ゴルフ場でのカートの転落は重大事故につながる恐れがあります。
カートから転落する、カート自体が転落するなど、転落と言ってもいくつかのケースがあります。
そこでゴルフ場でのカート事故の原因となる、転落の原因とその対策について紹介しますので、今後の参考にしてください。
スタート前にゴルフカートの転落事故がないよう講習を受ける
ゴルフ場で乗用カートを利用する時に気をつけたいのは、カートの運転ミスによる事故です。
自動車事故とは違い、免許証取得のための講習や試験を受けているわけではないので、カートに対する知識不足や技量の未熟さが事故の原因となっています。
打ったボールに気をとられ、同伴者が完全に乗車していないのに発進して怪我を負わせてしまう、林の中のボール捜しで無理な運転をして立ち木に衝突など、様々な事故があります。
そんな中で、もっとも大きな事故となるのが転落事故です。
カートから転落して重大事故になった場合や、カート自体が谷底に転落して死亡事故に繋がる場合などは、運転技術の未熟さや不注意というだけではなく、カートの知識がなく起こることもあります。
一般的に、カートに乗車する前には、スタート室前でカートの操作方法や行ってはいけない運転について注意を受けます。
大事なことなので運転者だけではなく、全員でレクチャーを受けるようにしましょう。
ゴルフカートから転落しないようしっかり掴まって!
大事故に繋がるゴルフカートの転落ですが、最初にカートからの転落について実例を元に確認していきます。
2人乗り乗用カートでゴルフを楽しんでいましたが、次のホールに向かうインターバルで事故は起こります。
わずかに下り傾斜のカート道路ですが、決して急勾配ではありません。
軽いカーブを下っていったところ、助手席の同伴者がカートから転げて転落します。
スピードが出ていたわけではなく、無謀な運転はしていません。
にも関わらず、わずかな下り傾斜とカーブによる遠心力で外側に重力がかかり、同伴者は車外に転落したわけです。
そしてそれがなんと頭部の打ちどころが悪く死亡事故となったのです。
運転者はスピードを出さず、急ハンドルを切ることもなかったようです。
ゴルフ場はカート道路を整備していたので、段差などでカートが跳ねることはなく、またカート道路の勾配も緩やかに造成されていました。
転落したのは運転者の妻、会話をしながらの移動だったことから、寝ていたとか目を閉じていたということもありません。
こういった実例から、ドアがなくシートベルトもついていないカートでは、同乗者は走行中にバーなどに必ず掴まり、落ちない工夫が必要です。
ゴルフカートの転落事故の原因追及が争いの元になる?
乗用カートとは違い、本来はキャディが使うための立ち乗りカート(1人用)を貸し出している場合があります。
キャディ付きプレーでもカート移動ができること、しかも小型でボールの真横まで乗れることから、老若男女を問わず人気の高い移動車です。
そんな立ち乗りカートでの転落事故のケースです。
トーナメントコ—スとして有名な某ゴルフ場でのプレースタイルは、原則歩行プレーとなっていました。
ただしツアー客の場合は、連日のラウンドと飛行機の離発着時間の関係もあって、ツアー会社の強いリクエストからカートの貸し出しをしていたわけです。
キャディ付きなので、ゴルフクラブはキャディが運びます。
本人は移動手段としてカートを使用するだけで、セルフプレーのような配慮は必要ありません。
唯一、本来のキャディ業務であった、プレー終了後のピン挿しくらいのものです。
本当はプレイヤーが全員グリーンから離れて安全が確保されてから、ピンを挿すのがキャディの仕事ですが、恒常的にキャディはピン挿しをお願いして、カート移動のために先に離れます。
その時、バイクのような構造のハンドルの上にパターを横にして乗せ移動したところ、パターが小さな橋の欄干に挟まり、橋下に転落したというのです。
地元客でなかったことから、事故のみを双方で確認しましたが、後日数千万円の治療費等の請求があり、長く裁判で争うこととなりました。
本来キャディが運ぶべきクラブを客に預けたことで、転落事故になったことが争点となったようです。
ゴルフカートから転落しないよう「ながら運転」は厳禁
