最近、どこのメーカーからもヘッドとシャフトをネジで固定する可変式クラブが発売されています。
通称「カチャカチャクラブ」。
専用の道具と、同じスリーブのついたシャフトを持っていれば、簡単にリシャフトができる優れもの。
でもそのシャフトは、メーカーが用意したシャフトしかありませんよね。
もっと違うシャフトメーカーのものを取り付けたいのに、メーカーカスタムで選べない。
そういった悩みを抱えるゴルファーも多いのではないでしょうか?
今回は、可変式クラブについてお話していきます。
可変式クラブ専用スリーブ付きシャフトの取り付け方
まず、簡単に最近主流の可変式クラブ(弾道調整機能付きクラブ)について説明をしていきます。
結構前から、ウェイトを入れ替えて重心を変化させるクラブはテーラーメイドやミズノが発売していました。
これも弾道調整機能と言えると思いますが、今回は説明を省きます。
ヘッドとシャフトを分解し、ロフト角やライ角を変えて弾道の高さやつかまりを変更できる画期的なクラブが登場したのが、8年ほど前の2009年でしょうか。
一躍人気クラブとなったテーラーメイドのR9シリーズ。
専用スリーブのついたシャフトを8通りの向きで挿すことで、ロフト角やライ角、フェース角を変えられる機能がついていました。
専用のトルクレンチを使って、カチッと鳴れば打っても外れないトルクで締められました。
これは、どこのメーカーでも同じで絞め過ぎ防止のためにカチッと空回りするのです。
一回鳴れば十分です。
ただ、ネジ受けの形が同じであっても、別メーカーのトルクレンチでは絶対締めないでください。
また、同じメーカーでも過去モデルの形や色の違うレンチは使わないようにしてください。
なぜなら、カチッとなる強さが同じではないからです。
テーラーメイドの場合、初代のウェイト可変のレンチはシルバーやイエローでしたが、弾道調整機能がついてからはホワイトカラーのレンチになりました。
とくにシルバー、イエロー、そして最初のホワイトレンチは見た目形は同じですから要注意です。
繰り返しますが、必ずそのモデル専用のトルクレンチを使用してください。
万が一があっては、遅いですからね。
可変式スリーブ付きシャフトの取り付け向きによる変化とは
基本的にどこのメーカーのスリーブも、シャフトの軸に対して傾きのついたスリーブとなっています。
その傾きがヘッドの向きとして現れるのです。
例えばグリップを普通に握ったときに、1度上に傾いたスリーブが取り付けられていた場合、逆さまにすると1度下に傾きます。
この状態はライ角-1度(フラット)といいます。
また、グリップを時計回りに90度回すと、右に1度傾いた状態になります。
これはロフト角-0.5度、フェース角-0.5度(オープン)、ライ角-0.5度といいます。
このように可変式スリーブの傾きがヘッドの角度の変化として現れるのです。
メーカーによっては、この傾きが1.5度だったり、2度だったりしますが、基本的な考え方は一緒です。
つまりシャフトの向きを変えることで起こる変化は、ロフト角、ライ角、フェース角の3つです。
しかし、メーカーによってはロフト角変化を謳わなかったり、フェース角の変化を謳わなかったりすることもあります。
それは変わっていないのではなく、その変化をアピールしていないだけだということ。
シャフトの固定も表と裏の2通りだけから、表裏左右の4通り、さらに斜めを加えた8通りといった違いもコンセプトに現れています。
可変式スリーブ付きカスタムシャフトの選択肢とは
同じ可変式スリーブが付いていれば、違うシャフトもすぐに試せるという画期的なシステム。
でもどれだけのシャフトを試したことありますか?
ほとんどのメーカーはオリジナル設計のシャフト、その他にカスタムシャフトが2~3種類といったところが多いです。
オリジナルシャフトはフレックスがR~Sまで選べても、カスタムシャフトは大抵60g台のS。
規模の大きい店舗だと70g台もあったりしますが、基本は定番カスタムとして店頭に並ぶシャフトしかありませんよね。
折角いろいろなシャフトに簡単に変えられる機能がついているのに、試せる機会が少ないのです。
違うヘッドで試打をして好感触であっても、メーカーカスタムをして作ってもらったらイメージが違ったなんてこともありえます。
なるべく作る前に、同じヘッドで試打をしたいですよね。
その場合は、さまざまなメーカーが定期的に開催する店内試打会や練習場での試打会に足を運ぶべきです。
また、事前にこういったシャフトはないのか、なければ当日までに準備してもらえるか尋ねましょう。
メーカーによっては、他の試打会用のスペックだったり、プロのフィッティング用のスペックを用意してくれたりするかもしれません。
可変式スリーブ付きシャフトのメーカーカスタム
メーカーカスタムは、定番スペック以外の硬さや重さのシャフトやロフト角違いや、グリップなどさまざまな指定をしてオリジナルクラブを作ること。
メーカーによって選択肢の幅はいろいろですが、40g台が選べなかったり、60gのRが選べなかったりとシャフトメーカーは作っていても、カスタム対象外といったこともよくあります。
実際そこまで需要があるスペックではない、ターゲットではないことも十分考えられますが、シャフトとして販売されているものはすべて入れられるようにしてもらいたいですよね。
需要の少ないシャフトだからといって、仕入コストに差がでるのでしょうか?
