日本シャフトから発売されているNS950GHは、軽量スチールシャフトとして最も有名な商品と言って良いでしょう。
クラブメーカーの純正シャフトとして必ずと言ってよいほど採用されています。
しかしシャフトはヘッドスピードに合ったものを選ばないとスイングに悪影響を与えてしまいます。
しかもNS950GHは軽量と言ってもスチールシャフトで誰でも扱えるものではありません。
果たしてどれくらいのヘッドスピードの方に適正なのか、検証してみましょう。
スチールシャフトの定番、NS950GHの特徴は?
NS950GHは日本シャフト社が1999年に発売し、それまでスチールシャフト=重いという常識の中、軽量シャフトという新たなジャンルを開拓し大ヒットしました。
適正なヘッドスピードは違いますが、アスリートに人気の定番シャフト、トゥルーテンパー社のダイナミックゴールドと比べて30グラム近く軽くなります。
以来、長年にわたり定番シャフトとして人気があり、累計販売3500万本と大変普及しています。
また、上田桃子選手など女子プロ選手の使用率も非常に高いことからもその性能の高さが伺えます。
シャフトのしなるポイントを表す「調子」では、癖の無いと言われる中調子で万人向けになっています。
そしてメーカーの調子表示は中調子なのですが、若干先端寄りの部分も柔らかくなっているので、ヘッドが走りボールを捕まえて高く上げやすくなっています。
その上軽量の為ダフりにくいという特徴もあるので、適正な重量であれば初心者にとって非常に頼もしいシャフトになっています。
まさにプロから初心者まで幅広いユーザーが安心して使えるシャフトと言えます。
一般成人男性の平均的なヘッドスピードは?
NS950GHの適正なヘッドスピードを考える前に、基準となる一般成人男性の平均的なヘッドスピードはどれくらいなのか確認しておきましょう。
一般的な体力、体格の成人男性のヘッドスピードは38~43m/sと言われています。
もちろん年齢や体力で変わってきますが、平均で40m/s前後と覚えておくと良いでしょう。
一方でハードヒッターと言われるドライバーの飛距離も250ヤード以上飛ばすようなゴルファーは、ヘッドスピードが45m/s以上あります。
あるいは野球経験者の若い方などは男子プロ並みの50m/sという方もいますね。
これくらいのいわゆるアスリートと言われる方達は、当然適正なシャフトが変わってきます。
自分のヘッドスピードをご存知ない方は、ゴルフショップや練習場で計測器を設置しているところもあるので、一度計測してみると良いでしょう。
ここで1つ知っておいて欲しいのは、実際のラウンドでは計測時のヘッドスピードは出ないという事です。
それは緊張があったり、スイング以外の傾斜やコースの事などを考えながらスイングするからです。
ですからヘッドスピードを計測した時はベストの数値ではなく、何度か計測しての平均を自分のヘッドスピードと考えましょう。
ではNS950GHの適正なヘッドスピードは?
それではNS950GHの適正なヘッドスピードはどれくらいなのでしょう。
残念ながら日本シャフトの公式ホームページやカタログでは、NS950GHの適正なヘッドスピードは公表されていません。
そこで参考になるのが先に述べた国内の女子プロゴルファーのヘッドスピードです。
彼女達の平均ヘッドスピードは40m/s前後で、一般成人男性の平均と非常に近いのです。
さらにスチールシャフトを使用している女子プロでは、80~90g台のシャフト使用が多くを占めています。
そして当然ながらNS950GHを使用している女子プロも数多くいます。
この事から考えると、NS950GHの適正なヘッドスピードは一般成人男性の平均でもある40m/s前後と言えるでしょう。
適正な方が非常に多いシャフトな訳ですから、一番普及しているのもうなずけますね。
ちなみに世界的な定番スチールシャフトDG(ダイナミックゴールド)のNS950GHに近い重量モデルGS95があります。
トゥルーテンパー社のホームページにこのシャフトの適正なヘッドスピードが掲載されており、Sフレックスで40~48m/s、Rフレックスは35~42m/sとなっています。
このことからも90g台であるNS950GHは、40m/s前後のヘッドスピードが適正であることが分かります。
ヘッドスピードだけでなくフレックスも適正なものを!
