ゴルフ場でよく見かける「ワンペナ」ですが、実際には非公式のローカル・ルールで、ゼネラルルールにはない特殊なものです。
ところが2017年にルール改正案が発表されると、「ペナルティーエリア」としてルール上で正規なものとして扱うことができるようになると含まれていました。
そこで「いまさらながら」ですが、ワンペナについて確認していきましょう。
ゴルフ用語とルールとしてのワンペナの関連性
ゴルフではご当地用語みたいなものや、国別のゴルフ用語があります。
スライスやフック、ドローやフェードは日本製英語であることは有名でね。
接待ゴルフの必須用語「ナイスショット!」を海外で言うと周囲の人はビックリします。他人のプレーに対して「よいショットだ!」と評価を与えるのは、ティーチングプロくらいのものです。
ただ、ここは日本ですから細かいことは言わず、こちらの気持ちが通じればOKという考え方もあるので、日本では誉め言葉として通用していますね。
また英語表記ばかりではなく、ゴルファー用語に「2打罰」とか、「ワンペナ」と言った言葉を使うことがあるのではないでしょうか。
正式なルール上は2打罰ではなく2罰打です。
「?」と思われた方もいるかもしれませんが、罰が先なのですがお分かりでしょうか。
大した問題でもありませんが、クラブハウスのレストランでプレーを振り返るときは、正式用語を使ったほうが良いかもしれません。
それでは正式な用語「罰打」があるのに、「ワンペナ」はどんなときに使うのでしょうか。
一般的にはゾーンやエリアなどの場所に使うわけですが、中にはストローク数に使っている場合もあるようです。
そこで、いまさらながら「ワンペナ」について考えていきます。
いまさらワンペナ?新しくなるゴルフルールが影響している
「いまさらながらワンペナ」とはなんだと思われるかもしれませんが、実は2019年からのルール改正案では、正規のルールとしてワンペナを造れるようになります。
そこでコースのレイアウトとともにワンペナを確認していきます。
一般的なゴルフ場では、フェアウェイとセミラフとラフの3つに分かれています。
でもこれはプレイヤーのための用語であって、ルールでは3つとも「スルーザグリーン」です。
日本のゴルフ場は、大半がこの3つのゾーンに分かれていますが、海外の試合を観ているとさらにヘビーラフがでてきます。
混んでいる日本のゴルフ場では、ラフの長さが足首を越えるとボール探しに時間が掛かり、営業用のコースセッティングとしては不向きです。
そのため一般的なコースでは、ボールの辺りに近づくと目視できる葉高にカットしています。
でも海外のコース、特にリンクスのような平坦なコースでは、敢えてヘビーラフやヒースを造って、ボールの方向性をコントロールしようとします。
狙うつもりはなくてもミスショットがヒースに入ると、アンプレアブルでしか脱出できないことがあります。
そこでヒースエリアやそれと同じようなエリアがあれば、最初からワンペナエリアにしたほうが良いという、今まででは考えられない画期的な推奨を行ったわけです。
そこで日本発のワンペナについて、もう少し詳しく調べていきます。
ルール上でワンペナにしておかないとゴルフができない?
