ゴルフコースを何度かラウンドされた方は、スコアカードの隅にホール毎のハンデ(HANDICAP)というものが書かれていることに気づいて、この数字は何だろうと思われた方も少なくないでしょう。
良く見ると、それはアウトが奇数でインが偶数となっていて、1~18までの番号がつけられています。
このホール毎のハンデ、そもそもどういう意味なのでしょうか?
またこれは、何のために書かれているのでしょうか?
ゴルフのホール毎にあるハンデは何のためにある?
このゴルフ場の各ホールにつけられたハンデは、良く使う個人の技量を示すハンデと同じ言葉を使うことから、混乱される方も少なくないのですが、実はこの2つのハンデは全く違うものです。
ホール毎のハンデは、通常はアウトが1、3、5…などの奇数で、インが2、4、6…の偶数になっています。
このハンデは、正式名称「ストロークインデックス」と呼ばれています。
ではこれは、何のために表示されているのでしょうか。
これは技量の差(個人のハンデ差)のあるプレーヤーが、ホール毎のマッチプレーで勝負をする場合、力を均等化するために付与されるホールを難しい順に示したものなのです。
例えばハンデ5のAさんとハンデ10のBさんが競う場合、その差5つに相当するホールで、AさんがBさんに各1打与えることで、実力を均等化するという時に使います。
この2人の場合は差が5ですから、ハンデ1から5までのホールでBさんに1打のハンデが与えられることになります。
つまりこの5ホールでは、AさんがパーでもBさんはボギーで上がれば、引き分けになるということです。
ゴルフコースのホール毎のハンデ(HD)で実際の勝負を見てみよう
それではゴルフコースのホール毎のハンデを適用したAさんとBさんのマッチプレーの戦況を、実際のスコアの推移で細かく見ていきましょう。
左から、ホール番数/PAR数/ホールHD/Aスコア/Bスコア/勝敗の状況、です。
1番/PAR5/3/5/6(HD hole引き分け)
2番/PAR4/11/4/5(HD外hole Aさんの勝ち)A+1
3番/PAR3/15/4/4(HD外hole引き分け)A+1
4番/PAR5/1/5/6(HD hole引き分け)A+1
5番/PAR4/5/5/5(HD hole Bさんの勝ち)A+0
6番/PAR3/17/4/5(HD外hole Aさんの勝ち)A+1
7番/PAR4/7/4/5(HD外hole Aさんの勝ち)A+2
8番/PAR4/9/4/4(HD外hole引き分け)A+2
9番/PAR4/13/5/5(HD外hole引き分け)A+2
アウトTOTAL 40 45
前半はAさんの2アップで終了。
10番/PAR4/10/4/4(HD外hole引き分け)A+2
11番/PAR4/8/4/4(HD外hole引き分け)A+2
12番/PAR4/6/5/4(HD外hole Bさんの勝ち)A+1(Bさん1つ戻し)
13番/PAR5/2/6/7(HD hole引き分け)A+1
14番/PAR3/14/4/4(HD外hole引き分け)A+1
15番/PAR5/4/5/7(HD hole Aさんの勝ち)A+2
16番/PAR3/18/4/4(HD外hole引き分け)A+2
17番/PAR4/12/4/4(HD外hole引き分け)A+2(ここでAさんの勝利確定)
18番/PAR4/16/5/5(HD外hole引き分け)A+2
インTOTAL 41 43
TOTAL 81 88
Bさんは5ホールのハンデをもらって善戦しましたが、最後は経験豊富なAさんが2アップで勝利したという結果です。
ゴルフのホール毎のマッチプレーはハンデ付与で力を均等化
ゴルフ競技のマッチプレーの戦況を、実際のスコアの例を適用して紹介しました。
マッチプレーは、ストロークプレイとはまた一味異なる心理戦があるのです。
AさんとBさんはいつも張り合っている間柄です。
Bさんは最近調子を上げ、ハンデを5ホールもらえれば今度こそは勝てるのではと、今日のラウンドに臨んでいます。
1番はハンデのお陰で分けたものの、ハンデのない2番では早速獲られてしまいました。
3番4番では何とか凌ぎ、ハンデホールの5番のパー5でパーを拾って、同じパーのAさんにハンデで何とかイーブンに押し戻しました。
そこで安心した訳でもないのですが、6番、7番と立て続けにAさんに獲られて、瞬く間に2ダウンとなりました。
しかし8、9、10、11番と必死に食らいつき、12番をチップインパーとしたBさんは、また1差に押し戻しました。
そして13番、14番と何とか耐えていたBさんは、疲れがみえてきた15番で痛恨のダボを叩いて再び2打差にされると、そのまま押し切られてしまったという流れです。
この日もリベンジできなかった悔しさを、Bさんはまた味わったのでした。
ゴルフコースのホールにあるハンデはどのように決めるのか?
