2012年にぶっ飛びとして話題になったテーラーメイドのロケットボールズフェアウェイウッド。
その同じシリーズのユーティリティ、通称『レスキュー』を試打することができました
フェアウェイウッドと同様にソールのフェイス寄りのところにあるスリット「スピードポケット」が採用されています。
果たしてこのユーティリティも同じぶっ飛び遺伝子を持つクラブなのでしょうか?
期待を膨らませつつ、早速試打してみましょう。
試打前にロケットボールズユーティリティの特徴をおさらい
ロケットボールズユーティリティを試打する前に、改めて特徴をおさらいしましょう。
まず最も特徴的なのが冒頭にもお話しした、ソールにある「スピードポケット」です。
このスリットがボールをヒットした時にたわみを生み、その反発力でボール初速が上がり飛距離が延びるとのうたい文句です。
発売当時はスリットが珍しく、ボール初速をアップすると言われても正直色物的に見ていました。
しかし今では多くのメーカーが取り入れていますし、テーラーメイド自身、最新のM2レスキューでも採用している訳ですから、その効果は明らかなのでしょう。
それからテーラーメイド伝統の白いヘッド。
白は膨張色なのでヘッドが大きく見えて、ミート率をアップできそうな安心感があります。
また、ヘッドの光の反射を抑えてくれる効果もあるそうです。
反面、小振りでシャープなヘッドが好きな人からすると、大きく見え過ぎるかもしれません。
最近のテーラーメイドはメインモデルのヘッドカラーは白黒ツートンにして、グローレが白一色のヘッドです。
安心感がより欲しいモデルで白いヘッドを採用するようにして、色使いを分けているようです。
色については実物を手に取ってみるのが一番ですが、ちょっと好みが分かれるところですね。
発売から5年が過ぎ、中古市場で大分お手頃になったロケットボールズシリーズ。
しかし現在でも人気需要があり、名器と言っても過言ではないかもしれません。
ロケットボールズユーティリティをアドレスしてみると
次にアドレスをして改めて観察してみましょう。
ヘッドを良く見てみると、トゥ側に膨らんだ形をしています。
白との相乗効果でよりヘッドが大きく見えるので、自信を持って振っていけそうです。
そして白とのコントラスト効果で、黒いフェースもはっきりと目に入ってきます。
試打の為に気持ちを集中させていくと、視線はどんどん黒いフェースに集まります。
気づくとあら不思議、いつの間にか大きな白いヘッドがほとんど気にならなくなっていました。
始めに大きく見え過ぎるかもと書きましたが、実はそれ程気にならないかもしれません。
またユーティリティというとフェースの向きがやや左を向いている、フックフェースのモデルもあります。
もちろんフックフェースもメリットはあるのですが、反面で目標に対してフェースをどの向きにすれば良いのか、分かりにくいものです。
その点ロケットボールズユーティリティはフェースの向きが±0°のストレートフェース。
ヘッドの座りも良いので自然にアドレスすれば、そのままフェースが真っすぐ目標を向いてくれます。
テーラーメイドのユーティリティの名器レスキューMIDも、アドレスしやすいストレートフェースでした。
それを受け継いだかのように非常にターゲットを狙っていきやすいクラブです。
試打前はぶっ飛びにばかり目がいきがちだったので、この素直なアドレスのしやすさは少し意外でした。
いざロケットボールズユーティリティを試打!その飛距離は?
それではいよいよ打ってみましょう。
試打したロケットボールズユーティリティは4番22°の日本仕様純正カーボンシャフトでSフレックスです。
実際に打ってみるとやや弾き感のある飛び出しで、低スピンの棒玉で飛んでいくのが分かります。
しかしぐんぐん前に行くという感じではなく、飛距離も180ヤード前後とそれほどぶっ飛びはしませんでした。
このロケットボールズシリーズを始め、最近のぶっ飛び系クラブは低スピンにする事で飛距離を稼ごうとしています。
しかし低スピンのクラブで距離を出すにはある程度のヘッドスピードが必要になってきます。
ヘッドスピード40m/s位だとやはり物足りないようです。
ヘッドスピードが45m/s以上あるようなゴルファーがぶっ飛びを体験できるのでしょう。
反面で意外にも普通に振るだけでボールは楽に上がってくれました。
低スピンモデルとの事だったので、弾道は低いだろうと思ったのですが、そんな事はありません。
この辺りはシャローで大きめなヘッドが上手く助けてくれているのでしょう。
ただ球は楽に上がるのですが、低スピン傾向ではあるので着弾してからボールが止まりにくいです。
せっかくキャリーでグリーンを捉えても転がってオーバーしてしまう事もありそうなので、そこは注意が必要ですね。
メーカーもその辺りを考えてか、現在のM2レスキューなどは更にボールが上がるようになっていて、高さでボールを止めようとする工夫が伺えます。
ロケットボールズユーティリティの気になる方向性は?
