ゴルファーの皆さん、「スルーザグリーン6インチプレース」と言う言葉を聞いたことありますか?
完全プライベートコンペやゴルフ仲間同士の間で使う完全ローカルルールです。
ゴルフ規則には載っていないローカルルールなので、その説明とルールに関しての誤解から生まれるトラブルについて説明していきます。
ゴルフルール「6インチプレース」とは
「6インチプレース」は、主にゴルフコンペなどで採用されているローカルルールです。
もちろん公式競技等では絶対に採用されることはありませんので注意してください。
これは、ショットしたボールの落ちた場所に障害物があったり、また他のプレーヤーが作ったピッチマークやディボット跡など自分にとって不利なところにボールが止まってしまったときに、ボールから6インチ以内でホールに近づかなければ、そのままボールをプレースすることができると言うルールです。
ゴルフではメートルやセンチではなく、「ヤード」のように日本ではあまり使わない単位を使用するので、いまいち距離が分からないことが多いです。
6インチは15.24センチになります。
ここでプレースをドロップと勘違いしてしまい、ドロップで15.24センチ以内を難しく思った人がいるのではないでしょうか。
プレースとドロップを混同してしまっている人は気をつけてください。
プレース=そのまま自分の手で置くこと
ドロップ=肩の高さからボールを落とすこと
です。
ですから6インチプレースの時には、その名の通り6インチ以内に置きましょう。
6インチプレースの由来
6インチプレースがどのようなルールかは分かったのですが、ではなぜ「6インチ」なのでしょうか。
昔マッチプレーのグリーン上で、自分のボールとホールのラインの間に相手のボールが止まっていても、邪魔になるからと動かすことができませんでした。
これを「スタイミー」と呼んでいました。
しかしボールとボールの間の距離が6インチ以内であれば動かすことができたのです。
現在は、ボールマーカーを目印として置くし、もしそれが邪魔だった場合は、パターのヘッド分ずらして置くことができます。
現在スタイミールールは無くなりましたが、コンペの進行を促すなどの理由でゴルフ場のためのローカルルールとして6インチプレースが採用され始めました。
6インチとは、親指と人差し指を広げた幅にも満たない長さなのですが、広いゴルフ場のターフ上では錯覚するようで、良いライを求めて6インチ以上プレースする人が出てくる場合もあります。
今から140年前の全英オープンで初めて公式スコアカードが採用されたのですが、その正規のスコアカードの横幅は6インチです。
これはマッチプレーでの6インチプレースの適用に便利なのでこの長さに決められたのです。
ただし現在日本で出回っているスコアカードは、すべてがこのサイズに当てはまりませんので要注意です。
ゴルフルール「6インチプレース」への甘え
6インチプレースと言うルールは「救済」と考えるようにしてください。
中には、6インチプレースだからどんどん動かしてスコアを上げようと言ったように、救済が全く必要ない場所であっても動かしてしまうゴルファーが中にはいます。
そのような行為は言語道断です。
そんな考えを持ってプレーをするなんて何のためにゴルフをしているのかよく分かりませんよね。
ゴルフは、基本的にティーグラウンドでアドレスしたら、グリーン上以外ではボールに触れることなくプレーすることが原則です。
ツアートーナメントを見ていると分かると思いますが、時には木の根元付近にボールが転がってしまい、ショットが困難であっても、そこでどのように打つかを試行錯誤し、切り抜けていくと言うのもゴルフの1つの醍醐味でもあります。
しかしこの6インチプレースルールでは、ボールが落ちた場所の状態などでノータッチプレーが難しい時や、スロープレーを防ぐために、ゴルフの原則を破って設定されている完全ローカルルールです。
それなのに救済の必要ない場所でも毎回ボールを動かしていたら、同伴者も不愉快になり思うようにゴルフを楽しめなくなってしまいます。
このようなルールに慣れてしまい、甘えすぎないように気をつけましょう。
ルールなのでしっかり6インチを
6インチプレースとは完全ローカルルールなので「慣れ」が一番怖いです。
もちろんよっぽどルールに厳格な人であっても定規やメジャーを持ってきて「〇〇センチだよ!」なんて言う人はいないでしょう。
しかもそれがプライベートラウンドやコンペでのことならなおさらです。
そのような環境に慣れてしまうと「大体これくらいかな」と20cm動かしてしまう人もいれば、平気で1mくらい動かしてしまう人もいます。
指摘されないことが多いでしょうが、心の中で腹を立てていたり、不愉快な気持ちになっている人もいます。
ゴルフ場によっては、6インチの目安が書かれたスコアカードを使っているところもあります。
そうでなかったとしてもプレーをする前に自分の持ち物や手で大体の目安を付けておくようにしましょう。
身近の物であれば、千円札がちょうど15cmになっています。
その日にローカルルールを知った場合は、プレー前に千円札で確認をしておくと良いかもしれません。
厳密に言うと、6インチ以上動かしてしまった場合は「誤所からのプレー」になってしまうので、救済ルールを受けるどころか2打罰を科せられます。
慣れた時こそ要注意なのです!
ゴルフレベルによっては採用の必要なし
6インチプレースのルール採用のコンペだから「やったー!」と手放しで喜ぶのではなく、ある程度ゴルフの腕前がある人は採用する必要はありません。
あくまでもローカルルールなので採用しなくてもルール違反にはならないからです。
スロープレーになりにくいレベルの人や多少ライが悪くてもそれなりに打てるような人は、なるべくこのルールは使わないようにしましょう。
ゴルフとは本来あるがままの状態でプレーすることが大前提のスポーツなので、このルールを使わないに越したことはありません。
スコアが大体100台以下のゴルファーであれば、ゴルフの原則のままプレーするように心がけましょう。
まだまだスロープレーになってしまう人であっても、どうしてもショットすることが困難な場合にだけ、このルールを採用するなど柔軟に使ってみるのも良いでしょう。
救済ルールではありますが、6インチプレースの癖がついてしまうと、採用されていないコンペ等に参加した場合に、スコアがグンと落ちてしまったり、どう対処して良いのか分からなくなってしまったりします。
状況によって上手く使い、なるべく使わないようにした方がラウンド力は身につくのです。
ボールを拭くのはオプションルール
6インチプレースはコンペなどが雨だった場合にもルールとして採用されます。
その時に気をつけなければならないのが、「ボールを拭く」行為です。
多くのゴルフ場コンペでは、6インチプレースをした場合ボールを拭くことが認められています。
しかしボールを拭けるかどうかは、その時々、場所のローカルルールによります。
いつもOKだからとボールに泥が付いた時に、ボールを拾って泥を拭かないようにしましょう。
事前に「6インチプレースの時にはボールを拭いても良い」と言う文言があるかどうかをしっかりと確認するようにしてください。
プロのツアートーナメントでも天候が悪く芝がぬかっている場合に、ボールを拾って拭くことが許されている場合があります。
しかし事前に「ローカルルールによる許可」がないとルール違反になってしまいます。
泥が付いているとショットが上手くいかなかったり、クラブフェースが傷ついてしまったりするので気になる気持ちは理解できます。
だからと言って大抵の場合大丈夫だからと勝手な判断でルールを変えてしまわないようにしましょう。
ルールもマナーも全て理解してこそ真のゴルファー
6インチプレースには現在でも賛否両論あります。
このルールを採用することを嫌がる人も中にはいます。
ゴルフはルールやマナーに厳しいスポーツであり、審判も存在しません。
ですからゴルファー自身がしっかりとルールやマナーを守るように心がけることがとても大切です。
そこで初めてローカルルールも成り立っていくということを忘れないでください。