ゴルフルールの改正で池の処置は大幅に変わるのか? 

最終更新日:2018/10/31

ゴルフ場の池に入ると、現行のルールでは1罰打のペナルティでドロップすることになります。

2019年を境にそのルールが変更され、処置の仕方も変わることになります。

そこで現行のルールと、2転3転する改正案の真の狙いについて紹介していきます。

ゴルフ場にある池の境界と入ったときの処置の仕方

ゴルフ場には池が配置されていますが、これはゲームを面白くするための戦略的な池と、コースコンディションを維持するための管理上の池があります。

仮に真っ平らなコースに雨が降ると水溜りができて、乾くまでグチャグチャのままです。

ところが池を作って雨水を1箇所に集められるように、大きな池(ハザード)とその池へ注ぐための細いの道(クリーク)を作れば、雨が止んだらすぐにプレーを始めることができます。

一般的に大きな池は赤杭で囲まれていて、小川や小さな池は黄杭で囲まれています。

池に入ると1罰打のペナルティがありますが、処置方法として池の近くにドロップしてプレーを再開することができます。

またそのままでも打てる場合は、ノーペナで打つことができます。

本来の池とは水面のあるところですが、ゴルフでは赤杭や黄杭で境界線を設けていて、線上よりも池側は例え陸地であったとしても池として処理をしなければなりません。

ちなみに杭の線上とは、陸側の側面が境界線になります。

ゴルフ場にある黄杭で囲まれたウォーターハザードの池の処置

一般的にゴルフ場にある大きな池は赤杭で境界線が示されているラテラルウォーターハザードで、小川や小さな池は黄杭で境界線を表しているウォーターハザードです。

わざわざ2つに分けている理由は、その処置の仕方が違うからなのです。

池の基本的な処理は、黄杭のウォーターハザードです。

池に入ったこと自体がペナルティなので、OBと同じように元の位置から打ち直すのが基本ですが、もう1つ選択肢があります。

黄杭の境界線から池となるので、その境界線を横切ったところの後方線上にドロップすることができるのです。

ドライバーショットの着弾点の横の池に入った場合には、池の後方線上のほうが「距離の有利」になるので、一般的にはこちらを選択することになるでしょう。

ところが池の後ろ側に行けない場合や、回り込むのに相当に時間がかかる場合は、黄杭の後方線上からの処理はできません。

つまり大きな池の場合には、赤杭のラテラルウォーターハザードを設置するわけです。

ゴルフ場の池の処置で有利なのは黄杭と赤杭のどっち?

後方にドロップができる黄杭の池ですが、後方まで行けない、または時間がかかりすぎるときは、赤杭を設置して横から打てるようにします。

ラテラルウォーターハザードのラテラルは「横から」と言う意味で、言葉の通り境界線を横切ったところから横に出してドロップすることができます。

黄杭同様に元の位置から打ち直すこともできますが、多くの場合は距離の有利性から横からの処置を選択するのではないでしょうか。

またグリーン手前の大きな池のように、後方から打てる場合には黄杭の池になっていることもあるので、必ずしもサイズで杭を決めているわけではありません。

後方線上の黄杭と横に出す赤杭を距離の優位性で考えると、赤杭のほうが絶対的に優位になります。

ゴルフの本質である「あるがまま」を考えると、ペナルティが加算されたとしても元の位置からのプレーに近い黄杭が正当と考えられていたので、ゴルフ場の多くの池は黄杭になっています。

ところが2019年のルール改正で、赤杭の池を主体とすることに決定したのです。

赤杭が主流になる予定

以前は黄杭の池が主流でしたが、2019年からは赤杭の池が主流になります。

なぜなら境界線の後方線上にドロップするという処置行為は、それだけの時間が必要となり、プレーの迅速化を提唱しているゴルフ界にとっては改めるべき点と考えたからのようです。

赤杭の池であれば、戻ることなく横からプレーが続行できるのですから、迅速化の観点からは都合が良いということなのでしょう。

元の位置から打つことからみれば、ずいぶんと距離は有利になっていましたが、それ以上にスピード化することが求めれる時代になっているのでしょう。

なお赤杭も後方線上にドロップすることができるので、グリーン前の大きな池でも困ることはありませんが、対岸に渡ることはできなくなります。

またルール改正に伴って若干ドロップの所作が変わります。

それまでは肩の高さからドロップしていましたが、改正後は膝の高さからドロップをしますので、落下点から極端に転がることはなくなるかもしれません。

また、すべての池が赤杭になるわけではなく、黄杭の池も残すことになっていますので、ルール上の不合理や処置での混乱はないでしょう。

2019年の新しいゴルフルールで池の処置は変わる

池の処置をするときにはマークが必要になります。

池の中のボールを取り出して、そのまま横に出すと誤所からのプレーになり、そのままプレーを続けると失格になる可能性があるので注意が必要です。

まずは境界線を横切った箇所を特定します。

元の位置から正確な箇所を特定することは難しいと思われますが、同伴競技者の中にいるマーカーに確認をとって、そこを基点にしてドロップをすることになります。

基点を特定するときはアバウトなのですが、ここから先はかなり厳密に処理をすることになります。

規定の範囲外に出たり、少しでも近づくとドロップをやり直さなくてはいけません。

赤杭で横にドロップするときは、基点とする境界線を横切った地点から2クラブレングス以内にドロップをしなければなりません。

2019年のゴルフルール改正によって膝の高さでドロップをするので、極端に転がるようなことはないと思われますが、仮に落下地点から1クラブレングス以上外側に転がった場合は再ドロップが必要になります。

新しいゴルフルールで池の名称が変わり処置の方法も変わる

新しいゴルフルールが定められるために、池の名称も変わることになります。

今までは池はハザードに区分されていましたが、今後はペナルティエリアと呼ぶことになります。

また赤杭はレッドペナルティーエリア、黄杭はイエローペナルティーエリアとなります。

以前よりも分かりやすくなりましたが、スピードアップの所作は不完全なものとなっています。

当初案ではかなり簡略化されていましたが、実施するにあたり現行の所作を踏襲することで決着したために、中には遅延に繋がる可能性のものもあるようです。

例えばドロップポイントから2クラブレングスを越えると再ドロップでしたが、新しいルールは1クラブレングスを越えると再ドロップで処置しなければなりません。

日本のゴルフ場は山岳コースがたくさんなあるので、傾斜のある池の周辺では再ドロップする可能性は高まることが予想されます。

またスピードアップを想定した池の処置のはずだったのに、ニアレストポイントがリファレンスポイントオブリリーフに名称変更されただけで、マークしてドロップを行なう所作は残ってしまいました。

このルール改正が最初の1歩になるのか、このまま定着するかは2021年の小改正で分かってくることになると考えられます。

過渡期のゴルフルール改正なので池の処置方法はほぼ同じ

ゴルフ場の池をハザードと理解していた多くのゴルファーは、新しいゴルフルールが定着されてペナルティエリアと判断するまで時間がかかるかもしれません。

そんな配慮もあってか、現行の処置方法とほぼ変わらずにスタートするようです。

ただプレーの迅速化の流れが変わることはなさそうなので、いずれは簡略化されたものになっていくと思われます。