ゴルフクラブの構成パーツの中で非常に大きな要素を占めるシャフト。
市場には非常に多くのシャフトが販売されています。
そんな中で長年にわたりプロ、アマ問わず多くのゴルファーに支持され愛用されているスチールシャフトが『ダイナミックゴールド』です。
ダイナミックゴールドの硬さのバリエーションの中で最も硬いのがx100と表記されたシャフトです。
屈強な体力を持ったプロやアマチュアアスリートゴルファーにしかダイナミックゴールドx100は使いこなせないのでしょうか?
そんな疑問をお持ちのアマチュアゴルファーは多く、私もそんなゴルファーの1人です。
今回はアイアン用『ダイナミックゴールド』と『ダイナミックゴールドAMT』のx100を試打した上でアマチュアゴルファーにも使いこなせるか検証します。
ダイナミックゴールドの歴史と概要
世界で初めてゴルフクラブ用スチールシャフトを1925年に開発したのが米国トゥルーテンパー社です。
それまで何百年もヒッコリーシャフト(木製)であったゴルフクラブにスチールシャフトと言う新しい素材を持ち込んだものの当初は受け入れられずに苦戦を強いられたようです。
1930年代にR&Aにより使用が認められ1950年代にはUSツアープロの90%以上がダイナミックゴールドの前身のダイナミックを使用しました。
そうして市民権を得て全盛期を迎えるに至ります。
そんなスチールシャフトのパイオニアであるトゥルーテンパー社が1980年に発表したのが『ダイナミックゴールド』です。
シャフトのフレックス(硬さ)をR(レギュラー)、S(スティッフ)、X(エクストラスティッフ)とキックポイント(元、中、先)に分類していましたが更に重量配分も細分化させたのが『ダイナミックゴールド』です。
それまでのフレックス表記(R,S,X)の後ろに100,200,300,400のサブフレックスを設けて同じ硬さでも重量の異なるシャフト表記になっています。
そして今回、試打して検証するのがダイナミックゴールドの中でも一番ハードと言われるx100です。
ダイナミックゴールドのフレックス、サブフレックスによる違い。x100ってどんなシャフト
ダイナミックゴールドに限らず各社からリリースされているゴルフクラブ用のシャフトにはフレックス(硬さ)表記がされています。
性別、体格、運動能力等の差でヘッドスピードは変わりますが、それらに合わせて個々に適したシャフトの硬さを表したものです。
L(レディース)、A(アベレージ)等『R』より柔らかいシャフトをラインアップしているメーカーもありますが、多くはスチールシャフトではなくカーボンシャフトのフレックスバリエーションです。
実はフレックス表記は統一規格や基準はなく各メーカー独自の社内規格に基づき表示されています。
前述したダイナミックゴールドのサブフレックスもトゥルーテンパー社独自の表記です。
カット前重量、カット後の重量、 振動数などはメーカーHPで確認できますし、実測値はプロショップ、一般アマチュアゴルファーさん等のHP、ブログ等で比較データを多く目にすることができます。
フレックス、サブフレックス毎に工程が違う訳でなく完成時の製品チェックで重量毎に振り分けていると言う話もありますが真偽のほどは分かりません。
ちなみにダイナミックゴールドには重量誤差を±0.5グラムに抑えた『ツアーイシュー』と言う製品があります。
メーカーでは重量誤差を選別したモデルと言っていますが、巷間では『通常のダイナミックゴールドとは別物だ』と言う話もあります。
こちらも真偽は分かりません。
x100はシャフト重量はS400より2グラム軽いですがフレックスは一番硬いシャフトです。
ちなみに一番重いシャフトはS400で、あまり見かけることのないレアなスペックです。
各フレックスの違いを実感するのは同一ヘッドで試打して比較するのが一番良いのですが、そんな機会に出会える事は珍しくアマチュアゴルファーにはなかなか難しいですよね。
ダイナミックゴールド x100を使いこなす条件とは?まず試打してみよう
ダイナミックゴールド自体が重量級のシャフトですので、フレックスに限らずパワーヒッター愛用のシャフトと言えるでしょう。
S200、S300、S400の振動数差はごく僅かですが、x100になった途端に急激に振動数が高くなるという計測結果があります。
その数値を見る限りではドライバーのヘッドスピードが48m/s以上ないと厳しいと言われています。
元調子の重量級シャフトですのでアーリーリリース、手打ちのスイングのゴルファーには使いこなせません。
プロ、アスリート系トップアマの使用率が高い事から分かるようにある程度の筋力、ヘッドスピードが必要なシャフトと言えるでしょう。
機会があればご自身でも実際試打をした上でどんなシャフトなのかを体験されるといいでしょう。
ダイナミックゴールド x100を試打して検証
ちなみに筆者の愛用アイアンは4I~PWまではダイナミックゴールドツアーイシューS200を、ウェッジ2本にはダイナミックゴールドツアーイシューx100を挿してあります。
ヘッドスピードはドライバーで46m/s程です。
これらを前提にお読みください。
試打したアイアンのヘッドは筆者が愛用している同じメーカーですが、新しいモデルの物を使用しました。
