ゴルフ場の池のことをウォーターハザードと言いますが、このハザードには2種類のタイプがあり、処理を間違えるとペナルティが加算されます。
それぞれの正しい処理の仕方と、新しいルールの目的と処理の仕方について紹介していきます。
ゴルフ場の池の処理が重いペナルティに繋がる場合がある
ゴルフ場では、第1打目がもっとも緊張すると言われていて、だれでも通常のショットよりもプレッシャーがかかるものです。
さらに最初は身体が馴染んでいないために、球筋が荒れることが多くなります。
そんな荒れ球を見越したように右側に池が配置されていると、分かっていてもファーストショットが池の中に吸い込まれていくものです。
当日のゴルフを占う大事な1打が池に入り、カーっと頭に血が上りながらも、池の中のボールを探します。
取り出したボールを池の横にドロップしたら、次のショットは3打目のはずです。
ティーショットが1打目、池のペナルティが2打目、ドロップしたボールは3打目です。
しかし、そのままではドロップ位置が間違っているので、誤所からのプレーでさらにペナルティが加算されます。
ペナルティどころか、もしかすると競技失格になるかもしれません。
ペナルティが科せられるゴルフ場の2種類の池
一般的に池のことを「ウォーターハザード」と言いますが、ルール上では2種類のウォーターハザードがあります。
1つ目は、そのままの名称で「ウォーターハザード」です。
通常は黄色杭か黄色線で池との境界が明示されていて、境界線を越えていると芝の上でも池の中とみなされます。
元の位置と池の後方のどちらかを選択して打ち直すことになりますが、後方にドロップすることが多いでしょう。
一般的には、ティーグラウンドの前にある大きな池やコースを横切る小川などが、このウェーターハザードとなります。
2つ目は、「ラテラルウォーターハザード」です。
通常は赤色杭か赤色線で池との境界を明示していて、「横から」という意味のラテラルの名の通り、横にドロップすることができる池です。
一般的にはゴルフ場内のサイドの大きな池や、後方線上にドロップする場所がない池などが、このラテラルウォーターハザードとなります。
池の処置で間違えやすいのは、黄色杭のウォーターハザードなのに横にドロップすることです。
明らかに誤所からのプレーでペナルティの対象となります。
ゴルフ規則によって池のペナルティが加算される?
池に入った時の処置を間違えると、ゴルフ規則では「誤所からのプレー」としてペナルティの対象となります。
間違った場所にドロップしてプレーをした時、基本的には正しい場所から再度プレーをし直すことになり、この時のペナルティは2罰打です。
このケースは「距離に有利がある場合」、つまり本来のドロップ位置よりもピンに近い場合です。
距離を縮めたわけですから、重大な違反として2罰打のペナルティと打ち直しの2つを科されることになります。
一方で距離の有利がなければ2罰打だけで、そのままプレーを続行します。
ここで面倒なのが、距離の有利がある場合を「重大な違反」としている点です。
ウォーターハザードなのに、ラテラルウォーターハザードとしてドロップすると、明らかに重大な違反となります。
本来は池の後ろ側にドロップするはずが、池の横から打つわけですから、10ヤード以上も距離が短くなってしまうこともあるでしょう。
この時打ち戻らなければ、残念ながら競技失格となります。
ゴルフ場で池の処置を間違えると重大なペナルティがある
ラテラルウォーターハザードでも、ドロップ位置の間違いが頻繁にあります。
一般的には、伸縮する専用のゴルフボール拾い機を使って、池の中からすくい上げて自分のボールを確認します。
ラテラルウォーターハザードのドロップ位置は、境界線から2クラブレングス以内と決まっているので、そのボールを拾い上げた地点を基準にドロップを開始しています。
ただしこのドロップ位置だと、正しい位置よりも前方でショットすることになるかもしれません。
正しくは、池の中のボール基準ではなく、境界線を横切った箇所を基点にして、2クラブレングス以内にドロップしなければならないからです。
赤色の杭を横切ったところに戻り、そこからピンに近づかないようにドロップしなければならないのに、かなり前方でショットした場合、もしかすると距離の優位性で競技失格のペナルティが科せられるかもしれません。
ちなみに池の処置を間違えて重大な違反となった場合、打ち戻れる最終リミットは次のホールのティーショットをする前です。
ゴルフルール改正で池はペナルティエリアになる
ここまで池の処理の間違いでペナルティが科せられる話をしていましたが、実はこれらのゴルフルールが2019年に変更されます。
まずドロップの高さが、肩の高さから膝の高さに変わります。
従来の肩の高さに腕を伸ばして落とす方法から、膝の高さに持ち上げて落とす方法に変わります。
高さが変わることで、着地後のボールの跳ねが軽減され、ドロップエリア外への転がりを抑制することができます。
スムーズに進行できる反面で狙い通りの箇所にボールを置くことができるため、本来の「あるがまま」の状態とは違うライになる可能性が高まります。
つまりドロップすると選択するクラブが増えて、有利に働く可能性があると言うことです。
また池の名称がハザードからペナルティエリアに変更されます。
初心者でも名称に「ペナルティ」がついていれば、ペナルティを科されることは分かるとの考え方のようです。
なおドロップするための二アレスト・ポイントについては、当初改正案では一定の距離を定めてドロップ範囲を決めるはずでしたが、最終案ではワンクラブレングスまたはツークラブレングスと従来通りです。
ゴルフルール改正で池をペナルティエリアすると遅くなる?
ゴルフルールの用語として、池はハザードからペナルティエリアに変更になります。
しかし用語の変更だけではありません。
池の後方にドロップするウォーターハザードよりも、池の横にドロップするラテラルウォーターハザードを推奨するとみられています。
ピンと池の進入口を結ぶ線の後方まで戻り、ドロップをしてからショットすることは、時間がかかる行為でした。
しかし池の横に出すのであれば、プレーの迅速化に繋がります。
2019年のルール改正の大前提は「レディ・ゴルフ」です。
プレーの速度を上げるためにルールを改正するのですから、池の横で処理したほうが早くなると考えたのでしょう。
ただ現実的に考えると、現況のウォーターハザードをラテラルウォーターハザードに変えることができるのは一部のはずです。
コースレイアウトの変更を伴うスピードアップ化に、果たしてゴルフ場が追従できるのかは疑問があります。
プレーの迅速化を目指したルール改正ですが、従来からのプレーヤーが混乱して、「かえってプレーが遅くなるのではないのか」と心配する声もあるようです。
ゴルフルールによる池のペナルティがややこしい!
ゴルフのルールでは、池に入ると1打のペナルティが科せられます。
つまりティーショットが池に入ると次のショットは3打目です。
ところがドロップの仕方を間違えると、2打のペナルティが科されて4打目ということになります。
ただしホールアウト後、間違いに気がついて戻れば3打目からのやり直しとなりますが、重大な違反でないのに打ち戻ると5打目となるので注意が必要です。
この「ややこしいルール」を簡素化したほうが、初心者には分かりやすいと思いませんか。