ゴルフルールに定められていた二度打ちが消える理由とは? 

最終更新日:2018/11/02

ゴルフルールに定められているペナルティの1つに「二度打ち」があります。

これは1罰打を科されるペナルティですが、考え方によっては1回のスイングで2打を打ったことにもなると解釈できます。

人によって解釈が違う二度打ちについてと、二度打ちを改善しなければならない本当の理由について紹介します。

ルールに二度打ちがあるのはゴルフが紳士のスポーツだから

ゴルフに審判がいないからこそ、成立するルールとして二度打ちがあります。

「誰かが見ているかも…」と思うかもしれませんが、広いゴルフコースの中で各プレーヤーは自分のことで精一杯で、他人のプレーを注意深くみていることは少ないものです。

1回のスイングで2回以上フェース面に当たると、ルールでは二度打ちとしていますが、スイングスピードを考えれば自己申告しないとペナルティは成立しません。

プロのトーナメントであれば、ギャラリーが見ていたり、テレビ中継や録画で確認することもできますが、一般のゴルファーであればそのプレーを再生することができないので確認のしようはありません。

紳士のスポーツであるゴルフですから、たった1打で自分の名声を捨てるようなことはしないはずです。

だれもがそう思っていたからこそ、この二度打ちというルールは長く存続してきたわけです。

ところが時代は移り、どうも自己申告の二度打ちはなくしたほうが良いのでは、という考えが出てきたようです。

原文のゴルフルールでは「二度打ち」という文言はない!

そもそもゴルフのルールブックにある「二度打ち」は日本語に意訳したもので、原文には「2回打つ」とは書かれていません。

「Striking the Ball More Than Once」のMore Than Onceは1回以上という意味ですから、二度打ちではありません。

つまり1回のスイングで3回も4回も打つことは、当時は考えられなかったのでしょう。

それでも2回以上と「以上」をつけたのですが、一般的には2回打つことを二度打ちと理解している人もいるようです。

その人にとっては、1回多いから1打のペナルティとするなら、三度打ちで2回多くなれば2打のペナルティがあると考えてもおかしくはありません。

もちろん三度打ちでも1打罰なので、ショットの1打にペナルティの1罰打を加えて、次のショットは3打目ということになります。

同じようなものにドライバーショットを空振りしたのに、ヘッドが戻ってくるときに打ってしまった場合があります。

1回のプレーに対して、科せられるペナルティは1つと定められているので、戻ってきたヘッドがボールを動かしてもペナルティはありません。

三度打ちも同じことで、1回のスイングで2回・3回と打ったとしても、ペナルティは1罰打です。

二度打ちをゴルフのルールに加えたことが間違いの元!

現実的には1回のゴルフスイングで、二度打ちするのは稀なことです。

ドライバーをフルスイングしたときのヘッドスピードは、アマチュア男性でも40m/sですから、時速に換算すると約145kmです。

高速道路でもスピード違反で捕まるような速さでスイングしていて、打ち出したボールは時速160kmで飛び出しているのに、2回も当たるわけはありません。

つまり二度打ちができる場面は限られています。

ヘッドスピードが遅くなる、ショートアプローチのような場面が考えられます。

またバンカーでのエクスプロージョンショットは、ボールが浮いているところにヘッドが抜けていくため、当たる可能性はあります。

どちらもボールを打ち出す方向にフォロースルーを取らないと、フェース面に当たることはありません。

つまりヘッドをターゲットに向ける、方向性を重視したスイングをしたときに二度打ちする可能性はあるわけです。

このような場面では、スイングミスとしての二度打ちは防ぐことができないはずです。

つまり不可抗力で起きる事象にペナルティを与える、ルールが間違っているということになるのではないでしょうか。

二度打ちのゴルフは時代にそぐわないルール?

深いラフでボールの下をくぐるダルマ落としのようなショットは、二度打ちになる危険性があります。

打ち出すボールの速度が遅く、ゴルフスイングがその飛び出したボールに追いついてしまうことで、二度打ちは起こります。

もちろん正しいインパクトができていないというミスはあるかもしれませんが、ルールでペナルティを科すほどのミスとは思えません。

正しいスイングをしていて自分に責任がないと考えられるのに、ペナルティが科せられるのは理不尽です。

ところがボールが跳ね返って自分に当たったとしたら、これも自分に責任はないのにペナルティが科せられます。

ルールを知っていても避けられない事象にペナルティを科すのは、公正さがないとも考えられます。

一方で防ぎようのないルールを制定していることが、ラグビーボールのバウンドの不規則さと同じで、ゲームの面白さに通じているとも考えられます。

ただスポーツ要素が前面になってきたゴルフにとっては、時代にそぐわない二度打ちのようなルールは改正されることになります。

ゴルフルールの改正によって二度打ちは削除される

2019年のゴルフルールの改正は、それまでの慣例によって続いてきた理不尽なルールを廃止、または改善しています。

2019年の1月からは、ルールの上で「二度打ち」のペナルティがなくなり、それまで科せられていた1罰打が加えられることはありません。

審判のいないスポーツとは言え、適用するにはプレーヤーに依存する部分が多いことと、なによりも理不尽さにあったのではないでしょうか。

同じような理不尽なペナルティだった止まっているボールが動いた場合も、それまでは条件付だった救済が、プレーヤーに責任(動かす意思)がなければ、ペナルティがかかることはなくなります。

逆にボールを捜索する時間は短縮されていますし、それまで栄誉とされていたティーグラウンドのオナーもなくなり準備ができた人から打つことになります。

長く積み上げてきた慣例を一掃して、新しいゴルフの1ページを作るときに、この二度打ちも消えることになったわけです。

ゴルフルールの二度打ちは消えてもミスショットは改善すべき

ゴルフルールでは二度打ちのペナルティは消えることになりますが、実際のプレーの中での二度打ちはミスショットの結果でもあります。

スイングスピードがボールの飛び出す速度を追い越したことに、二度打ちの原因があるわけですから、ボールはターゲットに届いていない可能性があります。

ミスショットに対する1罰打は回避できたとしても、肝心のショットが狙い通りに打てていなければ意味はありません。

二度打ちを防ぐ打ち方としては、ロフト角に合わせたインパクトをすることです。

フェースを開いてバックスピン量を多くすると、ダルマ落としのようなミスショットの可能性が高まります。

ロフト角に合わせてレベルブローで払い打ちをすれば、正しい角度で打ち出すことができますし、初速も二度打ちをするほど遅くなることはないはずです。

あとはスイングの幅で距離感を調節すれば、フェースを開かなくてもカップを狙ったアプローチができるようになります。

二度打ちがゴルフルールから消えてもショット精度は磨こう

以前のゴルフルールにあった二度打ちは、2019年1月からの新ルールによって廃止されます。

ただに二度打ち自体は、フェースでボールをとらえていないことに大きな原因があるので、インパクトのミートを改善する必要があります。