ワッグル、素振りをした感じではそれほど違いを感じません。
実際に何球か試打した感じではS200と比較してちょっと撓りが感じられない気がしますが違和感を覚えるほどではありません。
ヘッドが違うせいもあるかもしれませんがスイングした感じはx100の方が軽く感じます。
出玉の高さは若干低くなって、方向性は良くなっています。
特にミドル~ロングアイアインは顕著に感じます。
計測していませんがスピン量も少なくなっているようです。
使い慣れたダイナックゴールドですので違和感はありませんが、ちょっと緩んだスイングをするとミスは顕著です。
体力のなくなってきたラウンド後半に不安を感じます。
ダイナミックゴールドAMT x100を試打して検証
このシャフトは2016年5月に発売された新製品です。
ダイナミックゴールドの基本性能はそのままに番手毎の重量フローを取り入れたAMT(アセンディング・マス・テクノロジー)を取り入れたシャフトです。
x100の場合はカット前重量が106グラム~130グラムで番手毎にフローされています。
そのため同じフレックス、サブフレックスでも通常のダイナミックゴールドと比較すると軽く仕上がります。
実際に同じヘッドの同じ番手を持ち比べてみましたがAMTの方が遥かに軽いです。
最近のシャフトのトレンドは軽くて硬い『カルカタ』と言うらしいので、流行の最先端のシャフトなのかもしれませんね。
スイングしたフィーリングは通常のダイナミックゴールドx100よりシャープに振りぬけます。
撓りもほど良くヘッドの位置が感じられるシャフトです。
実際にS200とx100を試打してみましたが、通常のダイナミックゴールドS200を使用している方にはx100の方が合うような気がします。
「ダイナミックゴールドの挙動は好きだけどちょっとしんどくなってきた」と言うゴルファーにオススメかもしれません。
人によってはヘッドの挙動を感じるためには重めのヘッドと合わせたりする必要があるかもしれません。
ヘッドとの相性で左右されそうなイメージのシャフトです。
リシャフトする方はヘッドの重さとシャフト重さでバランスと重量フローを調整するのが難しい感じがしますが、それもまたゴルフの楽しみの1つでしょう。
ダイナミックゴールドx100の競合シャフトを試打して自分に合うシャフトを見つけよう
スチールシャフトメーカーではパイオニアのトゥルーテンパー社。
同社がリリースするダイナミックゴールドは世界中で最もシェアの高いスチールシャフトと言っても過言ではないでしょう。
そんなダイナミックゴールド以外にどんなスチールシャフトがあるのか簡単にまとめてみました。
・ライフルシャフト
以前はトゥルーテンパー社のライバルでしたが現在では買収され同社の参加で同じブランドのプロジェクトXと言う製品名で販売されています。
フレックス表記は数字で5.0~7.0までの0.5刻みで数字が大きい方が硬いシャフトなります。
表面はステップレスでシャフト内部は銃身ようなライフリングが施されています。
ダイナミックゴールドx100と同等のフレックスは6.5~7.0でしょうか。
・KBS
前述したライフルシャフトの開発者キム・ブレイリーが設計し、アメリカFST社から発売されている新興シャフトメーカーです。
PGAツアーではフィル・ミケルソンが使用しはじめ、2013年全米オープンでKBSシャフトを使用したジャスティン・ローズが優勝した事で一気に知名度が上がりました。
代表的なアイアン用製品ラインアップには「KBS TOUR」「KBS C-Taper」の2種類があります。
・NS PRO(日本シャフト)
日本が誇る老舗シャフトメーカーです。
以前は軽量シャフトがメインのイメージでしたが『MODUS 3』を発売しツアープロに使用に耐えうる重量級シャフトの仲間入りをしました。
2016年の全英オープン優勝者であるヘンリク・ステンソンが愛用しています。
上記以外にも色んなシャフトが存在します。
スチールだけでなくカーボン素材も含めれば膨大な数になるでしょう。
その中にはダイナミックゴールドx100よりご自分に合ったシャフトがあるかもしれません。
情報を収集し試打を重ねてそんなシャフトを探すのもゴルフの違った楽しみ方の1つです。
ダイナミックゴールドx100を使いこなせるように頑張ろう!!
試打した結果と色んな方からの意見を総合した結論から言うと・・・
『これから頑張るゴルファーはx100を使おう』
特に若いゴルファーでアスリート、プロを目指す方には使用してもらいたいですね。
ある程度年齢を重ねたアマチュアゴルファーの方も向上心に燃え安定したスイング造りを目指している方にはアリだと思います。
私自身は「9ホールは何とかなりそうだけど体力が無くなってくる後半までもつか心配・・」と言った感じです。
ちょっと筋力、体力が落ちてきたなと感じる方はダイナミックゴールドAMTをチョイスすると良いでしょう。
いずれにしても重量級のハードなシャフトです。
女性や初心者には使えません。
ダイナミックゴールドx100が挿してあるアイアンがバッグに入っていたら一目置かれること間違いなしですが、そのシャフトに負けないだけの技量と品格を持ったゴルファーになりたいものです。