ゴルフを始めた人はそのルールもさることながら、聞きなれない言葉の多いことに閉口するという話を良く聞きます。
確かにボギーの他にパーやバーディー、イーグルそしてアルバトロスなどの言葉も、ゴルフで初めて聞いたという方は少なくないはずです。
こうしたゴルフの言葉は、ほとんどが発祥の地であるイギリスで使われ始めたもので、その後大きく発展したアメリカで完成されたようです。
ゴルフルールのスコアの数え方であるボギーの対極のパーとは
そもそもゴルフというスポーツは、イギリスのスコットランド地方で16世紀頃に始まったと言われています。
そのため細かく規定されたルールとともに、スコアを数える言葉も、パー(Par)やボギー(Bogey)など、英語由来の言葉がほとんどです。
ゴルフは1~18番までのホールを、規定打数の72でいかに回るかを競う競技です。
稀に70や71、73などのコースもありますが、基本は72です。
そして1~9番までをOUT、そして10~18番までをINと呼びます。
各ホールの基本はパー4×18=72なのですが、パー4ばかりでは面白くないので、前後半にそれぞれパー3とパー5を2つずつ配置してメリハリをつけています。
まずパーという言葉が出てきましたので、これについて説明しましょう。
これは日本語で規定打数という意味です。
つまりこのホールは規定打数の4で上がるとパーとなり、全てのホールを規定打数の72で上がると、それはパープレーでラウンドしたということになります。
こんなスコアで回れる人はもう立派なプロと言って良いですね。
ゴルフルールのスコアの数え方でボギーのかつての意味と由来
ゴルフの様々なルールの中のスコアの基準となるパーについて前項で説明しました。
この後は、パーより多く叩くボギーなどの言葉について触れていきます。
まず「ボギー」ですが、『Bogey』を英和辞典で調べると、悪魔、化物、妖怪などの意味もあるようです。
ゴルフが今のスポーツの原型となった17~18世紀のスコットランド地方では、どうやらボギーが今でいうパー(規定打数)だったようです。
そしてボギーで上がると、内輪だけで通じるスラングで「お化けスコア」と呼んでいたのです。
道具がまだ貧弱なこの時代、ボギーで上がることですらまだ至難の業でもあったのでしょうね。
その後アメリカでイギリスに対抗する意識から、規定打数はボギーからパーに変更され、いつの間にかボギーはパーより1打多く叩いた数になったのです。
ボギーのひとつ下をダブルボギー(通称ダボ)と呼びます。
同様にパーに3打及ばないスコアをトリプルボギー(通称トリプル)と呼びます。
これ以上のスコアには次のような名称がつけられていますが、殆ど使われていません。
パー+4はクワドループル(Quadruple)ボギー、パー+5をクィンテュープル(Quintuple)ボギーと言います。
ゴルフルールのスコアでボギーの対極のバーディーの由来
次にゴルフのルールの中のパーより少ないスコアの呼び方について見ていきましょう。
パーに対して1打少ないスコアをバーディー(Birdie:小鳥)と呼び、2打少ないスコアをイーグル(Eagle:鷲)、そして3打少ないスコアをアルバトロス(Albatross:アホウドリ)と呼びます。
そしてこれは現実的にほとんど起こりえないスコアですが、パーより4打少ない、つまりパー5を1打で入れるスコアをコンドル(Condor)、やダブルアルバトロス、或いはトリプルイーグルと一応名前だけは付けられています。
これらの言葉を良く眺めてみると、面白いことに全て鳥の名前がつけられていますよね。
20世紀初頭、英国のあるゴルファーが1打少なくホールを終えた時、彼の打った球を「flew like a bird (鳥のごとく飛んだショット)」と誰かが言ったのが始まりだと言われています。
「bird」を英和辞典で引いてみると、俗語で「立派(みごと)なもの」という意味もあります。
これに愛称語の「ie」を付け、「birdie(バーディー):小鳥ちゃん」と呼ばれるようになったようです。
ボギーと違って、やはり良い意味なのは間違いありません。
ゴルフルールのスコアでボギーの対極のイーグルなどの由来
ゴルフのルールの中のボギーの対極のバーディーの由来について前項で触れました。
