三浦技研のアイアンはその打感や美しさに定評があり、高額なものが多いです。
鍛造アイアンのヘッドを主に作っている地クラブメーカーなので、大手ゴムメーカーやスポーツメーカーとは全く規模が違います。
限られた上級者が好むことから一般的な知名度はそこまで高くはありませんが、クラブとしては申し分ないと言われています。
そんなアイアンの中でMB-5005とは一体どのようなクラブなのでしょうか。
三浦技研とは
まずは「三浦技研」がどのような会社なのかを見ていきましょう。
1977年2月に兵庫県神崎郡市川町に、三浦勝弘さんが自らが理想とするゴルフクラブ作りへの挑戦から始まりました。
三浦勝弘さんは道具作りの大好きな方でした。
設立後は、国内メーカーの様々なモデルのOEM生産やツアープロ、トップアマのオリジナルアイアンなどを手掛けてきました。
しかし当初は、鍛造品を仕入れて研磨、完成させていたようですが、その製造では生産効率化が悪く、彼が抱いていた理想のヘッドとは程遠い状況でした。
そこで自力で鍛造を行うために特別な鍛造機を製作し、1991年に三浦技研独自の仕上げ鍛造が始まったのです。
3回打ちの鍛造ヘッドの鉄肌の滑らかさや、鍛造の設定精度の高さなどから、業界内で注目され、数多くのメーカーのフラッグシップブランドのヘッドをOEM製造するようになります。
このように成功を収めていたのですが、三浦勝弘さん自身は決して満足していませんでした。
そこで彼自身が考える理想のアイアンヘッドを追求するため、ヘッドパーツブランドMG Original Headsシリーズを発表しました。
その中の1つがMB-5005アイアンなのです。
三浦技研のMB-5005アイアンとは
三浦勝弘さんが追求してきた中で誕生した三浦技研のMB-5005アイアンとは、一体どのようなクラブなのでしょうか。
マッスルバックの肉厚部分から15gの重量をヘッド内の適切な部分に再配分することで、ヘッドのサイズアップ、ソール幅の増大、低重心化等の機能へと進化しています。
トゥ・ヒール重量配分によるインパクトスポットの拡大と、マッスルバックらしい操作性とパワーを高レベルで両立させています。
プレーヤーの技量を無理なく引き出すことができる、新しいタイプのマッスルバックの形だと言えます。
難しいイメージのあるマッスルバックですが、MB-5005は「やさしいマッスルバック」を意識して作られています。
ハーフキャビティや小ぶりのキャビティアイアンを使っているゴルファーであれば、苦なく使いこなせるマッスルバックになっているのではないでしょうか。
三浦技研のマッスルバックへの追及は「正統派マッスルバック」から「使えるマッスルバック」になったのです。
その追求から最初に登場したのがMB-5005アイアンなのです。
三浦技研のMB-5005アイアンの見た目の印象
1つずつ手作りと言うこともあり、鍛造クラブで人気のミズノのMPシリーズと引けを取らない美しい作りの三浦技研のMB-5005アイアンです。
ヒッティングポイントの部分は一番肉厚になって欲しいのですが、このアイアンは逆で凹凸が逆になっています。
一度見たらなかなか忘れられないような見た目のインパクトが大きいデザインになっています。
バックフェースにはそういった個性的な印象を受けますが、全体的には三浦技研らしいオーソドックスさは忘れていません。
シャープでとても美しく、上級者向けな感じがします。
トゥ側に「W.D.D Assurate Forged」と記されており、製法へのこだわりが随所に見られます。
バックフェースには凹みだけでなく、溝のようなものもあり、この溝により緻密に計算された重心位置などを調整しているのでしょう。
ソール幅は、現代のアイアンの中では狭い方ですが、三浦技研のアイアンの中ではスタンダードです。
ソールが邪魔をせず、上手くボールを拾っていけそうな印象を持ちます。
社長のこだわりがちりばめられ、あらゆる角度から見ても美しいアイアンです。
三浦技研のMB-5005アイアンのバックフェースの形状
三浦技研のMB-5005アイアンを見たときに印象深いのがバックフェースの形状です。
凸凹が逆で、マッスルバックと言うよりは、マッスルキャビティと言う印象を受けます。
