普段私たちがするゴルフは打数で競うストローク方式ですが、1対1で対戦するマッチプレー方式というものもあって、それには『OK』というルールがあります。
しかしOKなら私たちもグリーン上でいつもやっていますが、そのOKとマッチプレーのOKとは少し意味が違うらしいのです。
そもそもマッチプレーとはどういう競技かご存知でしょうか。
今回は、マッチプレーについてお話し、本来のOKについて考えていきます。
ゴルフのマッチプレーなど競技方式の種類
ゴルフの競技方法のひとつのマッチプレーの中で良く出てくるOKの話をする前に、ゴルフの競技方法には、どのようなものがあるのかについて触れておきましょう。
まず最初はストローク方式です。
これは皆さんが普段されているゴルフの競技方式で、もちろんコンペなどもこの方式で競われるのが一般的です。
その他には、ケースとしては少ないのですが、ポイントターニーと呼ばれる方式もあります。
これはホール毎のスコアに次のような点数をつけ、獲得した合計点で勝敗を決めるというもので、芸能人とプロが一緒になってプレーする、年末年始のテレビのおせち番組がこの方式を良く採用しています。
つまり、
ボギー以下 0点
ボギー 1点
パー 2点
バーディー 3点
イーグル 4点
アルバトロス 5点
などです。
そして最後にマッチプレー方式です。
これは2人のプレーヤーがホール毎にその勝敗を18ホールで競うものです。
世界マッチプレー選手権や日本マッチプレー選手権は毎年行われていて、ご覧になったことある方も多いでしょう。
ゴルフマッチプレー競技の勝敗はどのようにして決まるの?
ゴルフのマッチプレーをAさんとBさんの実際の試合で、その成り行きを見ていきましょう。
正式競技のマッチプレーですからハンディのないグロスの勝負です。
左から順にホール番数、パー数、Aスコア、Bスコア、勝敗の状況です。
(OUT)
1番 パー5 5 5 (引き分け)
2番 パー4 4 4 (引き分け)
3番 パー3 3 4 (Aさんの勝ち) Aさん1アップ AさんOKもらう
4番 パー5 5 5 (引き分け) Aさん1アップ
5番 パー4 5 4 (Bさんの勝ち) スクエア BさんOKもらう
6番 パー3 4 3 (Bさんの勝ち) Bさん1アップ
7番 パー4 4 5 (Aさんの勝ち) スクエア
8番 パー4 4 4 (引き分け) スクエア
9番 パー4 5 4 (Bさんの勝ち) Bさん1アップ
こうして前半はBさんの1アップで終了しました。
(IN)
10番 パー4 4 4 (引き分け) Bさん1アップ
11番 パー4 4 4 (引き分け) Bさん1アップ
12番 パー4 3 5 (Aさんの勝ち) スクエア
13番 パー5 6 7 (Aさんの勝ち) Aさん1アップ
14番 パー3 4 5 (Aさんの勝ち) Aさん2アップ
15番 パー5 5 7 (Aさんの勝ち) Aさん3アップ
16番 パー3 4 4 (引き分け) ドーミーホール Aさん3アップ(Aの勝利確定)
17番 パー4 決着済
18番 パー4 決着済
前半Bさんがリードしましたが、後半はAさんが盛り返し、ドーミーホールの16番を分けて決着をつけました。
ゴルフマッチプレーの競技方法とOKを実例で見ていこう
前項はAさんとBさんがゴルフのマッチプレーで対戦した結果です。
OKが出たホールと、どこで決着がついたのかを詳しく見ていきましょう。
出だしの2ホールは互いにパーで分け、3番でパーのAはボギーのBに勝って1アップ。
この時、Aのパーパットは残り10cmのため、BはAにOKを出しました。
4番のロングは互いにパーで分け、5番のパー4でボギーのAに対してBはパーパットを10cmに寄せ、AからのOKでパー。
つまりこのホールを勝ってスクエアに戻しました。
そして6番で勝って1アップにしましたが、7番でボギーを叩き、パーのAに再び並ばれました。
8番を分けると9番ではチップインでパーを拾い、ボギーとしたAにBは勝ち、前半を1アップで終えました。
後半は出だしの2ホールで分けたものの、12~15番までAが連続して勝ち、3ホールを残してAの3アップです。
この時点でAの負けはなくなり、勝つか引き分けという状況です。
