【ゴルフ規則】パターに関するこれまでのルール変更について

最終更新日:2017/10/16

ゴルフのルールは調べ出したらキリがないほど複雑です。
それらを完璧に理解してプレーしているゴルファーは多くないのではないでしょうか。

そんな複雑なルールを更に複雑にしているのが4年に1度の改定です。
うっかりしているとルール変更を知らずにペナルティを課せられるかもしれません。

今回は改定されてきた中でもパターに関することに絞って見ていきましょう。

4年に1度改定されるゴルフルール規則とは

ゴルフルール規則とは、ロイヤル アンド エンシェント ゴルフ クラブ オブ セント アンドリュース(R&A)と全米ゴルフ協会(USGA)により制定されたゴルフの基本ルールのことです。

原則としてオリンピックイヤーの1月1日から4年ごとに大規模な改正が行われています。
また大規模改正の他に細かく改正されることもあります。
最近では2016年に大規模な改正が行われました。

これはゴルファー必携の一冊であり、世界統一の正式なルールブックになります。

現在のゴルフ事情や変化に対応して細かくルール変更されるので、ゴルフ公式競技等に出る人は必ず持っておかなければなりません。

最近ではスマホが広く普及されたこともあり、ゴルフルール規則のアプリも登場しているくらいです。

第1章エチケット、第2章用語の定義、第3章プレーについての規則、そして最後にルール変更に関して綴られています。
プレーについての規則では、ローカルルールの競技条件からクラブのデザインなどとにかく細かく書かれています。

今回はルール変更されたパターに関してのルールについて詳しくお話していきます。

ゴルフルール規則でのパタールール変更①

プロのツアートーナメント(特に風が強いブリティッシュオープン)で、パッティングをする際に、風が吹きそうになるとアドレスするのをやめてしまうシーンを見かけたことありませんか?

プロのツアートーナメントで使用されているグリーンは見ていて分かると思いますが、非常に固く速く、まるでフローリングの上でパターをしているような感じです。
ですから、わずかな風でもボールが転がってしまうことがあります。

ルール変更される前は、

『アドレスしたあとで球が動いた場合、プレーヤーがその球を動かしたものとみなされ、プレーヤーは1打罰を受け、その球をリプレースしなければならない(ゴルフ規則18-2b)』
でした。

これは強風の中プレーされたことがある人なら分かると思いますが、プレーヤーの過失でなくても起こり得ることです。

そこでこのルールは変更と言うよりもゴルフルール規則から削除されました。
もちろんアドレスしていても、していなくても、プレーヤー本人やキャディ、携帯品などのプレーヤーに関係している人や物が原因で球が動いた場合は、これまでと変わりなく1罰打を受けてリプレースしなければなりません。
あくまでも『過失がない場合』に限ります。

ゴルフルール規則でのパタールール変更②

次に紹介するものは、長年大きな話題を呼びました。
パッティングでのアンカリングの禁止です。

ゴルフルール規則で言うアンカリングとは、クラブ、またはクラブを握る手を体に付けてストロークの起点を作ってパッティングすることです。

このルール変更に関してはプロの間でも意見がかなり割れました。
あのタイガーウッズは「クラブを体に付けて振るのは伝統に反する!クラブは14本全て、スイングされるべき」と猛反対していました。
しかしキーガンブラッドリーは「アンカリングが有利な証拠はないし、なぜ今になって禁止するのか」と主張していました。

