ゴルフ場のプレー時間は4時間以内としている場合と、5時間を目安にと推奨している場合があります。
プレーの速度はもちろんのこと、ゴルフ場のグレードやスタートの間隔、また経営の視点から適切な時間配分について考察していきます。
ゴルフ場が定めるスタート時間の目安を守るポイントは?
ゴルフ場が設定しているラウンド時間の目安は、4時間以内と言われています。
ゴルフ場によって違いはありますが、基本は6分間隔でスタートします。
アウトスタートの1組目が7時にスタートすると、20組目は8時54分にスタートすることになります。
もしも18ホールをスルーでラウンドしたら、インの21組目になる9時スタートは、アウトの7時スタートの1組目が回り込むことになるわけです。
つまりアウトの1組目は必ず9時にインをスタートができるように、1時間55分には9番ホールを終わっていなければなりません。
1組目が遅れると後続組は通常のスタートができずに、待たされることになります。
また1組目が早くても、2組目以降が遅れれば同じことになるので、後続組が6分間隔でスタートできるように、すべての組に迅速なプレーが求められます。
6分間隔でスタートするために気をつけるポイントは、自分の番がきたらすぐに打てる準備をしておくことです。
ティーグラウンドが空いたら後続組のオナーはティーアップして、セカンド地点が空くのを待ちます。
オナーが打ち始めてから6分後には、自分の組のすべてのプレーヤーがセカンドショットを打ち終わらなければ、6分間隔でスタートしていくことができません。
ゴルフ場がラウンドの目安を5時間以内にする理由
ネットをみるとゴルフのラウンド時間は、「5時間以内」と表示されていることがあります。
どこのコースも2時間まででスタートは完了できるように想定しているので、本来は4時間以内でのラウンドを設定するべきです。
ところが実際のラウンド時間を5時間以内としているのは、ハーフ休憩の時間を余分に取っているからです。
休憩時間を差し引けば、4時間が通常の目安になるはずです。
この1時間の休憩時間に最大で片側10組、アウト・インの合計で新らたに20組を挟むことができます。
つまりゴルフ場の中には、60組のプレーヤーがいることになるわけです。
1年間の営業を350日で換算すれば、1日60組で最大で4万2000人の入場者が見込めることになります。
プレーフィが平均1万円であれば売上は4億2000万円、1万5000円であれば6億3000万円ですから、ゴルフ場にとっては是が非でも60組は確保したいところです。
ゴルフ場はゴルファーに対して、「プレーの迅速化」を求めるのは、営業の観点からすると至極当たり前のことであり、ゴルファーにとってはプレーフィに係わることになります。
スタート時間の目安を8分間隔にするゴルフ場は努力が必要
スタート時間の目安を6分間隔にとるのは難しいと考えているゴルフ場があります。
6分間隔ならアウトスタートが20組、インスタートンも20組、2時間で合計40組をスタートさせることができます。
ところが7分間隔にするとは2時間の合計は34組、8分間隔にすると30組しか予約を取ることができません。
ゴルフ場経営で考えれば、40組と30組では営業収入が25%も違ってくることになります。
6億3000万円の収入が4億7250万円になるのですから、それに見合ったプレーフィを設定する必要があるでしょう。
平均1万5000円のプレーフィを25%値上げすると1万8750円となりますが、平日に税抜きでこれだけのプレーフィを設定できるゴルフ場は限られています。
そこで営業戦略としては、メンバー比率を変えるのが一般的です。
またスタート枠を広げて「帰りの飛行機の時間に間に合わせる」ための早いスタートを設定したり、到着後に「練習ラウンド」と称して薄暮プレーギリギリのスタート時間を設定したりします。
もちろん人気のない時間帯は、「ツアー客=ビジター料金」で埋めることで、8分間隔の維持が可能になるわけです。
ゴルフ場のスタート時間の目安を1打当たりで換算してみる
スタート時間を6分間隔で設定してるゴルフ場のラウンド時間は4時間ですが、8分間隔の場合は5時間がラウンド時間の目安になります。
パー72のコースでは、ショット数が36打でパター数も36打を基準にしています。
そこからラウンド4時間を1打当たりで換算すると、1組4人の時1人が1打に費やせる時間は50秒です。
しかも、この時間には1打目から2打目に移動する時間も含まれています。
1ラウンドを72打でプレーできる人は、限られたプレーヤーしかいません。
仮に100打でラウンドする人が4人でスタートすると、1人当たりの1打は36秒と言うことになります。
パターの「お先に」を考えても、1打は40秒以内にしないと、後続組が詰まってしまう計算です。
こうしてみると6分間隔ではタイトな時間制限となりますが、ラウンド時間が5時間の8分間隔ではどうでしょう?
