ユーティリティが登場して以来、影が薄くなりつつあるフェアウェイウッドですが、5番ウッドは飛距離の観点からも、扱いやすさの観点からも、持っておきたいクラブです。
そこで、改めて5番ウッドの特性と使用法について紹介します。
ラウンドで5番ウッドを使うのは飛距離ばかりが理由ではない
キャディバッグに1本は入れておきたいフェアウェイウッドですが、選ぶとしたら何番を入れますか?
アイアンが3番から9番までの7本、ピッチング・サンド・アプローチの3本のウェッジを合計すると10本です。
これにドライバーとパターを加えて12本、すると残りは2本となります。
3番ウッドか4番ウッド、5番ウッドか7番ウッドの中から2本を選ぶか、フェアウェイウッド1本にロブウェッジ1本を追加するのが標準的でしょう。
最近は3番・4番アイアンを入れずに、ユーティリティや7番・9番ウッドを入れる場合もあります。
あくまでもセカンドショット以降で使うことを想定した場合、どのクラブを選ぶのかはドライバーの飛距離と方向性によります。
ドライバーのフェアウェイキープ率が高ければ、ボールの置かれているライを気にすることなく次のクラブを選択できます。
つまり残り距離に合わせてクラブを選択できるわけです。
でもラフに入ってしまうと、ライによっては打てるクラブが限定されます。
3番・4番のドライビングアイアンは、ラフの長い芝でヘッドを走らせることは困難ですが、5番・7番・9番ウッドであればラフからでも打つことはできるはずです。
一般的に5番ウッドの平均飛距離はどれくらい?
ドライバーの飛距離が240ヤードであれば、5番ウッドの飛距離は200ヤードです。
アイアンなら3番なら頑張れば届きそうな飛距離ですが、前述のようにラフからは使うことはできません。
5番ウッドのロフト角は18度ですから、レベルブローで払い打ちしても高い弾道で飛び出します。
また深いラフの場合には、ドライバーよりも10センチ以上短いことから、ダウンブローで打ち込むこともできます。
フェアウェイウッド特有の滑るソールであれば、草の抵抗を受けることなくボールをヒットすることができます。
ここで気をつけたいのはフライヤーです。
通常のショットであれば、18度のロフト角によってボールにはバックスピンが掛かります。
このバックスピンは上昇するための浮力にもなりますが、一方では飛距離減の要素にもなっています。
ところがラフの芝がボールとフェースの間に入ることで、インパクトでの摩擦が少なくなり、スピン量の少ないボールが打ち出されることがあります。
結果的に、想定以上に飛びすぎて、距離感の悪いセカンドショットになる可能性があります。
このようなフライヤーになりそうであれば、ダウンブローでショットしましょう。
注意!5番ウッドは想定以上の飛距離が出やすいクラブ
5番ウッドはソールが滑るので、ダフリ気味に入っても、練習場同様に良いショットが生まれます。
またシャフトも42インチ前後と短く扱いやすいことから、飛距離が出ているのにミスショットの少ないクラブだと言えます。
ただし本当にミスがないかというと、実はスイートスポットでボールを捉えていないことの多いクラブです。
5番ウッドのフェースの大きさを考えるとブレが少ないので、何気なく打ち込んでいると思いますが、スイートスポットでインパクトできれば、ヘッドに抵抗はなく抜けるはずです。
このナイスショットにならない理由こそヘッドのサイズにあります。
ヘッドが小さいために、身体が勝手に「ボールを上げたい」と反応してしまい、すくい打ちの姿勢をとってしまいやすいのです。
テークバックで右足に体重を乗せてしまい、そのまま打ち込むとすくい打ちになります。この状態だと、フライヤーになったりすくい打ちでダフったりと、良いことはないはずです。
ラフからでも5番ウッドの飛距離が落ちない打ち方とは
芝の中に沈んだボールを上げたいと思うのは、視覚の情報によるものです。
目で見たものに対して、身体が勝手に反応するため右体重になり、結果的に飛距離ダウンになっています。
そこでアドレスの時点で左体重にします。
左股関節の上に体重を乗せて、そこを軸にして捻転します。
トップでも体重は右側に行かないように気をつけて、そのままダウンブローで打ち込んでみましょう。
5番ウッドには18度のロフト角があるので、払い打ちしなくても十分にボールは上がります。
フォロースルーを意識しないで、芝の中に打ち込むだけで、想定した飛距離を得ることができるはずです。
最初は練習場のマットの上で、ダウンブローの練習をすると良いでしょう。
もしもテークバックで体重が右に流れるようなら、右足外側の底に雑誌などを挟むと、身体の流れを抑える感覚が掴みやすいです。
この練習でコツを掴んでから、さらに通常のアドレスでダウンブロー打ちを練習すれば、実践で使えるようになります。
傾斜で5番ウッドを使用する時は飛距離よりも方向性重視
多少ライが悪くても使える5番ウッドですが、左下がりの傾斜や前上がりの傾斜の時には使い難いクラブです。
ヘッドが小さいことから重心距離が短いために、トゥ側を先行するインパクトやフェースをかぶせて振り抜くようなスイングには向きません。
左下がりの傾斜では、通常のスイングプレーンでヘッドを動かすと、ボールの下にフェースが入らずにトップしてしまいます。
また前上がりの傾斜ではクラブを短く持ち、ひっかけないように注意して打つ必要があります。
でも5番ウッドはスイング幅の大小によって飛距離を調整することはできても、インパクトでのフェースの形や向きなどを変えることは難しいクラブです。
「脱出」を考えてハーフスイングで出すだけであれば、ダフらずに方向性も保てるのでリカバリーに向いていると言えるでしょう。
5番ウッドは他のクラブの飛距離をカバーできる
クラブの選択肢として考えると、5番ウッドは3番・4番アイアンをカバーできます。
またフェアウェイでもライの状態が悪ければ、5番アイアンに代わって少し短めに握った5番ウッドは「やさしいクラブ」として重宝します。
さらに少し長めのショートホールでも利用価値は高く、キャディバッグに入れるのであれば、5番ウッドがオススメです。
ただしトリッキーなコースや風の影響が大きなコースでは、高い球筋になるので代わりになるクラブも用意しておきたいものです。
5番ウッドの代わりになるのは、ユーティリティの17か19といったところですが、どちらも5番ウッドよりは低弾道なので、風の影響は少ないはずです。
またシャフトも短くなることから、打ちやすさも兼ね備えています。
どちらにしてもドライバーの飛距離からマイナスして、残り距離を想定した時に5番ウッドを使える場面があるのかを事前確認してから、当日のクラブ選択をしましょう。
ちなみに5番ウッドは、毎回キャディバッグに入れなければならないクラブではなく、コースや天候に応じて選択するクラブだと考えると良いでしょう。
飛距離を考えたら5番ウッドは常備したいクラブ
最近はユーティリティが台頭してきたことで、フェアウェイウッド全般が影の薄い存在になりつつあります。
そんな中で5番ウッドは、ユーティリティより1番手分の飛距離があり、しかも使いやすさは同程度なので、ロングアイアンを入れないのであれば、キャディバッグには入れておきたいクラブです。