どちらの意見にも賛同する人がたくさんいましたが、結果として

『グリップエンドを身体に当てることで、そこで軸を作ることになりますから、それが良くない』

と言うことで2016年にルール変更し、禁止となりました。

パターはグリップを変えるだけでも慣れるのに時間がかかるほど繊細なショットになるので、長年アンカリングをしていた選手たちはさぞかし今も苦労していることでしょう。

2020年のパタールール変更案①

ゴルフルール規則の大規模改定を約1年後に控えて、今年3月にR&AとUSGAが「ゴルフ規則を近代化するための変更案」を発表しました。

その中にパターに関するルール変更案が2つあります。

”ルールが厳しい=ゴルフ”のイメージを覆してしまうほど緩和されるかもしれないルール変更に皆さん驚くかもしれません。

まず1つ目は『”球が動いた”の罰の免除や軽減』です。
これは2016年にルール変更されたプレーヤーに過失が無く球が動いた場合はペナルティ無しを更に緩和しています。

つまりパッティンググリーン上でうっかり球を動かしてしまったり、林やラフで球を捜索しているときに球を動かしても罰がなくなります。
故意に球を動かしたことがほぼ確実な場合を除き、プレーヤーは球を動かしてしまったことについての責任を負うことはないのです。

どうやら2020年からは、「うっかり」は「過失」ではないと言うことになりそうです。

ちょっとぼんやりした印象を持つルールですが、2020年に改定される際はもっと具体的に発表されるでしょう。

2020年のパタールール変更案②

意外と知らない人が多いパターのルールですが、ゴルフルール規則17-3で、

『球は旗竿や、旗竿に付き添っている人に当たった場合、マッチプレーではそのホールの負け、ストロークプレーでは2罰打』

です。

よくあるのが、ベタピンの際、旗竿を抜かずにパッティングしてしまうことです。
完全プライベートでルールに厳格でない場合はそのまま見過ごすことが多いですが、これを公式競技等で行うとペナルティが科せられるので要注意です。
もしそれがバーディーパットならボギーに変身してしまいますからね。

しかしそれが2020年にルール変更される予定です。
旗竿を立ててままパッティングをしてカップインさせることが可能になるのです。

またプレーヤーはパッティンググリーン上のスパイクマークやシューズによって作られたその他の損傷、動物による損傷やその他の損傷を修理することができ、単にパットのラインに触れることについての罰はありません。

2020年のルール変更は結構大きな改定になるので、長年ゴルフを楽しんできた人達はちょっと違和感を覚えるかもしれません。
しかしあくまでも「案」なので採用されるかどうかは2020年にならないと分かりません。

ルール変更を知らないとルール違反になるので要注意

今回はパターのルール変更に絞って話しましたが、それ以外にも細かく変更されています。

大規模なルール変更以外にも日々細かくルール変更されているので、公式競技等に参加する人は特に細かくチェックしておくようにしましょう。

また、もし疑問を感じたらキャディや同伴競技者に確認することが大切です。
と言うのもルール変更を知らずに、変更前のルールに従っているとルール違反になってしまう可能性があるからです。

例えば今までのルールではアドレスしたあとで動いた球は理由に関わらず1罰打を受け、リプレースしなければなりませんでしたが、そのルールに従ってボールが動いたときにリプレースをしてしまうと、プレーヤー自身が球を動かしたことになってしまいます。

ルール変更によりノーペナルティだったのにも関わらず、わざわざボールを動かしてしまい、ペナルティが科せられてしまうと言う傍から見たら何とも不運なことになってしまいます。

ルール変更ではないのですが、上原彩子選手が日本でのプレーでアメリカのルールに則ってしまったため史上最多の68罰打を受けたのもご存知でしょう。
これは知らなかったのではなく「うっかり」なのですが、ルール変更を知らないとこのようなことはプロゴルファーでも起こり得ると言うことなのです。

確認を怠らないことが一番大事

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」と言うことわざがあるように、「聞くはノーペナルティ、聞かぬはペナルティの嵐」です。

ゴルフルール規則をすべて頭に入れろとは言いません。
しかし「これはどんなルールだったかな」と少しでも感じたら周りに確認するようにしましょう。

実際に経験すると不思議と頭に入っていくものです。

ゴルフルール規則をチェックすることも大事ですが、事が起きた時に人に確認することはもっと大事です。