今回の試打で一番驚かされたのはその方向性の良さです。
ロケットボールズユーティリティを試打する前は、飛距離重視で方向性などは二の次なクラブを想像していました。
しかし意外にも方向性が良く、素直に振れば狙ったところへボールを運べます。
うっかりマン振りしてしまうと当然方向はばらけますが、その幅もかなり小さいです。
乱暴に言えばどこに当たっても振った方向へ飛んでいく感じで、スイートスポットが広い事が分かります。
また前に触れた黒いストレートなフェースが、目標への振り出しやすさに一役買っています。
球筋はストレートかほんの少しのドローするだけなので、この点も目標を狙いやすくしています。
このロフト辺りから方向性が怪しくなってくる方は多いと思いますので、方向性の良さは実際のラウンドでは心強いですよね。
ロングホールのセカンドショットで、ぶっ飛びクラブの強い球でOB・・・なんて事が減りそうです。
一方で弾道を意図的に曲げたりする操作性の幅は狭いと感じましたが、元々そういった事を求められるモデルではないでしょう。
ロケットボールズユーティリティを試打して感じた不思議な打感
ロケットボールズユーティリティの打感はどうでしょうか。
試打する前はぶっ飛びのイメージがあったので、球離れが速く弾き感の強い打感を想像していました。
しかし実際は、わずかな弾き感と共に鉄のかたまりで打っているようなしっかり感のある、不思議な打感です。
以前、他メーカーのソールにスリットを持ったクラブを打った中に、似たような打感の物がいくつかありました。
もしかするとこれはスリット特有の打感なのかもしれません。
ちなみに音も低めのバシッという音で、こちらもしっかり感がありました。
少し気になったのは、ボールを芯で捉えた時と外した時の打感が、あまり変わらない事です。
これはスイートスポットが広い事が関係しているのでしょうが、打感で芯を捉えたか解りたいゴルファーもいるでしょうから、これは好みの分かれるところですね。
いずれにしても重厚とまではいきませんが、軽さや安っぽさの無い好感の持てる打感です。
もう少しヘッドスピードがあれば、ボールの潰れ感も味わえそうな雰囲気もあります。
イメージとはだいぶ違う打感なので一度試打してみると面白いですよ。
試打して分かったロケットボールズユーティリティの優しさ
試打を繰り返しているうち新たに気付いたことがあります。
それはこのロケットボールズユーティリティは優しいクラブだと言う事です。
例えば、明らかにフェース下部でのミスヒットに強い優しさがあります。
打点がフェースの下の方になってしまっても、思ったよりボールが上がってくれるのです。
こうした芯を外した時のリカバリー性能や、前にお話しした大変優れた方向性などの優しさは、たまに出る一発のぶっ飛びより、スコアメイクにとても役立ってくれるはずです。
確かに高い飛距離性能がスコアに生かされる事もあるでしょう。
しかし我々アマチュアは実際のラウンドでは必ずミスをします。
どうしても出てしまうミスを、大怪我にならないようにしてくれるクラブがカバーしてくれる、そんな優しさをロケットボールズユーティリティは持っています。
まだミート率の低い初級者ゴルファーの方、あるいはミスによる一打を堅実に減らしていきたい中級者の方には、ありがたい優しさではないでしょうか。
ロケットボールズユーティリティは基本性能の優れたクラブだった!
今回試打したロケットボールズユーティリティは、その飛距離性能に注目が集まるゴルフクラブです。
しかし実は構えやすさ、方向性の良さ、ミスのカバーといった、クラブとしての基本性能が大変優れたものでした。
そして飛距離性能以上にこの基本性能が、実際のラウンドではスコアメイクに貢献してくれるでしょう。
もしぶっ飛びに興味が無いからといって試さないとしたらもったいないクラブです。
ぜひ実際のラウンドで優れた基本性能を味わってみましょう。