ゴルフ場のバンカーが雨の影響で、普段とはまったく違った状況になっていることがあります。
砂は水分を含み硬く締まるものです。
そんな硬く締まった砂から脱出するスイング法、サンドウェッジ以外のクラブの選択、ルール上の特性など、今回は雨だからこそのバンカー処理について紹介します。
雨の時はゴルフのバンカーの砂は締まっている!
雨の日のゴルフは、普段のコンディションと違うので、いつも以上に気を使ったプレーをしなくてはいけません。
雨の影響でスコアが伸び悩むのは、技量不足ではありません。
プロゴルファーであれ、雨の日のトーナメントはスコアが伸び悩み、ミスショットも出るほどの混戦になることがあります。
アマチュアゴルファーの場合、もしかしたらトーナメント会場と違って、朝のコース整備以降ほぼ手を入れた気配がなければ、プロの試合よりもコースの難易度は上がっているかもしれません。
そんな雨のゴルフの中で気になるのが、バンカーの打ち方と処理方法です。
元々バンカーショットは普通の打ち方とは違い、ソールを打ち付けて砂と一緒にボールを出すエクスプロージョンショットが一般的な打ち方です。
つまりボールに触れることなく、砂を挟んだフェースの勢いで、砂とボールを一緒に打ち出すのです。
しかしこのソールから打ち込むショットは、柔らかい砂があることが絶対の条件になります。
そのため雨によって硬く締まったバンカーでは、別の打ち方をしなければならなくなります。
雨のゴルフ場ではいつものバンカーショットができない?
硬く締まった砂のバンカーは、エクスプロージョンショットがかなり打ちにくいはずです。
なぜなら雨を含んだ砂にゴルフクラブを打ち込んでも、ソールは跳ね返されて思った結果を得られないからです。
このような時は、ボールの手前に打ち込むのではなく、素直にボールの側面を打つようにします。
一般的にはレベルブローのスイングと呼ばれています。
スイングの最下点をボールの真下に定めて、寸分の狂いもなくボールだけを打つのです。
レベルブローのスイングは、インパクトの強さが飛距離に結びつくので、距離に合わせてスイング幅を調節しなければいけません。
通常レベルブローのスイングで、練習場の人工芝の上のボールを打っていますが、実際にはボールの手前からダフリ気味に入って、人工芝の上を滑ってインパクトしていることが多いです。
それをバンカーで行うとすると、単なるダフリになりボールを出すことはできません。
そんな結果にならないためにも、練習場でクリーンなショットをする場合には、ティーアップしたボールを数多く打ち込むことが大切です。
ゴルフ場が雨だからこそのバンカーの打ち方がある
雨の影響でバンカーの砂が締まっていると、バンカーから脱出できないように思いがちですが、悪いことばかりではありません。
砂が締まると言うことは、ボールの転がりが良くなると言うことです。
雨が降る前のふわふわの砂質が、粒子と粒子の隙間がなくなり密集し、敷き詰めた砂の絨毯のようになっています。
そのためもし飛球線の前方にアゴがないようなら、敢えてサンドウェッジを使わずにパターを使ったアプローチができます。
サンドウェッジとパターであれば、成功率は転がすだけのパターのほうが確かです。
雨のあとだからこそできる、締まったバンカーからのパッティングと言うわけです。
また簡単なバンカー脱出法だけではなく、ゴルフルールで認められた救済を受けられる可能性が高まります。
基本的にバンカーの中のルールは、ウォーターハザードと一緒で、ソールをして打つことはできません。
ただしバンカーの砂に雨水がある状態、つまりカジュアルウォーターであれば、救済を受けることができます。
雨振りのバンカーのお陰でゴルフルールに救われる
バンカーの中でゴルフシューズが砂を踏んだ時に雨が浮いてくるようなら、カジュアルウォーターを宣言できます。
「ホールに近寄らずに二アレスト・ポイントを定めてドロップできる」と規定されていますが、実際多くのバンカーの形状は前面が高く、後方の進入口が低くなっているものです。
つまりドロップする箇所は水浸しになっていることがほとんどです。
ルール上ではバンカー外への救済を認めていませんが、水没したバンカーがあればコース側で、修理地として青杭を立てるのが一般的です。
また相当数のバンカーが水没していれば、臨時のローカル・ルールで、「ワンクラブレングス以内にドロップする」と言う特別ルールで対処することになります。
本来はバンカーショットするべきところが、無罰でバンカー外からアプローチができれば、一か八かのグリーンオンを狙って攻めることが可能になります。
つまり雨が降ったほうが有利になる……こともあるのです。
ゴルフルールによるバンカーの雨水を抜くパイプの処理
最近のゴルフ場のバンカーは排水設備が良くなり、砂の下に雨が滲みこみ、バンカーの下を通って排水されるのが一般的です。
ところが戦略的に難易度を上げたバンカーの場合は、その地下排水ができずに、バンカー外に雨水を流している場合があります。
元々は、このバンカー外への排水が一般的でしたので、歴史のあるゴルフコースでは珍しいことではありません。
問題はバンカー内と外を繋ぐ排水管にボールが接触した時です。
通常なら最後方にある配水管にボールが接触することはないはずです。
大抵は砂をかぶせて、見えないようにしているので、気がつかないことが多いでしょう。
それが雨が降ったことで、排水が進むようにと砂に水路を作ったために、締まった砂の道をボールが転がってしまうわけです。
このボールについては、意外に面倒なルールの解釈が必要となり、場合によってはプレーヤーにとって有利な裁定を受けられるかもしれません。
雨のゴルフ場だから体験できるバンカー体験
雨水を排出しようと、バンカーの中に隠れていた排水管の暗渠(あんきょ)パイプを露出し、砂に水の道をつけることがあります。
幸い雨水は抜け切ったとしても、砂を戻していないとバンカーに入ったボールが配水管に接触します。
配水管は設置されている人工物ですから、ルール上は動かせない障害物となります。
バンカー内の動かせない障害物の救済は、無罰で同一バンカー内にドロップするか、1罰打でバンカー外にドロップするかです。
ここは通常のルールなので問題はありませんが、もしもボールがその排水管の中に入ってしまった時です。
バンカーエッジを越えれば、バンカー外なので無罰でバンカー外の救済を受けることができます。
ちなみ排水用の暗渠パイプは、バンカーエッジから外に向けて埋設していることが多いので、大抵はバンカー外で無罰のドロップをすることになります。
また排水のために設けた水の道については救済を認めていませんが、落差がひどいと打つことができません。
そこで水の道についても臨時ローカル・ルールで、無罰でバンカー内にドロップできるよう救済する委員会が多いようです。
そのため雨のゴルフ場では、普段は受けることができない、珍しい状況を体験できるかもしれません。
ゴルフ場が対処してくれないバンカーの雨の処理方法
ゴルフ場のバンカーが雨で浸水していて、なにも処置がされていなければ、プレーのしようがありません。
本来であればゴルフ場がクローズを宣言するべき状況です。
営業を続けるのであれば、「コースが異常な状態」であることから、プレーヤーの判断で青杭の処置をしても仕方ないのかもしれません。