微妙なアンジュレーションのゴルフ場のグリーンは、ゴルファーにとって楽しみでもあり苦しみでもあるものです。
しかしボールの後ろにマーカーを置いただけで、グリーンの傾斜が簡単に分かるとしたらどうでしょう?
今回は最新のゴルフ便利グッズである水平器付きマーカーについて紹介します。
ゴルフ場の傾斜を読み解けるグリーンマーカーとは
ゴルフ場の中でもグリーンでの微妙なアンジュレーションは気になるものです。
見た目にはフラットなグリーン面ですが、実際にパッティングすると思いもかけない曲がり方をして、プロでさえも打ち終わってから傾斜に気がつくことがあるほどです。
「傾斜を読み取れたら、あんなイージーなパットはしなかったのに」と悔やむこともありますが、もしもアドレスする前に傾斜が読めたらスコアアップが期待できるかもしれません。
現在市販されているマーカーの中には、水平器と同じ機能を備えたものがあります。
少し厚めのコイン状のマーカーです。
内側には着色された水が入っていて空気が一粒入っています。
この空気粒が傾斜に合わせて移動し、傾きを教えてくれます。
簡単に言うと、超小型の水平器です。
わずかな空気粒の移動ですが、その「わずか」を確認できたことで、傾斜に気がつけるはずです。
ただし、マーカーを置いているところからカップまで、すべての傾斜を表しているわけではないので、空気粒だけを鵜呑みにしてはいけません。
ゴルフコースの設計者が仕掛けた傾斜ワナをマーカーで見破る
ゴルフコースの設計者は、いろいろな箇所にワナを仕掛けて、きっと「ここでハマるだろう」とニヤニヤしていたのでしょうね。
グリーンの傾斜は、「いかにも」と思える急斜面もあれば、ラインを読み解くことができないくらいウネウネと曲がっている難しいものがあります。
でも本当に難しいのは、傾斜に気がつくことなくフラットなグリーンだと思わせる、設計者が仕掛けたワナのあるレイアウトです。
グリーン周りの傾斜や周辺の樹木にまで気を配って造成し、あたかも平らなグリーンに立っているように錯覚を起こさせています。
そしてプレーヤーは傾斜に気付くことなくパッティングして、結果を見て驚くことになります。
こんな失敗の防いでくれるのが、傾斜を知らせてくれるマーカーです。
使用する時に芝草で斜めにならないようにすれば、グリーン全体の傾斜を知ることができ、それを基準にラインを読み解くことが可能になります。
確かに便利な道具ですが、実はこのマーカーは競技会やコンペでは使うことができません。
傾斜を知ることができるマーカーはルール違反なのです。
傾斜の分かるマーカーでゴルフコースを勉強する!
日本人ゴルファーは「ルール違反」という言葉に弱く、逆にルールに定めていれば、それがゼネラルルールで認めていなくても安心して犯しています。
例えば「プレーイング4」のような前進4打とか、「6インチプレース」と言った、ゴルフ本来の「あるがまま」のプレーをしていなくても平気なのかもしれません。
コースのセッティングやコンディションによって特例ルールは作りますが、恒久的な前進プレーやタッチプレーにすると、ゴルフの精神とは違ったものとなってしまいます。
プレーに関して寛容なゴルファーですが、高反発クラブや一部のパターなどのいわゆる違反クラブには厳しい目を向け、プロゴルファー並みのワンボールルールまで課していることがあります。
水平器付きマーカーもまた、高反発クラブ同様に厳しい目を向けられます。
でもプレイベートのラウンドであれば、傾斜を知ることができる道具を利用して、グリーンの傾斜の読み方を勉強したほうが良いと思いませんか。
ゴルフの規則では傾斜が分かるマーカーはアウト!
実はゴルフのルールには、マーカーに関する規則はありません。
推奨されているのは「コインのようなもの」ですが、ゴルフ場で用意されているマーカーは、グリーン面に挿すことができるタイプが多く、決してコインと同形状ではありません。
また海外のコインは円形とは限らず多角形のものもありますし、またコインを2枚重ねたほど厚みがあるものもあります。
昭和40年代の前半まで、日本人ゴルファーの大半は毛糸をマーカーに使っていました。
お金を道具に使うことを良しとしない風潮だったことから、風が吹いても芝生に絡む短い毛糸をマーカーとしていて、推奨されるコインとはまったく違うものだったのです。
ですから水平器マーカーも厚みや形状で違反と言うことにはなりません。
問題なのはその能力、傾斜を知ることができる性能が違反となっています。
傾斜を示すことが「プレーヤーの援助になる」ことから、他人と競うコンペなどでは使うことができないわけです。
ちなみに試合で1回使うと2罰打、それ以降使うと競技失格になります。
傾斜の分かるマーカーはゴルフの小ネタに使える?
ゴルフのルールでは認められていないマーカーですが、どうせ違反ならと大胆な形状のマーカーも販売されています。
前者は一応コインの形状で作れていますが、それではわずかな情報しか得られないので、もっと正確な傾斜が測れるマーカーが出現しているのです。
形状はT字型で、傾斜はT字の横と縦の2方向を測ることができるよう、業務用の水平器と同様の細長い管のタイプをつけています。
確かに上下左右の傾斜を瞬時に読み解けることから、グリーンを面として分析することができます。
ただ「ちょっとヤリ過ぎ?」という感もあり、ポケットから取り出す勇気はなくなるかもしれません。
現在の主流はデジタル測定器タイプです。
コインと同様の形状で、電卓と同じような液晶画面で、グリーンの傾斜はビジュアルで、斜度は数値で表示されます。
これだとスマートなゴルフグッズなので、ラウンド中の話のネタとしても使えるのではないでしょうか。
ゴルフのマナーを考えて傾斜を読み解くマーカーを使う
このように利便性を紹介しても、水平器付きマーカーは「違反グッズだから」と思われるかもしれません。
しかし多くのプレーヤーは、ゴルフ場で違反ツールを使用していて、しかも「便利だ」と設置しているコースを選んでいるゴルファーもいます。
実はセルフコースのカートナビで表示される「残り距離」もグレーゾーンです。
2019年からは距離測定器の使用について肯定的な規定が設けられますが、開発当初は「違反」の2文字で片付けられていたものです。
ところがバブル崩壊とともにセルフコースが激増する中、インフォメーションボードだけでは対応できなくなります。
ノーキャディのコースを中心に、距離測定器は徐々にゴルファーの市民権を得られるようになり、ついには迅速なプレーを助けるものとして使用が認められるようになったのです。
今後ますますゴルフ場はセルフ化が進みます。
グリーンでラインを読むキャディがいなくなるので、傾斜を読めるマーカーもいずれは市民権を得る日が来るかもしれません。
ただ、今のところは傾斜の分かるマーカーは「違反」なので、プレイベートであっても同伴プレーヤーに断わってから使用するのがマナーですから、スタート前には気をつけておきたいものです。
ゴルフ界の進化に併せて傾斜を読み解くマーカーが標準に?
ゴルフ界ではクラブやボールの進化は目覚しいものがありますが、他のグッズについてはあまり変化が見られません。
ただマーカーはルールで規定がないことから、実用的なマグネットタイプやお洒落なデコタイプなどが普及しています。
そのうちもっと薄型で傾斜が瞬時に分かる、機能的なマーカーが一般的になる日がやってくるのではないでしょうか。