ミズノMPシリーズのキャビティモデルMP55を徹底試打!

最終更新日:2017/11/19

クラブ造りへの強いこだわりが他のメーカーとは一線を画すミズノ。
まさにメイドインジャパンの物造りを、ゴルフ界で代表するメーカーと言って良いでしょう。

そのミズノの主力アイアンが、プロや競技指向の上級者に評価の高いMPシリーズです。

今回試打するのはそのMPシリーズに2015年に発売されたMP55です。
メーカーの謳い文句はボールのつかまりやすさと上がりやすさ、つまりMPシリーズとしては優しい位置づけのモデルのようです。

果たしてその実力はいかほどでしょうか?

ミズノMPシリーズの中でのMP55とは?

ミズノのアイアンMPシリーズは上級者向けでハイレベルなモデルというイメージがあります。

今回試打するMP55は、前作のMP54から引き続きアンダーカットキャビティになっており、MPシリーズの中でも優しさのあるモデルであることが伺えます。

MPシリーズは非常に評価の高いアイアンで、ゴルフファンの間では別格のステータスを持っていますので、いつかは使ってみたいという方は多いでしょう。

しかしいきなり上位モデルにチャレンジするには、それなりの腕前が必要になります。
これからステップアップする上で憧れのMPを使ってみたい、というMPシリーズの入門としての位置づけなのでしょう。

一度使ってみれば、そこは入門用とは言えMPです。
非常に美しいヘッドや芯を捉えたときの打感の素晴らしさ、そして高い操作性など、使うほどに離れられない最高の相棒となります。

これで修練を積んで、行く行くは上位モデルへステップアップしてほしい、そんなミズノからの提案に思えます。

試打前にミズノMP55をじっくり観察してみると

試打の前にミズノMP55をじっくり見てみましょう。
ヘッドの大きさはMPの中では少し大きめですが、他のメーカーのアイアンを使っているゴルファーからすると十分小顔で、さすが優しめとは言ってもMPです。

ソールは上位モデルのMP5などに比べれば若干ワイドですが、他メーカーのアスリートモデルに比べれば遜色無い狭さです。
また少し丸みを帯びたソールなのでコースで打つと抜けが良さそうです。

そしてMP55の一番の特徴と言っていいアンダーカットキャビティ部分ですが、シンプルなデザインでいかにもアスリート向けといった無骨なカッコ良さがあります。
前作のMP54よりキャビティのアンダーカットが浅くなっているようで、これは打点裏側を肉厚にして打感を良くしようという意図が見えます。

実際に構えてみるととても美しいストレートネックで、非常に構えやすい形をしています。
キャビティモデルとは思わせないルックスで、MPシリーズのアスリートテイストをしっかり感じさせる造りになっています。
この辺りがMPの満足感、所有する喜びを高めているのでしょう。

ミズノMP55を実際に試打してみると

ではミズノMP55を早速試打をしてみましょう。
試打クラブは7番でシャフトはダイナミックゴールドのフレックスS200です。

打って最初に驚いたのがその弾道の高さです。
優しいとは言ってもMPですからある程度シビアさを予想していたのですが、非常に上がりやすく「本当にMP?」と思わせる弾道です。

MP55は5番で25度、7番で32度と若干ロフトが立っていますので、このボールの上がりやすさに助かる方は多いでしょう。
これはキャビティ効果にプラスして、メーカーも謳っている捕まりの良さの効果だと思われます。
小振りなヘッドは捕まえる技術が無いとボールを上げにくいものです。
しかしMP55はその点もサポートしてくれるので、ボールの上がりやすさに繋がっています。

さらに試打を続けてみると、上位モデルに比べミスに対して許容範囲が広いことが解ります。
これはMP55の位置づけを考えれば当然ですが、若干スイートスポットが広く造られているようです。

MPシリーズに憧れを持ってチャレンジして跳ね返されてしまう最大の壁は、やはりミスに対するシビアさです。
しかしこのMP55はミスに対して寛容になっていて、MPシリーズの間口を広げてくれるモデルになっています。

高いレベルにあるMPシリーズの操作性 MP55は?

