正しいゴルフスイングに必要なライ角とロフト角の調整とは

最終更新日:2017/11/14

ボールの方向性に重大な影響を及ぼすライ角、適正な距離感を得られるロフト角、どちらもゴルフにとって重要なものです。

規正品で表示されているものと、実際に計測すると若干の違いがあるので、ライ角とロフト角を調整の重要性を知ることで、快適なゴルフができるようご案内します。

ゴルフクラブにライ角とロフト角の調整が必要な理由

一般的な市販クラブには、ライ角やロフト角が表示されています。
仮に店頭で表示されていなくても、カタログやホームページで確認することはできますが、実際の数値と少し違いがあるようです。

まずライ角について確認しましょう。

ライ角とは、シャフトの傾きと地面との間にできる角度のことです。
クラブヘッドをソールしたときグリップ側にシャフトは傾きます。
このライ角が大きいとシャフトは立っていて、ライ角が小さいとシャフトは寝ています。シャフトが立っている状態をアップライト、寝ている状態をフラットと呼びます。

次にロフト角を確認しましょう。
ロフトとはフェースの傾きで、シャフトを軸にフェース面の傾きを角度でとらえたものがロフト角です。
フェースが直立に近ければロフトは立っていて、上を向いていればロフトは寝ている、もしくは開いていると言います。

市販のクラブは一定の間隔でライ角やロフト角を製造していますが、実際にはバラつきがあり調整が必要な場合があります。

ライ角とロフト角を調整して新しいクラブに生まれ変わる

大半のアイアンセットは、ライ角やロフト角が表示と異なり、バラついているため調整が必要です。
またロフト角については、販売戦略上で表示をわざと変えていることもあり、カタログなどに表示されている数値をオリジナルロフト角、実際に計測したものをリアルロフト角と呼んでいます。

ライ角の場合には製造工程上の誤差の範囲ですが、ライ角は身長や腕の長さによって適正な角度が変わります。

このライ角はシャフトの傾きなので、シャフトの根元にあるグリップの高さが決まることになります。
一方で身長が高ければグリップの位置は高くなり、身長が低ければグリップは低くなります。
それなのに既成のライ角では、グリップの高さが合わずに無理な姿勢でスイングを強いられることになります。
もしくはグリップ位置を適正の高さにすると、クラブヘッドのソールが浮いたり、トゥが浮いたりと正しいインパクトができなくなってしまうのです。

そこで調整によって、ライ角とロフト角の合ったクラブに生まれ変わらせることが必要になるわけです。

ライ角とロフト角の調整は専門のクラフトマンにお任せ

ライ角やロフト角の調整は、知識が豊富なクラフトマン(工房の職人)でなければできません。

アイアンは材質によって曲げることができず、亀裂が入ったりゆがんでシワがよったりします。
もちろん亀裂が入れば折れる可能性が高いので、使用することはできません。
また、そもそも曲げることができないクラブもあります。

例えば内側に空間のある中空モデルや複雑な形のキャビティなどは、曲げたときの反動でゆがみが生じる可能性が高く、難しいと思ったほうがいいでしょう。
また材質の硬いものを使っている場合には微調整が難しく、こちらも調整の難しいクラブです。

そこでライ角やロフト角の調整を考えるのであれば、最初にクラフトマンを探すことです。
自分のアイアン(全部)を持ち込み、ライ角とロフト角の正しい数値を出してもらいます。
さらに自分の体型を採寸してもらって適正なライ角を割り出してもらい、スイング解析をしてもらってロフト角を出してもらいます。

手順は工房によって違いますが、まずは数値を出してもらうことが先決です。

ライ角とロフト角を調整しないとボールコントロールが難しい

ライ角はスイングのゆがみに直結するので、ボールの方向性やミート率に影響します。
ロフト角はボールの打ち出し角をコントロールするため、飛距離(距離感)に影響します。

仮に7番アイアンのライ角60,3度であれば、170センチのプレイヤーにピッタリです。
でも160センチであれば57.6度が適正なので、その差2.7度もあるわけです。
ちなみにライ角で1度の違いは方向性で7番アイアン程度だと0.5度違うと言われていますから、150ヤードであれば約7メートル横にブレることになります。

これが5番アイアンだと身長160センチで56度ですが、170センチになると58.6度で、横のブレは8~9メートルくらいになってしまいます。

ライ角のマッチングは方向性にとってとても重要です。
またミート率を考えると、フェースがスクエアに入らないことで、打撃ポイントがずれてスイートスポットに当たらないスイングになってしまいます。
ボールのコントロールだけではなく飛距離も減少するので、距離感の精度が悪いショットになる可能性が高くなるわけです。

カタログ表示と違うライ角とロフト角には調整が必要!

ライ角を調整すると、ボールをコントロールする方向性が改善されます。

ロフト角は、ボールの打ち出し角を表すものですが、市販のアイアンセットであれば番手ごとに10ヤードから15ヤード程度の飛距離が設定されています。
クラブの番手によってロフト角の違いによる飛距離は変わりますが、仮に表示されたロフト角よりも2度以上違うようであれば調整が必要です。

ロフト角は番手に対して適正でなくとも、その間隔が揃っていれば問題はありません。
オリジナルロフトが7番アイアンで、実際にリアルロフトは5番アイアンというのは良くあることです。

ただし、アイアンの飛距離は同伴プレイヤーに対する見栄であって、正確な飛距離を刻む上では意味のないことです。
ですから7番アイアンのロフト角を5番アイアンに変えるようなことはしません。
5番・6番・7番……が等間隔になるように、微調整を行うことになります。

ただし、ロブウェッジのようにロフト角を必要とする場合には、意識的には開いて設定することがあります。

ライ角とロフト角はクラブにダメージを与えない微調整で

平均身長が伸びてきたこともあって、ライ角はアップライトの傾向が強くなっています。
本来は、正確なライ角やロフト角が求められていますが、身体のサイズが大きくなってきたことから、ライ角を大きくしてグリップ位置を高くしているわけです。

また番手よりもロフト角を立てて、飛ぶアイアンを作る傾向が強くなっていて、いわゆるストロングロフトのクラブが多くなっています。
飛ぶアイアンは販促では魅力的ですし、何よりも道具の進化でピッチングウェッジ以下のアイアンが数多く揃ってきたことも要因になっています。

ウェッジは、ピッチングの下にアプローチウェッジがあり、その下にサンドウェッジ、そしてロブウェッジはロフト角の度数で58度や60度といった区分けをしているほど、バリエーションが広がっています。
つまりフェースが立つストロングロフトになっても、ショートアイアンが増えてきたために、プレイヤーの不便さはなくなってきたのです。

購入するときにライ角やロフト角は自分に合ったものを選ぶこと、選ぶアイアンは調整ができる材質を選ぶこと、そしてスイングスタイルが固まっていることに気をつけていれば、微調整で快適なスイングができるはずです。

ライ角とロフト角を調整できるゴルフクラブを選ぶことが必須

ライ角とロフト角は購入後に調整するものと考えたほうが良いでしょう。

ただしクラブを改造するような大規模調整ではなく、あくまでも微調整したほうが、クラブが劣化を心配せずに使うことができます。
そのためにも調整できる材質を選ぶことが必須条件です。