最近は高齢ドライバーの自動車事故が頻発していて、その原因はアクセルとブレーキの踏み間違いによるものが多いようです。
ゴルフカートの転落事故でもアクセルとブレーキを間違って踏み込み、暴走した結果が転落に至ることがあります。
「ここから先は危険」と思うからこそ、ブレーキを踏むのに、それがアクセルなら急加速してしまいます。
一番多いのが池への転落ですが、これはボールを捜した結果や、ボールの近くで停めようとした結果です。
本来、後続組が見える位置にカートを停めて、池のそばには徒歩で探索するのが正解です。
グリーンでのプレーが終わり次のホールに向かう時、カート道路にガードレールがなく、ロープなどを張っただけの場合は、スピードの出しすぎやハンドル操作の誤りで、転落することがあります。
基本的に歩行と同じ位のスピードで走行するようにして、スコア記載などで前方を見ていないと事故の元になります。
インターバルでスピードを出しても、結局のところ前の組がまだセカンド地点にいてティーショットが打てないこともありますので、終了したホールのスコアは次のティーグラウンド横で書くようにしましょう。
ゴルフカートを運転していない時でも転落事故は起こる
まさかと思うかもしれませんが、ゴルフカートは運転しなくても転落することがあります。
なぜなら、坂道にカートを停めてブレーキを踏み込んだつもりが、踏み込みが甘くパーキングブレーキが解除されて、ニュートラルの状態で走り出すことがあるからです。
ゴルフカートに限らず、一般の自動車でもありえることですが、カートは常にパーキングブレーキになるように踏み込む必要があります。
軽く踏み込むと、跳ね返されてブレーキ解除になり、下り坂を勝手に走り出すことがあります。
運転手が降りてしまった場合、助手席や後部座席が乗車中であれば大事故に繋がりかねません。
また誰も乗っていなくても、カートが谷底に落ちたり、池の中に落ちたら、ゴルフバックの中身を回収することができないかもしれません。
多くのプレイヤーは、貴重品ボックスに財布や携帯電話を預けてきますが、カートに入れている人もいます。
キャディバッグの中であれば、カート引き上げで回収することはできますが、ボールなどと一緒に入れた場合は、ほぼ回収は不可能です。
運転者はしっかりパーキングブレーキをかけること、同乗者は貴重品を預けてからコースに出るようにすると、被害を最小限に止めることができます。
ゴルフカートから転落して受傷した時の搬送方法
ゴルフカートが斜面を走行して同乗者が転落したり、カートが倒れて下敷きになり大事故に発展することがあります。
またカートは倒れずに、同乗者だけがカートから転落することがあります。
これら多くの場合はスコアを記載していたり、ドリンクを飲んでいたりと、前方を見ていないことが原因です。
進行方向を見ずに乗車していると、重心がカートの床に対して垂直になるので、わずかにカートが傾くだけで転落してしまうようです。
事故を起こさないためには、運転者が声がけをして、カートが「斜めになる」「曲がる」と知らせることで、走行の変化を共有し同乗者に前方の確認を促すようにします。
未然に事故を防ぐには、同乗者も含めて運転している感覚を持つことが必要です。
それだけ注意していてもカートの転落事故が起こることはあるのです。
受傷者が動かせるようであれば、後続組のボールから守るために退避します。
動かせなければ、カートをフェアウェイの真ん中に置いて、事態の急変を後続組に知らせましょう。
そして携帯電話を使いクラブハウスに連絡し迎えに来てもらいます。
受傷者が移動できるようなら、近くの茶店まで行き待機していることを伝えます。
なぜならコース内を乗用車が走行できない場合があるからです。
それでも一般的に茶店までは物品を運ぶため車が進入できるように道路が取り付けられているので、急病者を車で搬送することができるはずです。
ゴルフカートが転落しないように慎重な運転を心がける
ゴルフカートが転落するような運転をしないこと、これが一番事故を起こさない方法です。
うっかりミスや運転操作の誤りは誰にでもあることですが、危険度合いの高い転落事故がないよう、運転者と立った人はより慎重な運転を心がけるようにしましょう。