アイアンのソール部分は擦れた傷が無数についているものです。
それはゴルファーとしての勲章とも考えられますが、あまりに多いとさすがに傷補修をと考えることもありますよね。
そこで自分で傷補修をする方法と、業者に依頼する時のポイントについて紹介します。
ソールを傷補修する前にアイアンを綺麗にしよう
キャディバッグのアイアンは、ソールに刻印された番手が見える状態です。
最初の頃はピカピカと輝いていましたが、使っているうちに傷や表面の色落ち、さらには大きな彫り傷までできていることがあります。
それで性能的に問題はなくても、なんだかみすぼらしいと感じるようなら、傷補修で蘇らせてみてはいかがでしょう。
アイアンの場合には、金属の種類や表面加工の違いで、すべてが同じ傷補修をできるわけではありません。
とりあえず、アイアンでもっとも多い軟鉄製の傷補修の方法を紹介します。
まずはアイアン全体を綺麗にしましょう。
ヘッドは汚れを取りやすくするために、適当な時間水に浸けて汚れを浮かせるようにします。
クラブヘッドとシャフトとのつなぎ目を長時間浸けると良くありませんので、ソケットまで水がかぶらないようにだけ注意しましょう。
フェース面の溝やソールの刻印また裏面が複雑な場合などは、細部の汚れを使用済みの歯ブラシなどを使って綺麗に落とします。
汚れを落としたら、水分を拭き取り乾燥させましょう。
アイアンのソールを簡単に傷補修できるコンパウンドとは
頑固な汚れや赤錆が浮いているようなら、強酸性洗剤のサンポールなどに浸けて、汚れを落とします。
サンポールに浸けたまま歯ブラシで擦ると、ある程度汚れや赤錆は落ちるはずです。
もしも赤錆が残っているようなら、細目の2000~3000番の紙ヤスリで擦り、磨くように錆を落とします。
ただし、メッキ加工などが剥げるので、過度に削らないようにしましょう。
アイアンは、フェース面の溝にゴミが溜まっているので、歯ブラシで洗っても取れないことがあります。
爪楊枝などを使って溝の隅々まで取り除き、またソールの傷が深い場合には掻き出すようにしましょう。
そうして目立つ汚れをしっかり落としたら、細かな擦り傷はクレンザーなどの研磨剤で磨きます。
研磨剤はステンレスを磨くキッチン用のクリームタイプでも問題はありませんが、作業効率を考えればカー用品の塗装面の傷補修するコンパウンドが便利です。
カー用品のコンパウンドは、メタリック(クリアー塗料が上塗されたもの)でも色ボケをしないので、傷だけを消すことができるからです。
電動工具を使ってアイアンのソールを傷補修
アイアンを芝生に打ち込むと、砂や小砂利を噛むことがあります。
そのため必然的にソールは傷だらけになるのですが、それをゴルファーの勲章と思うのか、それとも手入れをしていない道具と考えるべきでしょうか。
先程説明したように、ソールの傷が深い場合には、サンドペーパーで擦って傷補修をします。
もしも赤錆が浮いているようなら、酸性洗剤に浸けて歯ブラシなどを使って擦り、水洗い後にウエスなどで拭き取り乾燥させてください。
その上でパフを使って磨くと便利です。
自宅に電動ドリルやグラインダー、もしくは彫刻用のリューターなどにパフを装着して、研磨剤をつけて磨くのです。
もしも電動工具がなければ、ウエスで地道に擦るしかありませんが、科学雑巾などを併用すると傷補修は進むかもしれませんね。
傷補修が終われば研磨剤を洗い流し、しっかりウエスで拭き取るようにしましょう。
アイアンのソールの膨らみであるバンスを傷補修
アイアンの中でもソールに傷が付きやすいのがウェッジです。
芝面に打ち込むことが多く、またバンスを利用したショットが多いことから、どうしてもソールに傷ができてしまいます。
特にバンカー周辺は砂が飛び散っているために、ソールは傷つきやすい状況です。
また使用するウェッジも、柔らかい球筋を求めて、表面処理をしていないノーメッキを使うことが多く、傷が元で錆の処理も必要となります。
ただノーメッキのウェッジの場合には、思い切って削ることができるので、傷補修は簡単です。
溝ができるほどの傷ができていれば、ヤスリなどを使ってバリを剥がしましょう。
中にコースメンテナンスの機械のネジが落ちていて、掻き傷のような深いダメージを受けていることがあるかもしれません。
基本的にはヤスリで削り、そのあと3000番の紙ヤスリで擦り、さらにコンパウンドで磨けば、ピカピカの状態になるはずです。
あとはガンブルー液で塗装をすれば、黒色の精悍なウェッジに生まれ変わります。
ノーメッキアイアンはガンブルー塗装でソールの傷補修
単にアイアンのソールの傷補修というだけではなく、全体に錆止めを含めたノーメッキのウェッジ補修は、ガンブルー塗装が便利です。
そのまま放置していると、やがて赤錆が繁殖してきて、キャディバッグ内の他のクラブにまで錆が移ってしまうことがあります。
赤錆自体は鉄部にしか出ませんが、赤錆の色はプラスチックにでも移るので、しっかり落として塗装をしておくといいでしょう。
通常の鉄部用塗装を使うと、インパクトの衝撃ではがれてしまいます。
そこで銃器の銃身用の塗料であるガンブルー液を使います。
正確に言うとガンブルー液は塗料ではありません。
ガンブルーは黒錆のことで、赤錆の代わりに黒錆で皮膜を作って表面を保護するものです。
塗る前の汚れ落としや錆取りの処理は、これまでのものと同じです。
ただし油分が残らないように、最後に食品洗剤でしっかり洗い流すことがコツです。
あとはティッシュペーパーで液剤を付着させると、すぐに黒錆の膜ができあがります。
表面が乾燥するまで待ち、その上からミシン油で油膜を作れば終了です。
ソールの傷補修だけでなくアイアン全部をメッキする
アイアンのソールを傷補修しようとしても、自分では手に負えないくらいダメージがある時は、すんなり諦めてクラフトマンにお願いしましょう。
傷補修には時間がかかるので、できればシーズンオフに出すと良いです。
工房の修理工程は、傷を埋めて新しくメッキ加工をしてもらうものです。
メッキは、シャフトから外したヘッドに電極を付けて、メッキ素材と一緒にメッキ液(希硫酸)に沈めて通電します。
通常のニッケル系のメッキ加工以外に、ミラー加工や銅ミラーなどもあるので、新たに生まれ変わったウェッジを受け取ることができます。
ちなみに傷補修を含めて、メッキ加工の期間はおよそ6週間です。
ただ工房、クラフトマンによって違いがあるので、完成日を確認してから依頼したほうが良いでしょう。
また料金はピンキリですが、7千円から1万円程度が目安で、そのほかにシャフトの抜き挿しやプレートの貼り替えなどの費用が発生します。
メッキ仕上げは傷補修というよりもリメイクのようなものです。
もしかすると、新品のアイアンのほうが安価ということもあるので、そこまで必要なのかを見極めて補修依頼するようにしましょう。
アイアンのソールを傷補修するのは程々に…
アイアンのソールの傷補修をする時は、ノーメッキが一番簡単です。
ただし傷補修に関係なく、常にメンテナンスしていかなければならないのが、少し面倒なところです。
アイアンはボールを刻む道具なので性能が劣化しない限り、研磨剤でちょっと磨く程度で良いのではないでしょうか。