ワンペナの話の前に、前述したヒースについて紹介しておきます。
本来のヒース(Heath)はつつじ科の低木で、イメージとしては密集したらラベンダー畑のような感じです。
ただヒースにはもうひとつ、「荒地」の意味があり、どちらかと言うと後者のほうが意味的にはあっていると思います。
ゴルフの聖地セント・アンドリュースでは、いたるところに生えているモジャモジャで、特に6番ホールと9番ホールのヒースが有名です。
一旦入り込むと手を傷めるので、出すだけもしくはアンプレアブルで罰打を払って外から打つのがベストと言われています。
そんなことからHeathにerを付けて、ヘザー(heather)とも呼ばれています。
ちなみにこの隠語は「Father Mother Heather」からきていて、日本語で言うと「土瓶・茶瓶・はげちゃ瓶」みたいに、嫌な場所を指すための憎らしさを表した言葉が使われています。
今では膝丈もあるような真っ直ぐな草をヒースと呼ぶことが多く、まさにルール上でワンペナにしておかないと、ロストボールの恐れがありそうです。
紛らわしい!ワンペナのルールはゴルフ場によって違う
まずゴルフ場がローカル・ルールとして設定するワンペナについて確認します。
基本的にはワンペナは、エリア(区域)とゾーン(隣のコース)に分かれます。
エリアは谷底のような場所で、無理をすれば打てないわけではない場所が多いようです。ただボールの場所に辿り着く前に危険が伴う、または時間が掛かるような場合に、ワンペナエリアに指定して、別な場所にドロップゾーンを設置します。
またゾーンは隣のコースとの境界線を造って、ボールが進入したときには無条件でワンペナ扱いにして自分のホールにドロップしてプレーを続けます。
問題はこのときのドロップ位置です。
ワンペナゾーンの場合には、ティーショットが曲がり、隣のコースに侵入することが多いと思います。
そのためどこまで飛ぶかはプレイヤーによって違うため、ドロップエリアを設けていないことが多いようです。
ところがコース側はボールの飛来事故がないようにと、自衛策としてワンペナ杭の辺りに樹木を植えているため、周辺はドロップポイントに適していません。
本来であれば、進入口からツー・クラブレングス以内にドロップするところですが、それでは打ち直しでもう1度ティーショットしたほうが良いという状況が生まれてしまいます。
結果的にゴルフ場によって処理法が違う、曖昧なルールとなっているわけです。
ワンペナや前進3打が正規なゴルフのルールになる?
改正が行われる新しいルールでは、ワンペナゾーンやワンペナエリアについても許容するようです。
元々ゴルフは「あるがまま」の状態でプレーをするものです。
でも実際には、コースレイアウトやプレイヤーのレベル、またプレイヤーの数などさまざまな状況をみると、ワンペナを設置したほうがスムーズにランウンドができるコースもあると容認したようです。
ルール上はペナルティを含めて、「委員会(ゴルフ場)が独自の行動規約を採択する」ことを認めるということです。
つまり、ローカルルールズで「コースの真ん中に持ってきてもOK」とすれば、ワンペナから1罰打でフェアウェイからショットしても、正規のラウンドとして認めるということです。
もっと突っ込むと、今まで「正規のラウンドとは認めない」と言っていた、プレーイング3やプレーイング4も、ローカル・ルールに定めるとOKということになりそうです。
このようにコースの実情に合わせたスコア管理が可能になったことで、2019年以降ハンディキャップ用のスコア提出も増えるかもしれませんね。
日本的ルール「ワンペナ」が世界のゴルフ場で受け入れられる?
ゴルフのルールとしてはイレギュラーなワンペナですが、日本のゴルフ場の実情に合わせて運用できるとしたら、改善されたと実感できるのではないでしょうか。
日本では、プレー速度とスタート時間が合っていないため、どこのコースも遅れがちです。
プレーの速度を速めるために、池の処理を簡略化したり、バンカールールを改善したり、そしてワンペナを認めるとなれば、半日も要せずにラウンドが楽しめるようになりそうです。
ワンペナは和製英語のワン・ペナルティーから作られた略称です。
元々本場にない言葉を作り、あたかも本物っぽい「ワンペナ」という用語を使う日本人の凄さですね。
もしかすると世界のスタンダードになるかもしれません。
ただ心配するのは「6インチプレイス」のように、海外のコースで恒常的タッチプレーをしていると、「日本人のゴルフはボールに触ってもいいのか?」と、ヘザー(heather)を視るような目で見られないようしたいものですね。
新しいゴルフルールのお陰で威張ってワンペナ処理ができる?
新しいルールを適用すれば委員会が定めた「ペナルティーエリア」になります。
ワンペナの境界線を跨いだ進入口から、約2メートル以内にドロップすることになるので、ひょっとすると今まで以上に厳しい状況になるかもしれません。
ただワンペナからフェアウェイの真ん中に持ってくるよりは、なんとくスッキリできるのではないでしょうか。