番手表示やロフト角を飛距離の目安にするのは果たして正解?

最終更新日:2017/11/23

ゴルフクラブの番手表示は、ロフト角の大きさによって順番に刻まれています。
その番手表示は飛距離の目安となるものなので、ロフト角=飛距離と考えることもできます。

そこで距離感にとって大切な2つのロフト角について紹介します。

飛距離の目安は番手ではなくロフト角が重要!

ロフト角は距離を得るために重要な角度です。
ロフト角とはフェースの傾きを表す数値で、シャフトとフェース面が作る角度のことを言います。

一般的なドライバーのロフト角は10度前後で、5番アイアンであればロフト角は26度くらいです。
この比較でも分かるように、ロフト角の数字が少ないほうが飛距離は長くなります。
アイアンだけで比べると、5番アイアンが26度でピッチングウェッジは46度ですから、ロフト角が飛距離の目安といっても良いのです。

ただし、9度と12度のドライバーの飛距離を比べたとき、必ずしも9度が飛ぶとは限りません。
そのロフト角に見合ったヘッドスピードがなければ、飛距離を稼ぐことはできないのです。

ちなみにパターにもロフト角はあります。
一般的なパターのロフト角は4度前後ですが、プロの中には2度を使っている人もいますし、6度を使っている人もいます。
もちろんパッティングに飛距離を求めることはありませんが、ロフト角が少ないと余分な回転がかからず、カップ手前でショートしないと考えられています。

フェースの角度を表すロフト角で飛距離の目安はつけられない

フェースの角度を表すロフト角は、飛球の高さにも関係します。
同じサイズのフェースでもロフト角が小さければ、低い弾道で飛距離は伸びますし、ロフト角が大きければ高く上がり飛距離は短くなります。

ロフト角はメーカーやモデルによって違いがあり、一般的な5番アイアンは26度ですが22度もあれば28度もあり、その差は6度も違います。
つまり同じ番手のアイアンを使っても、ロフト角で比べると2番手も変わることになるわけです。
もちろん飛距離も変わるので、番手=飛距離ではなく、ロフト角=飛距離を目安にしたほうが正確な距離感を掴むことができます。

アイアンは飛距離を競う道具ではありませんが、購買ニーズが飛ぶアイアンを求めているため、4番アイアンに「5番」をつけて販売しているとも言えます。

ちなみに最近のアイアンセットに3番・4番が入っていないは、ユーティリティを入れるためという説もありますが、現在の5番のロフト角が昔の3番になっているというのも理由の1つではないでしょうか。

番手表示が飛距離の目安になるためにロフト角を修正

ロフト角に違和感があるときは、ロフト角を修正することができます。

初めて買ったアイアンセットの場合には、飛距離に対する不満は少ないものです。
つまり新しく買い替えた時に、以前のアイアンと飛距離を比べて飛ぶか飛ばないかを判断します。

仮に5番アイアンを使って4番アイアンの飛距離が出ても、かえって使い難いはずです。
本来の5番アイアンの飛距離が欲しければ、新しいアイアンでは「6番」と表示したクラブを使わなければならなくなります。
これは使い慣れたアイアンが飛距離の目安となっているためで、ロフト角と番手表示が一致していないことが原因なのです。

飛距離の目安は番手で判断するのが一般的です。
ところが買い替えたことで飛距離が合わないと感じても、身体が覚えてしまった感覚を消すのには相応の時間が必要になります。
本来は5番の場面で6番を使えば、否応なく力みが生じて飛距離が伸びてしまい、距離感が崩れてきます。

そこで自分の感覚とアイアンの表示に違和感がなくなるまで練習を重ねるか、もしくはロフト角を調整して元のアイアンと同じ飛距離にするかを選択しなければなりません。

飛距離の目安となるリアルロフト角とは?

同じ番手のアイアンでもメーカーやモデルによってロフト角が違うので、当然ながら飛距離にも差が出てきます。

一般的に番手を飛距離の目安にしていますが、最近はロフト角の立った「飛ぶアイアン」が増えてきているので、「5番の距離」といった表現法は時代遅れになってきています。

すでにアプローチウェッジやロブウェッジは、「56度」のようにロフト角で呼ぶようになってきていますし、ドライバーもモデル名にロフト角をつけて「9.5度のゼクシオ」などと呼ぶことが多くなってきています。

ただメーカーが提示しているロフト角が必ずしも正しいとは言えません。
特にアイアンの場合には、カタログなどで提示しているロフト角を意図的に変えて製造していることがあります。

「リアルロフト角」と呼ばれていて、番手表示は「5番」で、カタログ掲載のロフト角は「26度」なのに、実際のリアルロフト角は「22度」で設定されているわけです。
ロフト角が22度であれば、通常は「3番」で表示されてもおかしくはない角度ですから、相応の飛距離が出るわけです。

ただアイアンの場合には、正確な距離感が大事な役割なので、リアルロフト角のクラブは迷惑でしかないことになります。

表示されているロフト角は飛距離の目安にはならない?

ドライバーであれば「飛ぶことは良いことだ」と言えますが、ピンポイントにボールを運びたいアイアンで飛び過ぎはマイナスでしかありません。
ショートホールでグリーンを狙うとき、キャリーオーバーするようでは、役に立たない道具と同じことになります。

飛距離の目安となるロフト角を改変して、スイングやクラブの性能によって飛距離アップしたように錯覚を起こさせることは間違っています。

またメーカーやモデルによって全く違うロフト角なのがユーティリティです。
そもそもユーティリティ自体が、アイアンの進化版とフェアウェイウッドの進化版があるので、同じ5番でもロフト角に違いがあっても仕方のないことかもしれません。

5番アイアンのロフト角は26度、ユーティリティの5番だと25度、フェアウェイウッドのクリークは19度が標準的なところです。
ユーティリティがアイアン系であれば26度に近く、フェアウェイウッド系であれば19度に近いロフト角になるため、ユーティリティはロフト角で選ばないと必要とする飛距離を掴むことができなくなります。

飛距離の目安となる2種類のロフト角とは

飛距離の目安となるロフト角ですが、メーカーやモデルによって番手表示とロフト角には違いがあるということ、そして表示とは違うリアルロフト角が存在しているので、まずは正確なロフト角を計測すると良いでしょう。

なぜリアルロフト角が存在するのかと言えば、飛ぶクラブに対する購買ニーズが一番の理由ですが、実ももう1つ根本的な問題があります。

ロフト角はフェース面の傾きを角度で表したものですが、この計測方法には2通りあるからです。

1つ目は、ヘッドを床にソールして、リーディングエッジを基点に垂直な仮想線を出して、フェース面との角度を表したものです。
一般的にはオリジナルロフト角と呼ばれていて、飛距離の目安となる数値としてカタログなどに掲載されています。

2つ目は、シャフトの中心線とフェース面で角度を出したものがリアルロフト角です。
ソールの形状に関係なくロフト角が割り出され、実際の飛距離の目安になることから、真のロフト角ということになっています。

このオリジナルロフト角とリアルロフト角に大きなギャップがあると、扱い難いクラブになるので、購入するときには2つの数値を聞いて比べてみると良いでしょう。

ロフト角が飛距離の目安になるための条件

昔は番手を飛距離の目安にしていましたが、今ではロフト角が飛距離の基準になっています。

しかし肝心のロフト角は計測方法が違うために、表示されているオリジナルロフト角以外にリアルロフト角があって、そのギャップに迷いが生じてしまいます。

新しいクラブを使い始めるときには、最初にロフト角を計測しておけば飛距離の目安になるはずです。