ゴルフ競技「マッチプレー」の間違いやすいコンシードのルール

最終更新日:2018/10/11

先日のライダーカップご覧になりましたか?

アメリカとヨーロッパのプロゴルファーたちがマッチプレー方式で戦いました。

ところでマッチプレー方式とはどのような方式のことを言うのでしょう。

また放送中に何度も耳にした「コンシード」とは。

今回は、ゴルフ競技のマッチプレー、そしてそのルールとしてあるコンシードについて説明します。

合わせて間違いやすいルールについても説明します。

ゴルフ競技での「マッチプレー」とは

ゴルフ競技には「マッチプレー」と「ストロークプレー」があります。

ストロークプレーとは現在のツアートーナメントでも主流となっている試合形式で、全ホールのプレーを終えた段階での打数を競い合う競技方法になります。

最終的に最も少ない打数で終えた選手が優勝する分かりやすい形になります。

対してマッチプレーとは、先日行われたライダーカップや年末の風物詩ともなっている国内女子・男子・シニアの3ツアー対抗戦などで行われている競技方式になります。

2名あるいは2組のプレーヤーが1対1で対戦し、ホールごとの打数で勝敗を分けます。

途中で、一方の勝ち越したホール数が残ったホール数よりも上回った場合、そのホールで試合終了となります。

その勝敗を独特の表現方法で表され、1ホール勝った状態を「1アップ(up)」、負けた状態を「1ダウン(down)」と呼びます。

またルールの中にはコンシードとギブアップがあります。

明らかにカップインすると予測される場合に相手がコンシードすることが認められています。

逆に明らかに相手を上回れないと判断した場合にギブアップすることができます。

ゴルフ競技「マッチプレー」でのコンシードとは

ゴルフ競技「マッチプレー」でのコンシードは、先の簡単な説明で何となく理解できた人が多いかもしれません。

プライベートなラウンドでファストプレーのためカップイン確実な距離のパットの場合、「OK」することがありませんか?

それを「OKパット」と言います。

つまりコンシードとはマッチプレーでのOKパットになります。

「コンシード(Concede)」は日本語訳をすると「認める・許す」と言う意味です。

マッチプレーの際は、相手の判断でコンシードできるのですが、何も確実にカップインできる様な場合だけとは限りません。

戦略的に敢えてコンシードする場合もあるのです。

例えばAチームの①が3m、Aチームの②が10mのバーディーパットを残していたとしましょう。

そしてBチームの①は2mのパーパットを残しています。

Aチームの2人とBチームの①は同じライン上。

Aの②が先にパッティングし、そのパッティングが1mくらいのところで止まったとします。

ここでBチームの①がコンシードをする戦略もあるということです。

普通であれば、『1mあれば外す可能性が出てくるかも知れないのに何故?』と思ったでしょう。

この理由は、Aチームの①にラインを見せない為にコンシードをしたのです。

これはマッチプレーならではの戦略となります。

ゴルフ規定違反のコンシードを了承した場合

コンシードにも当然ゴルフ規定はあります。

ゴルフ規定違反のコンシードをもし了承したらどうなるのでしょうか。

マッチプレーでは先にパットした人のボールが残り数十センチであっても、そして両者が合意しても「お先にパット」はゴルフ規定違反となります。

ストロークプレーでお先にパットは普通に行われているのでついついしてしまいがちなのですが、マッチプレーでは十分気をつけましょう。

相手の許可無くお先にパットをしてしまった場合、パッティングした本人が失格となるからです。

またルールを知らずお先にパットを相手が許可した上でパッティングした場合、両者とも失格となります。

マッチプレーではカップからボールの遠い人からパッティングすると言うのが基本のルールとなります。

この基本のルールは原則変わることはありません。

ですからコンシード無しにボールに触れることはマーク時以外は失格となります。

またプライベートのラウンドでは、初心者等に気づいた人や上級者がOKを言うときがあります。

しかしマッチプレーでは対戦相手にしかコンシードをする権利はないので気をつけてください。

コンシードしたときの対応は

競技に積極的に参加するゴルファーでない限り、ゴルフ競技「マッチプレー」を経験する機会と言うのはあまり無いかもしれません。

しかしマッチプレーは公式競技だけでなく、ゴルフ場主催のコンペ等で行われる場合もあります。

ですからルールやマナーを知っておくといざと言う時に役に立つはずです。

コンシードをする要領はつかめたと思いますが、その後の対応についても説明しておきます。

コンシードをした後に自分のパタークラブで、ボールを相手に転がして返すのはペナルティにはなりません。

しかしボールは拾って返すのが最低限のマナーなので気をつけてください。

またグリーン上でパッティング以外に自分のボールを打つのは、パターの練習とみなされる可能性もあります。

コンシードした後の正しい対応は、①コンシードされた人がボールを拾う、②コンシードしたら相手のボールを拾って返すのどちらかです。

パットで転がして返すのはルール上はOKでもマナー違反ですので、マッチプレーに限らず相手や周りに誤解を与えるような行為をしないことが最低限のマナーにもなります。

マッチプレー以外であるコンシードで使う言葉

マッチプレー以外で使われているコンシードとは先に軽く話しましたが、コンシードはプライベートラウンド等で良くある「OKパット」と同じです。

ストロークプレーでコンシードされたと認識しボールを拾い上げるとペナルティ1打が科せられます。

しかしアマチュアゴルファーがラウンドする際は、世界的に短いパットを免除するOKパットは常習的に行われています。

日本では「OK」を使いますが、アメリカでは「ギミー(gimme)」を使うようです。

GIVEMEを略した言葉なのですが、近年では辞書にも載っている正式なゴルフ用語となっています。

アメリカツアーでのマッチプレーをテレビ等で見ている時に良く耳を澄ましてください。

選手たちはコンシードする際に「OK」や「Concede」とは言わずに「Good」と言っています。

また「イン・ザ・レザー(in the leather)」と言うのもあります。

これは多くの方が聞きなれない言葉でしょう。

現在のグリップはゴム製ですが、昔は革製でした。

ですから「グリップの長さの距離はボールを拾って良い」と言う意味で使われているのです。

OKパットの危険性

マッチプレーをする機会のないゴルファーでもコンシード、一般的なOKパットの経験がある人は多いでしょう。

しかしこのOKパットに慣れてしまうと恐ろしいことになるので気をつけてください。

それは短いパット恐怖症になることです。

短いパットの経験値が圧倒的に減ってしまうので、入らないかもしれない、どのくらいの強さで打てば良いのか分からないなど、短い距離にも関わらず不安が何倍も募るようになってしまいます。

結果、アプローチやロングパットでカップに寄せても外してしまう可能性が高まるのです。

ラウンド中に外すことが増えるとイップスになったり、更に不安は強まります。

こうして恐怖の悪循環になるのです。

OKパットに慣れてしまうことは非常に危険です。

短いパットが入らなくなるだけでなく、ゴルフでに致命傷とも言われているイップスになる可能性もあるからです。

仲間内とのラウンドが多い人は、話し合ってOKなしのラウンドの日も設けるようにすると良いでしょう。

短い距離でもバーディーパットやパーパットは緊張するものです。

その緊張感を味わうこともゴルフ上達のためには必要です。

機会があればマッチプレーへ挑戦して!

公式競技やゴルフ場主催であればマッチプレーをすることがありますが、普通の人はなかなかマッチプレーをすることはありません。

友達とのラウンドや自分主催のコンペでマッチプレーを取り入れて見ると面白いですし、良い経験にもなります。

ストロークプレーとは違ったルールを体験することもできます。

機会がないのであれば機会を作ってみても良いでしょう。