ラウンドが72打であれば1打あたり62秒、100打であれば45秒です。
1打で換算すると約10秒の違いがあるので、1ホールあたり30秒から1分程度は余裕があることになり、少し気持ちにゆとりが生まれるかもしれません。
ゴルフ場経営の観点からスタート時間の目安を考える
たった2分間の違いですが、単純にプレーフィで換算すると、6分間隔が1万円の時に8分間隔は1万8750円の設定が妥当ということになります。
この机上の数値は1組4人を目安に計算していますが、実際のスタート人数は1組3.5人で計算するのが一般的ですから、さらに高額なプレーフィを設定しないと、ゴルフ場は減益になってしまいます。
つまり各組のプレー時間とプレーフィの設定は密接な関係にあると言うことです。
いわゆる高級コースはゆったりした8分間隔でスタートできますが、大衆コースはセカンド地点まで小走りする6分間隔でスタートしてもらわなければ、同じ儲けを得ることはできません。
そう考えると高級コースのほうが儲かりそうに思えますが、高級コースはメンバー同伴を原則にしていて、3.5人の内の1人は確実にメンバーフィです。
しかもプレーフィが割高な土日祝日ではメンバーフィの割合が増えて、1組に2人程度が1万円を切ってしまう可能性が高くなり、儲けの少ない経営となってしまいます。
プレー時間の目安を読むことがゴルフ場経営にとって重要
高級コースはビジターのみのスタートを規制していることが多いため、週末はメンバーの利用度が高くなります。
利益の観点で考えれば、土日祝日のメンバーとビジターの比率が5対5になると、経営上は厳しい状態になるはずです。
一方で大衆コースでは「メンバー同伴」を謳っていても、ネット予約でビジターを取り込んでいます。
割高なプレーフィが設定できる土日祝日に、ビジターを詰め込むことができるため、利益を生み出すことが可能になります。
机上では売上増加になりますが、実際にはビジターが多くなると進行が遅れるので、プレー時間が遅れて「待ち待ち」の状態が恒常化します。
ゴルフのリズムが崩れるとスコアに影響を与えますし、なによりも「面白くない」と感じてしまいます。
大衆コースとは言え土日祝日は割高な料金設定なのに、1打ごとに先行組が詰まっているようでは、「2度と来たくない」とまで感じるようになってしまいかねません。
結果的に6分間隔を目安とし、途中にスタートしない時間を設けて、詰まりを解消するしかありません。
儲かるビジターが増えれば進行が遅れ、スムーズに進行するメンバーが増えれば利益が失われることになります。
ゴルフ場が「プレーの迅速化」を求めるのは、ゴルフのマナーと言うよりも、経営上の観点が大きいのかもしれません。
ゴルフ場のスタート間隔がプレー時間の目安になる
ティーショットの目安は1人15秒、4人で1分間です。
230ヤード先のセカンド地点まで、プロ並みに1歩で1ヤードを歩くと約2分です。
セカンド地点で狙いを定めて素振りをしてからのショットで1人40秒、4人で3分が必要です。
ティーショットで1分、歩行で2分、セカンドショットが3分で合計時間は6分間です。
これがゴルフ場を利用する時の基準タイムと言うことになります。