それ以外にイーグル、アルバトロスそしてコンドルと鳥の名前がつけられていることにも触れました。
面白いことにバーディー(小鳥)から、鳥のサイズが少しずつ大きくなっています。
イーグル(鷲)は大きくさらに遠くへ飛べる鳥です。
そしてアルバトロスの日本語はアホウドリですが、警戒心のない、どちらかというと間抜けな鳥というイメージですが、体重が10kgもあり、羽を広げると2~3メートルもあって、風を捉えると遠くまで飛べる鳥なのです。
しかし日本人的には、パー5を2打で入れる「そんなアホな!」というところから来たのではと、誤解されている方も少なくないようですね。
そして最後はコンドルですが、これはかつて一世を風靡した米国のフォーク歌手コンビのサイモン&ガーファンクルが唄って有名になった、「コンドルは飛んでいく」というのがあります。
この歌にあるようにコンドルは南米ペルーのアンデス山脈をどこまでも飛翔するというイメージがあります。
ゴルフスコアのイーグルなどの難度
ボギーは簡単に出せますが、その対極のバーディーやイーグルなどは、実際どの程度難しいのでしょうか。
ここではそれぞれの難度について触れてみていきましょう。
まずパー3のショートホールを1打で入れると、それはホールインワンであり、同時にイーグルでもある訳です。
このホールインワンは良く人生に一度あるかないかと言われていて、平均的アマチュアゴルファーでは1/45,000の確率だと、米国のSports Illustrated 誌で紹介されています。
しかしルールを逸脱しない近年のゴルフ道具の進化で、奇跡を起こす人が結構出て来るようになりました。
ただコンドルは長い世界の歴史の中で4回しか達成されていないようです。
それでもパー5を1打で入れた人が4人もいたというのですから驚きではあります。
米国では 年間40,000回程あるパー3のホールインワンに比べて、アルバトロスは200回程度しかないそうですから、ざっと200倍難しいことになります。
このように難しいイーグル(ホールインワン)、そしてアルバトロスですが、実は難しいこの2つを1つの大会で同時に達成した日本の女子プロがいるのです。
それは2011年のスタンレーレディスに出場した有村智恵プロで、彼女は8番でアルバトロス、そして16番でホールインワンを見事に達成したのです。
ゴルフルールにおけるスコアの呼称の再整理
ボギーやパーを中心に前後のスコアの呼称について触れてきました。
つまりパーより打数の多いボギーは、かつてはそもそも今のパーに等しかったようで、当時は、「お化け」のようなものと揶揄されたことがあったことにも触れました。
また難しくなるにつれて、大きく遠くまで飛べる鳥の名前がつけられていることにも触れてきました。
ここではそのスコアの呼び方を、パーを中心に上下に並べて、改めて確認してみましょう。
-4 コンドル(Condor):世界で過去4回の達成者がいるのみ
-3 アルバトロス(Albatross):アホウドリと呼ばれ100万回~200万回に1回の確率
-2 イーグル(Eagle):鷲の意味で、ショートホールのホールインワンなど
-1 バーディ(Birdie):小鳥ちゃん
0 パー(Par)
+1 ボギー(Bogey):かつては「お化け」と言われていた
+2 ダブルボギー(Double Bogey):通称ダボ
+3 トリプルボギー(Triple Bogey):通称トリプル
+4 クワドループルボギー(Quadruple Bogey):あまり使われない
+5 クィンテュープルボギー(Quintuple Bogey):あまり使われない
これを覚えればゴルフルールのスコアの呼び方はマスターしたと言えます。
ボギーなどの名前は英国の遊び心に満ちている
ボギーやパーなどのスコアの表現は、かつてのスコットランドでの言葉がベースになっていることに触れました。
ゴルフは紳士のスポーツと良く言われるように、ルールは厳格そのものです。
とはいえ、厳しいルールの中にもバーディーやイーグル、そしてアルバトロスなどの鳥の名前を冠するなど、そこには遊びの精神を織り込んで楽しむ英国流の精神が散りばめられていることに改めて気づかされます。