それではゴルフコースのホール毎のハンデとは、一体どのようにして決められるのでしょうか。
実際には様々な決め方があるようですが、ここではその代表的なものについて紹介します。
まず次のように3ホールずつをグループに分けます。
1~3番をAグループ
4~6番をBグループ
7~9番をCグループ
10~12番をDグループ
13~15番をEグループ
16~18番をFグループ
とします。
このグループの難易度は、ゴルフ協会が指定した各レベルの技量を有するプレーヤーが実際にプレーして集めた、膨大なデータを綿密に分析して決めたもののようですが、細かな内容は大変複雑なので説明は割愛します。
この膨大なデータを分析した結果、一般的なゴルフ場のグループの難易度を上から順に並べると、
4~6番(B)
13~15番(E)
1~3番(A)
10~12番(D)
7~9番(C)
16~18番(F)
という順に大体はなるようです。
因みにどこのゴルフ場もおよそこのように造られているようです。
このグループの上から順にハンデ1~6を付けます。
同様の順番で2、3位グループのハンデも決めていきます。
この結果ハンデ1は必ず4~6番で出てきますが、そのホールが必ずしも難易度が最も高いという訳ではありません。
実際はグリーンのピンの位置で難易度は変わってきます。
ゴルフ場のホール毎のハンデは目安としては利用すべきか?
このようにゴルフ場のホール毎のハンデは実際の難易度ではなく、あくまでも目安となるものにしか過ぎません。
そしてこれはマッチプレーという競技でのみ適用されるものなのです。
つまりプレーヤー同士の技量の差を、難しい順に並べられたホールの数で調整するというものです。
ただ通常のゴルフ(ストロークプレー)をする場合は、このハンデはあまり意味がありません。
とはいえ、ハンデの数値を確認してプレーすることは、それなりの意味がなくもありません。
つまり「ここはハンデ1のホールか?だったらボギー狙いで、結果はダボでもいいか?」などと、難度が高いコースを攻めるひとつの目安としては十分に使えるのです。
このようにホール毎のハンデを眺めながらのプレーは、スコアメイキングには十分に使えるものですし、このように考えることで、これまでになかった余裕のようなものも生まれてくるのかも知れません。
そういう意味では、ホール毎のハンデを有効に利用するという方法もあろうかと思います。
ゴルフのホール毎ハンデよりはコースレイアウトを確認すべき
一般のゴルフプレーヤーはホール毎のハンデを気にするのではなく、むしろコースレイアウトを重視した方が賢明です。
コースには目に見える或いは隠れた障害物が、あちこちに意地悪く配置されています。
ですからドライバーで届きそうな距離にあるバンカーや、グリーン周りのバンカーそしてウォーターハザードなどの罠を、いかに避けてスコアを作るかがポイントなのです。
そのためのクラブの選択を、プレーヤーはいつも自問自答しています。
考えることに多くの時間を費やすことのできるのが、他のスポーツとは大きく異なる、ゴルフならではのユニークな一面なのかも知れません。
また最近のカートはナビを装備していて、コースの全景と打つべき方向も教えてくれます。
そして第2打を打つ地点までやって来ると、ピンまでの残りの距離も正確に表示してくれるので、カートをボールの位置と合わせて距離を確認するようにしましょう。
そしてバンカーや池などのハザードの方向は避けるようにしてグリーンを狙う訳です。
またナビはグリーン上の傾斜の情報も表示してくれますので、これも確認しておきましょう。
ゴルフのホール毎のハンデはマッチプレー用で個人用でない
ゴルフのスコアカードに書かれているホール毎のハンデ(HANDICAP)は、個人に使われるハンデとは別のものであることを理解できましたか。
つまりこのハンデは、個人の技量に差のある者同士がマッチプレーで対戦する場合、実力を均等化するために、付与するホールを順番に表したものなのです。
従って通常のストロークプレーをするプレーヤーにとって、このハンデは単なる目安にしか過ぎないと言えます。