同じNS950GHと言っても複数のフレックスが用意されています。
R、SR、S、Xと4種類あり、シャフトの柔かさだけでなく重量も変わります。
RとXでは約10gも違いますので、適正なヘッドスピードにも関係してくるでしょう。
となるとヘッドスピードが40m/s前後だからといって、闇雲にSフレックスを選ぶのも考えものです。
先ほど例に挙げた女子プロのNS950GH使用者でも、例えば上田桃子選手はSRフレックスですし、アン・ソンジュ選手はRフレックスです。
以前NS950GHを使っていた女子プロ屈指の飛ばし屋、渡邉彩香選手はヘッドスピードはもっとありますがフレックスはSでした。
また同様に例に挙げたトゥルーテンパーのGS95の適正ヘッドスピードは、Sフレックスで40~48m/s、Rフレックスでは35~42m/sとなっています。
これらの事から考えるとSRやRフレックスを選ぶのも十分検討の価値ありです。
ヘッドスピードが40m/s未満の方、あるいはSフレックスではしなりを感じにくい方は、SRやRフレックスを試してみてはいかがでしょうか。
NS950GHの良さを生かす事ができて、飛距離が伸びたりボールを上げやすくなるかもしれません。
適正なヘッドスピードでもラウンドする時に気をつけたい事
NS950GHの適正なヘッドスピードの方でも実際にラウンドする事を考えると気をつけたいことがあります。
それは体力のことです。
NS950GHがしっかり振れていても、それは練習場やショップでの短時間の話です。
練習場で他のゴルファーのNS950GHシャフトがついたクラブを借りてみたら、案外打てるものだなと思った方もいるでしょう。
しかし実際のラウンドは18ホールあり、時間も4~5時間近くもプレーします。
そのためラウンドの後半になってくると足が疲れてきて、適正なシャフトだとしても安定して振れなくなる可能性が出てきます。
そうなってくると飛距離が落ちてくるばかりでなく球筋も安定しません。
またゴルフは自然の地形でプレーしますから、傾斜があったり不安定な場所でスイングすることも当たり前です。
練習場は平らで地面も滑りにくいですが、実際のコースは土や砂まじりだったり、濡れている場合もあります。
疲れていると足の踏ん張りが効かなくなりますので、スコアに影響するだけでなく怪我の元にもなります。
ぜひシャフトはヘッドスピードだけでなく、ラウンド後半の体力を考慮しながら選びましょう。
ヘッドスピードがNS950GHに適正でもシャフト重量の変更は慎重に
他の重量帯のシャフトからNS950GHに変更される場合、ヘッドスピードが適正でも注意が必要です。
まず今使われているシャフトが50~60グラムのカーボンの場合、NS950GHと比べると30グラム以上重くなります。
30グラムというとシャフトにおいてはかなりの重量差です。
きちんと振り切れれば飛距離アップが期待できますが、逆にコントロールできずミート率が下がりボールがばらついてしまう事もあります。
またフレックスが同じSでもカーボンとスチールでは感じる硬さが全く違います。
カーボンのしなりに慣れているとスチールはかなり硬いので、ボールが上がらず飛距離が落ちてしまう可能性もあります。
いきなり変えてしまうのではなく、しばらく練習場でしっかり振り込んでスチールの重さとしなりに十分慣れてから変えると良いでしょう。
振り込んでも慣れないようならNS950GHのRフレックスや、同じカーボンの80~90グラムのシャフトを検討するのも1つの選択肢です。
一方、NS950GHより重量のあるDGなどのシャフトから変える方は、ある程度体を使ったスイングができている方が多いはずです。
その場合は軽いNS950GHへ変える事でヘッドスピードが上がり、飛距離が伸びる可能性があります。
またミート率が良くなり、方向性共がアップすることも考えられます。
ただし軽量シャフトは次第に手を使ったスイングになり、飛距離や安定性を落としてしまう危険性があります。
もしDGなどの重量から変更されるなら、いきなりNS950GHではなく同じ日本シャフトのモーダス3などを試してみてからでも良いかもしれません。
適正なヘッドスピードで適正なNS950GHを選んでこそ本領発揮!
NS950GHはプロから初心者まで幅広く使える大変優秀なシャフトです。
その性能を生かせる適正なヘッドスピードは、一般成人男性の平均と同じ40m/s前後になります。
そのため多くのゴルファーがその優秀さを体験することができるでしょう。
ただし40m/s前後と言っても38m/sと42m/sでは4m/sも違います。
また体力や現在使っているシャフトを考慮することも大切です。
同じNS950GHでもフレックスがXからRまで用意されています。
ぜひ適正なNS950GHを選びましょう。