これには三浦勝弘さんの強いこだわりが表れているのです。
ボールがフェースに当たるインパクトの瞬間にボールは潰れ、フェース面をせりあがっていきます。
これがバックスピンが掛かる理由です。
この潰れる度合いが大きければ大きいほど接触面積は増え、せりあがる時間も長くなります。
そして潰れたボールの復元力によって力強く前に飛んでいくのです。
その潰れ方は力の弱いゴルファーから一般的なゴルファー、ヘッドスピードの速いパワーヒッターによって違います。
そしてこれらのどの力の人が打ってもミートした瞬間の力を逃さないサイズで、重心を下げる方向に凹みを作り、インパクト時に伝わる力が抜けることなく肉厚部分にしっかりと受け止められ、押し戻すことができる作りになっているのです。
ですから特徴のあるこの凸凹が、やさしいマッスルバック、使えるマッスルバックにしているのです。
三浦技研のMB-5005アイアンを試打
やさしいマッスルバックを意識して作らた三浦技研のMB-5005アイアンを試打した感想を見ていきましょう。
試打スペックは、三浦技研MB-5005の7番アイアン、シャフトはダイナミックゴールドS200、ロフト34度でクラブ総重量は446gです。
見た目バックフェースがえぐられたような形状になっていますが、打感を損なわないようにきちんと配慮されているようで、心地よい感触が伝わってきて、素晴らしいとしか言いようのない打感です。
ボールの上がりやすさは、7番アイアンのロフト通りにきちんと上がります。
先に話したように形状が独特ではありますが、機能的過ぎないアイアンです。
安定性では、マッスルバックとしては驚くほど易しいです。
どちらかと言うとキャビティに近い印象を受けますが、マッスルバックらしくないマッスルバックと言うのが三浦技研の狙いなのかもしれません。
もしかしたらマッスルバックを愛用している人にとっては物足りなさを感じるかもしれません。
飛距離性能では、飛ばない方ではありますが、距離感を重視でアイアンの仕事をしっかりとしてくれる印象です。
操作性は完璧で敏感に反応してくれ、大変扱いやすいです。
三浦技研の都市伝説
三浦技研にはもちろん紹介したMB-5005アイアン以外にも、たくさんの種類のアイアンを扱っています。
試打できるところはかなり限られていますが、一度試打をしてみたら魅了されること間違いなしなので、試してみる価値は十分ありです。
そんなこだわり抜いたアイアンを作っている三浦技研ですが、信じられないような都市伝説が語られているので、興味がてらにここで紹介します。
①タイガーウッズがナイキと契約する前は、タイトリストと用品契約をしていましたが、彼が要求するレベルの軟鉄鍛造アイアンができなかったので、タイトリストはアイアンヘッドの製作を三浦技研に下請け依頼をしていたということ。
②ダンロップフェニックストーナメントの会場に三浦勝弘さんがアイアンを届けに来て、タイガーウッズはいきなりそれを使い優勝したということ。
この他にもタイガーウッズが三浦技研を大変気にいった、彼の要求するレベルに叶うヘッドを作れるのは三浦技研だけといった都市伝説的なことが多く語られています。
もちろん本当かどうかは三浦社長が語らない限り都市伝説のままはっきりとはしていませんが、世界のタイガーウッズが愛用していたのであれば、日本人として誇りに思えますよね。
これは実話なのですが、ジャックニクラウスがプライベートジェットで、三浦技研に行くためだけに来日したことがあります。
通訳を介して三浦勝弘さんとクラブに関して語ったようです。
「世界のMIURA」をゴルフの帝王までもが注目しているとは日本人としてうれしいことです。
そしてこういう逸話を聞くと、益々興味が湧きますね。
高級だが長く使えるからみんなが気に入る
三浦技研のアイアンは正直高額です。
MB-5005の7本セットで20万円近くします。
アイアン単品で3万円前後です。
勇気のいる買い物にはなりますが、それだけ納得の仕上がりですし、長く愛用することもできます。
自分のレベルに応じてカスタムできるのもまた地クラブならではの魅力の1つでもあります。
レベルアップを目指すゴルファーであれば、試打でも良いので一度は手にしてみるべきクラブです