ゴルフのコンペのルールで良くノータッチという言葉を聞くけれど、これはどういうことなのでしょうか?
テレビでプロのトーナメントを見ていても、ノータッチという言葉を聞くことはないはずです。
またゴルフのコンペでは「今日はスルーザグリーン6インチリプレースOK」ということを聞いたこともあるかもしれませんし、確か6インチ以内で動かせると聞いた記憶があります。
このノータッチだとか、スルーザグリーンというのは、一体どういう意味なのでしょうか。
ゴルフのルールの基本はノータッチ。稀に6インチリプレース
ゴルフというのは打数の少なさで勝負をする競技です。
少ない打数で勝負するわけですから、ボールが草むらの中に入ろうが、凹んだところに止まって打ちづらい状況であろうが、そのままの状態で打つことが必要ですし、それが競技ルールとしては全ての人に対してフェアなのです。
ですからプロのゴルフトーナメントのルールは、特別に救済されるケースを除けば、ノータッチでプレーするのは当然のことです。
たまに有名なプロが、木の根の張り出した谷間に落ちているのを深刻な表情で見つめている場面などがテレビ画面に映し出されますが、彼はこの状態からどのように抜け出そうかと思案しているのです。
一般的な人が楽しむゴルフも、基本はノータッチでプレーすることが多いようですが、スルーザグリーン6インチリプレースというルールが適用されることも少なくありません。
この場合はショットが曲がってラフに入っても、6インチの中で自由にリプレースすることができるのです。
ゴルフのルールでノータッチ以外のスルーザグリーンとは?
ゴルフのルールは先に述べたようにノータッチが普通なのですが、それ以外に良く適用されるルールとして、スルーザグリーン6インチリプレースOKという表現がありました。
けれども、このスルーザグリーンとは一体どういう意味なのでしょうか?
ゴルフコースを良く眺めてみますと、ティーグウランド、フェアウェイ、ラフ、バンカー、池や川がグリーンに至るまでに巧妙に配置され、戦略を問われるように作られています。
さてスルーザグリーンという言葉の意味ですが、これはティーグラウンドとグリーン、そしてハザード(池や川そしてバンカーなど)を除く全ての場所を指します。
つまり簡単に言えばフェアウェイとラフのことを指していて、ボールがこのどちらかで止まった場合は、6インチ(15.24cm)の範囲内で自由にリプレースすることができるというルールです。
リプレースですからドロップではなく、手で置くことができるのです。
これはコースの芝の状態が不良でノータッチではプレーしづらい場合や、スピードを上げるための便宜上のルールであって、本来はノータッチでのプレーが原則です。
ゴルフのルールでノータッチ以外の6インチの由来とは?
一般のコンペでは、たまにゴルフコースの芝の状態などを理由に、スルーザグリーン6インチリプレースOKというルールが適用されることを前項で触れました。
普段ノータッチでプレーしている人は、これを聞くと少し得をしたような気持ちになるのかも知れません。
では、この6インチとは一体どこから来たことなのでしょう。
ゴルフが今のスポーツの原型となった17~18世紀のスコットランドの当時の競技方法は、ストロークプレーではなく1対1のマッチプレーが主体だったようです。
そして例えグリーン上の自分のパットラインに相手のボールがあっても、マークをしてピックアップを求めることができなかったようです。
つまり相手のボールがホールの中間にあるスタイミーになってしまっている訳です。
このためパットは迂回するか、その上を飛び越えていくしか方法はなかったのです。
この当時はボールをわざとスタイミーの位置に置く、意地悪な戦略を普通にしていたようですから、どちらかというとビリヤードのようなゲーム性があったようです。
但しこのスタイミーにも例外があって、ボール間の距離が6インチ以内にあった場合は、ピックアップの要求ができたようで、これが由来になったようです。
ゴルフのルールでノータッチ以外の6インチの測定方法は?
当時スコットランドでのゴルフのルールは、もちろんノータッチで1対1のマッチプレーでした。
そして相互のボール間の距離が6インチ以内にあった場合のみ、ピックアップの要求ができたのです。
では当時はどのようにして、この6インチを測っていたのでしょうか。
6インチとはボール3個分の長さ(15.24cm)ですが、当時はある方法でいつでも測定できるようにしていました。
1865年の第6回全英オープンの時、初めて公式のスコアカードが採用されました。
この1865年という年、日本では「西郷どん」が薩長同盟に向けて坂本龍馬と接触を繰り返しながらも、第二次長州征討を実施する元治2年から慶応元年に至る年です。
この年に第6回の全英オープンが開催されていたのです。
さすがに当時の英国は世界の最先端を走っていた訳ですね。
話が横道に逸れましたが、この大会から公式のスコアカードの横幅が測定に便利なように6インチと定められたようです。
日本でもこれに因んだスコアカードを今でも使うゴルフ場がありますが、これは当時の名残といえます。
ゴルフのルールでノータッチ以外の6インチリプレースの弊害
ゴルフのルールでノータッチ以外の6インチリプレースという言葉は、そもそもゴルフのルールにはありません。
またこのルールはプレーヤー自身が取り決めるものでもありません。
これは当日のコースコンディションなどを勘案した、ゴルフ場から出されるあくまで例外的に取られる措置です。
とはいえ、コンペなどで幹事さんから「今日のルールは6インチリプレースOKです」ということが紹介されることもあります。
これは特に初心者が多い場合、ライの状態による難度を軽減するもので、気持ち良くゴルフをしてもらおうという配慮がされた結果です。
けれどもこの6インチリプレースに慣れてしまうと、それほど悪いライでもないのに、ついボールを置きなおしたりすることが癖になってしまいます。
また6インチと厳格に定められているにも関わらず、それが少しずつルーズになって50cmや、はたまた1mにもなるなどと、もはやルールを大きく逸脱するようなことが一部の人たちで行われ、それがトラブルの原因になるという弊害も少なくありません。
ゴルフのルールの原点であるノータッチへ回帰する必要性
ここまでゴルフのルールの原点であるノータッチや、その歴史と背景、そして当日のコンディションによってゴルフ場側が制定する、例外措置のスルーザグリーン6インチリプレースなどについて触れてきました。
6インチリプレースは、確かに初心者にとってゴルフの難度を下げて、楽しさを増してくれるひとつの方法かも知れません。
けれども、6インチリプレースをすることが常態化してしまうことで、それがやがては6インチから大きく逸脱するようなモラルの崩壊ということに繋がることに、注意の目を向けておくことも必要ではないでしょうか。
ゴルフは他のスポーツに比べて、何よりもルールとマナーについて厳しい、いわば紳士のスポーツと言われています。
相手が自然であり、ストローク数を自己申告する競技であるからこそ、自身に厳しいルールを課すことが必要です。
この厳格な姿勢があって、初めて周囲との関係が成り立っているスポーツとも言えます。
つまりこの原則を互いに守っているからこそ、同伴競技者やコンペなどで競い合う者たちと、厳しいながらも同じ条件で楽しくプレーすることができるのです。
ゴルフのルールの原点であるノータッチプレーで実力アップを!
ゴルフルールのノータッチの精神は、常にあるがままの状態で打つというものです。
競技という意味では、このルールが全ての人にとってフェアになりますし、緊張した楽しいラウンドに繋がることでしょう。
たまにゴルフ場のコンディションにより6インチリプレースの場合があるかもしれませんが、基本は常時ノータッチでプレーすることが、結果的にゴルフ技術の向上につながることになるはずです。