ゴルフラウンドで無風の中でショットができることはかなり少ないものです。
またその風の強さは、瞬間最大風速など数値で表されていますが、もちろん一定の速さで吹く風などありません。
強かったり、弱かったり、そしてその方向も変化することがあるはずです。
そんな風の中でも飛距離を上手くコントロールするにはどうすれば良いのでしょうか。
ゴルフは風を読む力も必要
風は、微風の日であっても強風の日であっても、短期間、短時間に風の状況は細かく変化します。
日本の年間の平均風速は3m/sくらいです。
普通の日でも風速5m/s程度のことは良くありますし、障害物の少ないゴルフ場では場所によっては風速10m/sなんてことも珍しくはありません。
そのような風速10m/sとなると強風の域になります。
そのようにほぼ無風状態はないので、ショットをする前に毎回注意深く風の状況を観察しなければなりません。
そしてその時に風の状況によって、どのクラブを使うべきか、またショットをどのように調整するか判断しなければなりません。
風向きは、向かい風や追い風、横風となり、時には風が巻いて風向きが変わり続けている場合もあります。
この風向き、そして風の強さによって飛距離の差はかなり出ますし、風が弱くてもそれなりに影響を受けます。
ゴルフ用語では向かい風をアゲインスト、追い風をフォローと言います。
意外と知らない人が多いですが、これは和製英語なのでUSPGAの解説等で耳にすることはありません。
英語ではheadwind、downwind、crosswind、sidewindと言います。
全く違いますよね。
風の強さとゴルフボールの飛距離の関係は
ゴルフでは風の強さを表現する時に1クラブや2クラブのアゲインストと言います。
例えば1クラブのアゲインストであれば、風が無ければ8番アイアンの飛距離で良いところを7番アイアンの飛距離が必要になるくらい向かい風の強さがあると言うことです。
風の強さがショットの飛距離や方向にどのくらい、そしてどのように影響するかは、個々のボールの打ち出し角やスピン量などによって違います。
一般的な打ち出し角やスピン量、ヘッドスピードの場合、風速5m/sの時に追い風であれば約10ヤード伸び、向かい風の場合に約20ヤード飛距離が落ちると言われています。
もちろん低い弾道でスピン量の少ない人であれば風の影響をあまり受けないので、ここまで飛距離に差が出ることはないでしょう。
この一般的なデータを元に考えると、追い風よりも向かい風の方が飛距離への影響は大きいと言えます。
また向かい風の場合、スピンがかかりやすいショートアイアンでは、ボールが吹け上がってしまい、さらに飛距離に影響が出てしまいます。
このようにクラブによって風の影響が異なることも知っておきましょう。
風による飛距離の影響を最小限にする①
風による飛距離の影響が大きいことが分かっていても、風の強さを正確に把握してその影響を間違うことなく計算するのはとても難しいです。
風の影響を受けにくいショットを打つことができれば、風の強さの判断や計算が多少違っていてもダメージを最小限に抑えることができます。
そうすれば強風の日でも風をそれほど苦にすることなくプレーできるようになります。
先にも話したように風の影響をより受けるのは向かい風です。
向かい風の影響を最小限に抑えるには、低い弾道のドロー系のボールが有効です。
フェードが持ち球の人は、風の影響を受けやすいので、強風の日は飛距離が大幅に落ち、スコアにも影響が出てくるでしょう。
低い弾道のショットを敢えて打つ、パンチショットやノックダウンショットがあります。
ノックダウンショットは向かい風に有効なだけでなく、ボールが吹き上がらないスピン量の少ないショットなのでショートアイアンに向いています。
低い弾道にしようとゴルフボールを右足寄りに置きすぎるのは、逆にスピン量が増えてしまうので良い対処法とはなりません。
風による飛距離の影響を最小限にする②
風による飛距離の影響を最小限にするためには、スピン量を抑えたノックダウンショットが一番有効です。
このノックダウンショットは、ゴルフボールをスタンスの真ん中あたりに置きます。
そして腰のターンや左右への体重移動など下半身の動きはなるべく抑えるように意識してください。
またフルショットではなく、スリークォーターのスイングで力まず打ってください。
ここで風に負けまいと力んでしまうと、スピン量が増えてしまうので気をつけてください。
ゴルフスイングの軸がブレないよう腕の振りを抑え、肩の回転でボールを打ちます。
そしてフィニッシュは低く取るように意識します。
ボールを置く位置以外は、バンカーショットと共通する点が多いです。
風の影響は最小限に抑えますが、振り幅をスリークォーターにする分、大きめのクラブを使わなければなりません。
そのためには、練習場でいろいろなクラブのスリークォーターの振り幅での飛距離が、どのくらいなのかを把握しておくようにしましょう。
風の力を最大限に利用する
先に話したようにショットをコントロールして風の影響を最小限にするのも良いのですが、風の力を最大限に利用してプレーすることも考えてみましょう。
パー5のティーショットやセカンドショットのように飛距離が出ると有利になるようなシチュエーションで、追い風にゴルフボールを乗せて飛距離を稼ぐことや、向かい風を利用してバックスピンでボールをピタリと止めるのが簡単になるのを上手く利用するのです。
ティーショットが追い風の時は、高い弾道で飛距離を稼ぐことができます。
フィニッシュを大きく取るよう意識して、スピン量が少し多めで高弾道なショットを打つと良いでしょう。
スピン量が少ないとドロップしてしまう可能性があるからです。
追い風の際はゆっくりと大きなフィニッシュの素振りを数回し、打ちたい弾道のショットを十分イメージして挑むと良いでしょう。
また向かい風の中グリーンに乗せていくショットでは、バックスピンを多くしなくても風に押されて失速するので、グリーンに落ちてすぐに止まります。
これらのように上手く風を利用することも考えられるようになると良いです。
ゴルフに必要はコースマネジメントは強風では更に大事
風が強い日に、①どのクラブで②どのようなショットで③どこを狙って打つかを決めるには、風の影響でゴルフボールの軌道や飛距離がどのように影響されるかをしっかりと理解しておかなければなりません。
飛距離への影響は、向かい風や追い風ではハーフクラブから1番手前後で飛距離を予測します。
その予測と風の影響への計算がほぼ正確にできるようになるには、普段からどのくらいの風でどのくらいの影響を受けるのかを観察しながら、その感覚を養っていかなければなりません。
またツアートーナメントで解説者が言っているのを良く耳にするのが、「上空の風は~」です。
自分が感じている風は地上の風ですが、ゴルフボールが影響を受ける風は上空の風になります。
地上と上空の風は必ずしも一致していません。
それらを踏まえた上で、まずは風の影響を大きく受ける場合とそうでない場合、両方を想定して目標の前後左右の安全な場所、危険な場所を確認し、コースマネジメントをしていきます。
強風の日はプロでも難しいラウンドなのですが、強風に強い打ち方や上手く利用する打ち方、そしてコースマネジメントの知識を持つことでその影響を減らすことができます。
風のある日は特に距離感が大事になる
風の影響を受けない、利用するような打ち方を覚えることは大事ですが、それに加えて距離のコントロールができるようになっておくことも大切です。
グリーンを狙うようなショットで正確に風の影響を計算できても、その通りに打てなければ何の意味もありません。
それだけゴルフは基本「距離感」が命なのです。