この辺りは担当ではない限り分かりません。
そして、大概シャフトメーカーの種類も大手シャフトメーカーに限られます。
日本における大手シャフトメーカーと言えば、
スピーダーシリーズのフジクラシャフト。
ツアーADシリーズのグラファイトデザイン。
ディアマナやバサラ、フブキなどの三菱レイヨン。
昔はこの3大メーカーでしたが、今では、
アッタスシリーズのシャフトラボ(USTマミヤ)を加えた4大メーカーでしょう。
また日本シャフトのNSPROレジオフォーミュラシリーズも取り付けられる場合もあります。
上記に挙げたメーカーの限られたスペックしか、メーカーカスタムで可変式スリーブをつけられないのが現実なのです。
メーカーカスタム以外で可変式スリーブを取り付ける方法
先ほど、メーカーカスタムで入れられるシャフトには限りがあることを説明しました。
では、メーカーで対応してくれないシャフトを取り付けたい場合、どうしたらいいのでしょう。
評判名高いシャフトの例を挙げると以下の通りです。
①クレイジーシリーズ
②トライファスのバシレウスシリーズ
③アルディラシリーズ
④コンポジットテクノのファイアーエクスプレス
⑤ムジーク
まだまだ挙げれば出てきますが、こういったプロやトップアマに認められているシャフトメーカーの試してみたいですよね。
であれば、探すのはそのスリーブを取り扱っている工房ですよね。
メーカー側はスリーブ単品では販売しないと言っていますが、専用スリーブはどこかから仕入れることができるのでしょうね。
製造元からの直売や海外からなのでしょうか。
新品のスリーブさえ手に入ってしまえば、どんなシャフトでもくっつけるのはクラフトマンであれば簡単。
そんなスリーブ販売、取り付けを行っている工房が近くにあれば細かく相談できますが、なければ送料をかけて送り、電話やメールで希望を伝えるといった対応をしてくれるところを探しましょう。
もしくはスリーブ単品で手に入れて、近くの工房に持ち込み依頼をしてみるのも手です。
あっさり断られるかもしれませんが。
工房で専用スリーブをつけた場合の注意点
もし専門工房で可変式スリーブを好きなシャフトに取り付けた場合、それはもう普通のクラブではありません。
ですから、使っていて不具合が発生してもメーカーは保証してくれません。
何かあれば、取り付けた工房に相談するしかないのです。
いかにすばらしい技術を持ったクラフトマンでも、100%はありません。
すべては、お願いした自分にも責任があると思ってください。
でも相談すれば、何かしら手を尽くしてくれるとは思います。
また、いかに高級な5万とか10万といったシャフトを取り付けても合わなければ後悔するでしょう。
そして、合わなければ中古で買い取ってもらうという手もありますが、これは考えものです。
ショップによってはしっかりと評価してくれるところもあれば、改造スリーブ付きというだけで、買い値を叩かれたり、買取拒否という場合もあるかもしれません。
また、違うクラブに移し替えて使おうにもスリーブ付きシャフトとして使うと思ったより短くなりすぎている場合もあります。
こういったデメリットもあることだけは、取り付け前にしっかりと把握しておく必要があるのです。
この記事が、可変式スリーブを付ける付けないの判断材料のひとつになることを願います。
今後のメーカーの動向に期待
今や可変式(弾道調整機能付き)クラブは当たり前。
今後はアイアンやウェッジにも波及していくようです。
そうなると、ひとつのヘッドでいろいろなシャフトを試したくなるのはゴルファーの性ではないでしょうか。
メーカーが取扱いシャフトを増やすのかどうか、ストックしなくても取り寄せで対応してくれるようになるのか期待したいところです。