アイアンを使ったボールコントロールをもっとシビアにしたいとき、また他人と比較して飛距離が劣っていると感じたとき、ロフト角調整すれば問題解決はできます。
でもメリットがあればデメリットもあります。
フェースの角度を変えることで考えられるメリット・デメリットについて確認していきます。
アイアンをロフト角調整すれば飛距離アップが可能!
ゴルフには「飛ぶアイアン」という言葉がありますが、言葉尻をとると的確な方向と距離が必要なアイアンに飛距離が必要なのか疑問のあるところです。
一般的にアイアンのソールに刻印されている番手がおよその飛距離を表しています。
プレイヤーは「番手=飛距離」で使用クラブを選択すると思いますが、実際にコースに出ると同伴プレイヤーとの飛距離に差を感じることがあります。
同じ番手でも飛距離に差があるのは、スイングスピードが速いからなのでしょうか?
もちろん速いヘッドスピードであれば、インパクトの衝撃力は強くなるので、遠くまで飛ぶ可能性はあります。
つまり初速だけを考えれば、より速いダウンスイングができれば飛距離を生むことになります。
ただしアイアンは番手によってのフェースの角度が設定されているので、どんなにスイングスピードが速くてもプレイヤーの9番アイアンのショットが3番アイアンを上回ることはありません。
ここで大事なことはフェースの角度、すなわちロフト角によって飛距離が変わると言うことです。
逆に言えばロフト角調整を行うと飛距離アップは可能と言うことになります。
アイアンのフェース角が気になる時はロフト角調整がオススメ
ショップの店頭に展示されているアイアンのPOPには、ロフト角が数値で表示されています。
つまり好みのアイアンを自由に選ぶことができるわけですが、実際に購入してからロフト角調整を考えるとしたら、前述の他人との飛距離の違いを理由にすることが多いと思います。
その違いとはメーカーやブランドの番手の設定によることが考えられます。
ロフト角は数値表示されていますから見比べれば分かるはずですが、実際に購入するときには、見た目の外形や持ったときのフィーリングがあったバランスなどで決めていて、わずかなロフト角の違いまで目にすることは少ないです。
それだけに使用後にロフト角が気になり出すと、フェースを立ててスイングの中で修正しようとして、スイングがバラバラになってスランプに陥ることがあります。
もしもフェースの角度が気になるようであれば、素直にロフト角調整を行ったほうが、不安なくアイアンを振り下ろすことができることでしょう。
アイアンのリアルロフト角を知ってからロフト角調整しよう
では実際にロフト角調整について確認していきます。
最初にロフト角について再確認しましょう。
シャフトを真っ直ぐに構えて、クラブヘッドをソールしたとき、フェースの傾きとシャフトの内角をロフト角と言います。
アプローチウェッジが60度であれば「開いたフェース」と呼び、ドライバーの9度は「フェースが立っている」と言えます。
ちなみにアイアンの中間クラブである6番アイアンのロフト角は30度です。
ただ、このロフト角はメーカーやブランドによって違い、特に以前の3番からのアイアンセットのときの6番アイアンのロフト角は30度ですが、最近流行の5番からのアイアンセットの場合、同じ6番アイアンは27度で、7番アイアンが30度になっています。
つまりブランドが違えば6番と7番が同じロフト角になるわけで、当然飛距離にも影響してきます。
ですから番手ひとつ分ロフト角調整するのであれば、使用クラブの番手選択を変えたほうが簡単に済むと言えるでしょう。
アイアンをロフト角調整する前に確かめることとは
アイアンのロフト角調整をする前にもうひとつ重要なことがあります。
メーカーが発表しているロフト角にはマジックが存在していて、実際に表示されている角度ではないことがあります。
例えば初心者向けのアイアンでは、6番アイアン30度のところを34度にすることで、インパクトでボールをつかまえやすくしています。
一方で「飛ぶアイアン」と言われている場合には、6番アイアンを27度や24度に近いロフト角にしているわけです。
そんなことに意味があるのかと思うかもしれませんが、「打ちやすいクラブ」は初心者が始めるときに適していますし、「飛ぶクラブ」はゴルファーの自尊心をくすぐり販売促進に繋がります。
ただリアルロフト角を問題とするのは、公称のロフト角と実際のロフト角に違いがあることです。
つまりメーカーが勝手に行ったリアルなロフト角調整を知らないで使用することになるわけです。
そこでアイアンのロフト角調整を行うときには、自分のアイアンの本当のロフト角を測ることからはじめることになります。
ロフト角調整するとアイアンのフェース合わせが変わる?
自分でも測れないことはないのですが、ロフト角調整はショップの工房などに依頼するでしょうから、専門工具のあるところで確認します。
ロフト角調整で自分にあったアイアンに改良するには、強制的に捻じ曲げて角度を変えることになります。
基本的な作業は簡単で、万力でヘッドを固定しソケット部分を挟みフェースを開くか立てるだけです。
ただ実際の作業は、かなり熟練していないと1発で予定した位置に曲げることができません。
しかも何度も曲げたり戻したりすると、亀裂が入ってクラブヘッドを交換しなければならなくなることもあります。
いわゆる経験がものを言う職人の技で修正してもらうことになります。
ここで気をつけたいのは、ロフトを立てた場合にはソールのふくらみ(バウンス)が減ってしますことです。
特にショートアイアンの場合には、バウンスがないと上手くボールを捉えることができなくなる恐れがあるので注意が必要です。
またヘッドの刃(リーディングエッジ)がシャフトよりも下がりグースネックになるので、スクエアに合わせるイメージが若干変わります。
ロフト角調整でアイアンに起こりうるデメリットとは
アイアンのロフト角調整を行うと、自分に合ったフェース角を得られるメリットはありますが、一方でデメリットもあります。
ロフト角が立てたときには、先程触れましたがバウンスがなくなりグースネックになることです。
反対にロフト角を開いたときには、バウンスがついてリーディングエッジの入りが悪くなり、しかもソケットのふくらみよりも刃が前に出るのでトップになりやすいクラブになります。
もちろん、プロショップの工房であればこれらの調整も多少はしてくれますが、やはり既存のものとまったく同じにはならないことは理解しておく必要があります。
また最大のデメリットは、グニャっと折れる心配です。
万力で挟んでひん曲げたわけですから、内部には相当な負荷がかかっているはずです。
一方でアイアンは芝面に打ち込むことが多いので、内部亀裂の劣化が進み、ある日突然グニャっと曲がってしまう、もしくはポッキリ折れてしまうことがあるのです。
大事なゴルフ道具ですから、もしも自尊心のためにロフト角調整を行うなら今一度考え直して、飛距離調整には1番手上に持ち替える方法を選択しましょう。
アイアンのロフト角調整をする意義とは
最近はユーティリティを持つことが多くなり、飛距離のためにアイアンのロフト角調整を行うゴルファーは減ってきています。
その代わり、止めたりバックスピンをかけるためにウェッジに工夫をすることが多いようです。
ロフト角調整は飛距離調整というよりも、自分が望む球筋が打てるようにするための改造方法と捉えたほうがよいでしょう。