ミズノのMPシリーズはその操作性も評価が高いアイアンです。
ではMP55の操作性はどうでしょうか。

左右に関しては試打で素直に打つと軽いドローでしたが、フェードも打てますのでやはり操作性は高いようです。
言い換えればスイングなりの弾道になりますので、しっかり練習しないとバラけてしまう可能性があります。
やはりステップアップする向上心があるプレーヤーに向けられたモデルですね。

次に上下の打ち分けですが、ボールを低めに抑えるのが少しやりにくいように感じました。
ストロングロフトをカバーしてボールを上がりやすくする上で、仕方が無い事なのでしょう。
しかしそれは上位モデルに比べての話であって、実際のラウンドでアマチュアが使える範囲の操作性は十分にあると感じます。
むしろMP55のターゲットのプレイヤーの事を考えるとこれ位が十分かも知れません。
あまり操作性を高くしても、逆にコントロールが難しくなります。
MP55でボールの操作を覚えて、もっと操作性が必要になれば上位モデルに移行すれば良い訳ですからね。

試打してみて分かったミズノMP55の打感は?

ミズノのMPシリーズと言えば打感の素晴らしさが1つの代名詞になっています。
個別のモデルが打感の高評価を受けることはありますが、シリーズを通じて評価が高いクラブは珍しいですよね。

MP55のヘッドは打感の良さが十分に期待できる軟鉄鍛造です。
一方でMPを優しくする為のアンダーカットキャビティが、打感にどう作用してくるか試打前は少し心配でした。

しかし結論から言うと非常に素晴らしい打感でした。
柔らかさと共に分厚さもしっかり感じる打感で、非常に気持ちが良く何球でも打っていたくなります。
これを味わうだけでもMP55を所有する意味はあると言ったら大げさでしょうか。
しかし確実に練習が楽しくなる打感だと言えます。

入門用のモデルでこの素晴らしさですから、MPシリーズの求められるレベルがとても高い事が分かります。
上位モデルではもう少しボールが潰れるのを感じるかなと思いますが、その差もわずかな気がします。
この打感をキャビティバックで実現しているのですから、さすがミズノと言う他ありません。

ミズノMP55を実際のラウンドで使うには?

練習場ではある程度のレベルであれば気持ちよく打っている事ができるMP55ですが、当然ながらお助け機能満載というモデルではありません。
実際のラウンドでその性能の高さを発揮する為には、少し真面目に試打を繰り返し練習する必要がありそうです。

しかし、難しくて全くゴルフにならないようなクラブでもありません。
先に述べたように、ソールが丸くなっていて抜けが良くしてあったり、アンダーカットキャビティのおかげで、上位モデルに比べるとボールが上がり易くなっていたりします。
実際のラウンドではシビアになり過ぎない為の優しさは備えていると言えます。
ぜひ向上心のある方はラウンドでトライしてみてください。

また上級者の方が楽しみながらゴルフをしたり、あるいはラウンド中はスイングの事ではなくコースの攻め方などに集中したい、という使い方もできるクラブではないでしょうか。

ラウンドする上では良いサポートをしてくれるはずですし、品質、性能共に高いレベルのミズノ製ですから使う満足感もきっとある事でしょう。

ミズノMP55を試打して感じたレベルの高さ

MP55は憧れのMPを使ってしっかり練習して経験を積み、レベルアップしていきたい、そんなプレーヤー向きのクラブです。
こういった硬派なクラブで上達していくと、時間は掛かるかもしれませんが、高いレベルまで行けるのだと思います。

しかもおせっかいではない必要最低限の優しさと、非常にきれいな形状や素晴らしい打感が同居しているところに、あくまでこれはMPシリーズなのだ、というミズノのメッセージを感じます。
これは上級者限定の難しいクラブを造るより、高い技術が必要なのではないでしょうか。
MP55はそんなミズノのレベルの高さを感じさせてくれるクラブでした。