ゴルフ場の中に設置されている人工物は、ルール上障害物の扱いになります。
池の杭は動かせる障害物、排水溝は動かせない障害物で救済を受けることになります。
そこで動かせない障害物である排水溝の救済方法と、気をつけるべき点について紹介します。
排水溝にはゴルフルールでのペナルティの有無がある
ゴルフ場には緑の芝生が広がっていますが、地中には様々な工夫が施されているのをご存知ですか。
散水ができるように、大型ポンプから連結した配管が埋設されているのです。
また埋設しているスプリンクラーでは撒ききれないところに対応するため、別に吸水用の管も設置しています。
吸水用の管だけではなく、排水用の配管も埋設されています。
水が溜まりやすい箇所には暗渠(あんきょ)パイプを埋めていて、その集まった水を排水するための集合管などがあるのです。
集められた水はコース内の池に集まるように地中の管を通って流れ込み、必要に応じて散水に再利用される場合もあります。
このような埋設管は、芝生の下にあるのでゴルファーのプレーには支障ありません。
また埋設管以外にも排水設備は施されています。
素掘りのウォーターハザードであるクリークでは、プレーに支障があればルール上でのペナルティで救済を受けることができますし、人工の障害物である排水溝はノーペナルティの救済が適用されます。
排水溝の処置にはゴルフルールのニアレスト・ポイントが大事
ゴルフ場における人工の障害物はルール上では2つあります。
1つ目は「動かせる障害物」で、プレーに邪魔であれば、ノーペナルティで取り除くことができます。
ウォーターハザードの境界を表す杭やバンカーレーキなどが、この動かせる障害物となります。
2つ目は「動かせない障害物」で、プレーに邪魔であれば、ノーペナルティで救済のドロップを選択することができます。
ルール上の区分では、人工物である排水溝は動かすことはできないので、この動かせない障害物とされています。
ノーペナルティで救済を受ける時は、ニアレスト・ポイントを定めて、そのポイントから1クラブレングス以内にドロップします。
ここで大事なことは、ホール(ピン)に近づかないことです。
もしも近づいたところからプレーを続行してしまうと、誤所からのプレーで2ペナルティになってしまいます。
しかも、その間違いを修正せずにプレーを続けると競技失格になるので、ニアレスト・ポイントよりもボールが近づいたら、再ドロップすることを覚えておきましょう。
排水溝の救済を受けるためにはゴルフルールを熟知すること
人工物である排水溝から救済を受ける場合には、ニアレスト・ポイントを定めなくてはいけません。
ゴルフのルール上で定められているニアレスト・ポイントとは、ホール(ピン)に近づかずに障害がなくなる、もっとも近い1点(ポイント)とされています。
文字で読めば簡単そうですが、実際のゴルフ場の中でニアレスト・ポイントを定めるのは、プロの試合でも揉めることがある難しいことです。
仮に排水溝の中にボールがあった場合、スタンスがかからないところで、ボールをドロップしても打てる箇所がニアレスト・ポイントになります。
もしも排水溝が進行方向に並列であるとしたら、右サイドと左サイドのどちらがニアレスト・ポイントになるかはケースバイケースです。
仮に左サイドが「もっとも近い1点」だとします。
左サイドは斜面になっていてスタンスが取り難く、右サイドであればフラットになっているとします。
しかし右サイドはスタンスをとってクラブを構えた先にボールをドロップするのですから、もっとも近い1点にはなりません。
ここからプレーを続けると、誤所からのプレーで2ペナルティが科せられてしまうのです。
損をしない排水溝救済のゴルフルールの解釈
ゴルフコースの進行方向に対して並列に設置されている排水溝の場合、一般的にニアレスト・ポイントは左側になると話しましたが、これはあくまでも仮定の設定です。
例えば右ドックレックのコースでは、右サイドのほうが「もっとも近い1点」になるかもしれません。
また左利きであれば、明らかに右サイドのほうがニアレスト・ポイントになります。
では右利きのプレーヤーが左打ちのアドレスを取って、ニアレスト・ポイントを定めたとします。
本来は左サイドにドロップするのがルールですが、敢えてレフティの構えをすれば右サイドがニアレスト・ポイントになるはずです。
果たしてこのようなことができるのでしょうか?
答えは「ケースバイ・ケース」です。
まず前提となるのは左打ちに合理的な理由があることです。
排水溝の左側が池や樹木があって、右打ちではスタンスがとれない場合は、左打ちの合理的な理由になります。
最初に左打ちでニアレスト・ポイントを定めて、1クラブレングス以内にドロップし、その後に右打ちしても問題はありません。
排水溝のドロップ回数にはゴルフルールによる制限がある
ゴルフルールでは排水溝に落ちたボールを拾いあげた時に、泥などで汚れていた場合は拭き取ることが認められています。
ゴルフのルールで拾いあげたボールの泥を落としてはいけないのは、他のプレーヤーの邪魔になるボールをマークして移動する時や、自分のボールを確認するために拾いあげた時です。
排水溝の内側は汚れていることが多いのでが、ダスターで綺麗に拭き取ってからドロップするようにしましょう。
ちなみにドロップしてからボールの汚れを拭き取ることはできません。
また救済のドロップには回数制限があります。
ニアレスト・ポイントに近づいた場合や、ドロップ箇所から2クラブレングス以上転がった場合、さらにハザードやバンカーに入った場合や完全な救済にならない場合は再ドロップが認められています。
ドロップの回数は2回までとされていて、もし不完全なドロップであった時は、ドロップ箇所にプレース(置く)しなければなりません。
排水溝の処置で3回ドロップした時のゴルフルール
排水溝の救済を受ける場合、通常のドロップが失敗して再ドロップも失敗すると、次はプレースしなければなりません。
では3回目もドロップしたらペナルティは科せられるのでしょうか?
答えは「ケースバイ・ケース」です。
ルール上のドロップの上限は2回までですが、3回目のドロップをした時点でペナルティは科せられません。
3回目にドロップしたボールを打った時点で、プレーヤーは2ペナルティとなりますが、もしかするとドロップしてから間違いに気がつくかもしれません。
間違いに気がついて3回目にドロップしたボールを拾いあげれば、ドロップした行為がなくなります。
3回目にドロップしたボールは「インプレーの球」ではないので、プレースしてプレーを続行すればノーペナルティなのです。
少し分かりにくい救済のルールですが、排水溝以外にもカート道路やスプリンクラーなども同じく適用されるので、ゴルフルールを覚えておくようにしましょう。
ゴルフルールによる障害物としての排水溝の扱いを習得しよう
ゴルフのルールにおける人工物の排水溝は、動かせない障害物として扱われるので、ノーペナルティで救済を受けることができます。
しかしドロップ位置を間違えると、2ペナルティ、その間違いを修正せずにプレーを続けると競技失格になる場合があります。
排水溝に限らず障害物の扱いについては、ルールを確認しておくようにしましょう。