなっているハンデが必要なくなる?
ゴルフ競技でハンデが必要なのは、技量の違うプレーヤーが同じルールの下で、共に楽しめるという共通利点によるものです。
そのためにはハンデの公平な査定が求められますが、時代によって公平の視点が変わってきています。
皮肉なことに公平性を求めたために常にハンデが変わってしまうので、通常のプライベートコンペはダブルペリアで算出したハンデが主体となってきています。