従って次の16番は勝負を決するホール、つまりドーミーホールです。
16番でBはAの15cm残したパーパットを見ながら2mのパーパットを沈めましたが、AにOKを出してこのホールは分けとなり、この時点でAの勝利が確定したのです。
OKを使うマッチプレーとストロークプレーとの違い
今でこそ世界のゴルフ競技方法はストローク方式が主体となっています。
けれどもゴルフの聖地と言われるスコットランド地方では、16~17世紀からごく最近に至るまで、その競技方式の主体はマッチプレーでした。
ストロークプレーに比べてマッチプレーは競技の日程が長く、出場する選手数やその組み合わせによる運不運など、問題が多いにも関わらずです。
さてマッチプレーは先の実例で見ましたように、1対1でホール毎の勝敗を競い、勝ち残りのトーナメント方式で優勝を争うものです。
そしてストローク方式は今でこそ主な競技方式なのですが、当時はマッチプレーに出場する権利と組み合わせを決めるという位置づけにしかすぎなかったのです。
さて、マッチプレーの対戦相手はストローク方式のように不特定多数ではなく、いま目の前にいる相手だけです。
ですからストローク方式ではあり得ない、相手からのOKをもらうことでパットすることなく、ボールを拾い上げることもできるのです。
OK以外の馴染みのないゴルフのマッチプレーで使う用語を見てみよう
ゴルフのマッチプレーをテレビ中継で見ていると、聞きなれない言葉が良く出て来ます。
1ホールをリードしているという表現は1アップ(up)と言い、逆にリードをされている方は1ダウン(down)と言います。
引き分けのホールは英語でhalvedと言いますが、日本語ではハーフという言葉を使います。
そしてゲームの展開が拮抗して同点の場合はスクエア(square)か、またはオールスクエア(all square)と言い、劣勢のプレーヤーが逆転をすることが不可能となったホールにおいて試合終了となります。
マッチプレーでは18ホールに至る前に決着を見ることが少なくありません。
先の例のように、Aが3アップして残すホールが2ホールであれば、その時点で勝敗が決まります。
このことを「3&2でこの勝負は決した」と表現します。
つまり2ホールを残して3アップで勝敗は決したことを簡潔に表現したものです。
具体的に言えば、16ホールを終えた時点で3アップで決着ということです。
そしてこの決着のつくホールのことをドーミー・ホール(dormie hole)と言います。
先の例のようにOKを出して、苦渋の決着をするということもあるのがマッチプレーなのです。
ゴルフのマッチプレーを見ているとOKもして良いようだ
ゴルフは遠い者から順に打つのが原則です。
けれどもアマチュアのストロークプレーなどでは、グリーン上でカップから近くであれば、プレーファーストなどの理由で「お先に」と言ってパットをすることがあります。
しかし正式なストロークプレーの競技においては、この「お先に」もOKもありません。
マッチプレーの競技においてもこの「お先に」はもちろんなく、もし対戦相手がこのように先にパットをしてカップに入れた場合、もう一方の競技者はそれを無効にする権利があるのです。
しかしながらマッチプレーでは、対戦相手のボールが明らかに1パットで入る近い位置まで寄っていると判断した場合は、OKを出すことができます。
このことを「コンシード(concede)する」と言います。
またストロークプレーとマッチプレーとで異なるルールが、ホールアウト後のパットの練習です。
前者がそれを禁じ、違反者は2打罰としているのに対し、後者はプレーを遅らせない範囲であれば、することは認められているのです。
ゴルフのストロークプレーのOKとマッチプレーのOKとの違い
通常私たちがプレーするゴルフ(ストロークプレー方式)では、グリーン上での1グリップのOKというものがありますが、これはスピードを早めることを目的に、アマチュアの間だけで行われるもので、正式な競技の場合はありません。
一方マッチプレーでは2人の競技者がホール毎に勝敗を競う競技であることから、近い距離にある相手のパットにOKを出すことは少なくありません。