ゴルフクラブをシャフトカットしたら本当に使いやすくなる?

最終更新日:2017/09/24

短くすると振りやすくなりそうな気がして、今使っているゴルフクラブをシャフトカットしてみようと思ったとき、本当に切った長さで大丈夫なのでしょうか。

絶対失敗しないために、シャフトカットするときのポイントと狙いについて確認していきたいと思います。

ゴルフクラブをシャフトカットする理由と目的とは

市販のゴルフクラブを選ぶときには、メーカーやモデルはもちろんのこと、さまざまな表記を参考にすると思います。
また「同じ価格帯なら」と値段で選ぶこともあるかもしれません。

ショップでは「いい感じ!」と思って購入したのに、いざ使ってみると調子が悪いと思うことは意外に多いものです。

そんな時まずは鉛板を貼ってバランス調整して、自分の好みの「重心」に合わせると思います。

重心は大きく分けて2つ、手元重心と先重心です。
手元重心だとヘッドがないくらいの感じになりますし、先重心だとヘッドが効いて飛びそうな気がすると思います。

ただそれでも相性がよくなければ、クラブをシャフトカットして長さを調整する選択肢もあります。
もちろん一旦切ってしまうと、もう元には戻りませんから、シャフトカットするときにはよくよく考えてから決めなくてはいけません。

そこでシャフトカットするときは、何を知り、何で決定するのかを確認していきます。

ゴルフクラブを適正な長さにシャフトカットすることが大事

長いゴルフクラブを短くすると言う場合、シャフトの長さがスイングに悪影響を与えていると言うことだと思います。

ドライバーの平均的な長さは現在45インチを超えていますが、実際には日本人の身長に合わない場合があります。
理論上は長ければ長いほど遠くに飛ぶことになっていて、1インチの違いで5ヤード以上も飛距離が違うと言われています。

でも長すぎるとヘッドコントロールができなくて、スイートスポット(芯)でボールを捉えることができません。
結果的にヘッドスピードが増してもミート率が下がり、当然飛距離は落ち、しかも左右にぶれる原因となってしまいます。

こんなときはバッサリとシャフトカットしてしまうことで、適正な長さにしたいと考えるのが普通のことだと思います。

ここで大事なことは「適正な長さ」です。

あまりにも短かすぎれば飛距離を求めるドライバーの意味がなくなります。

適正な長さとは技量や体力にもよりますが、手首から地面までの長さを計測して割り出す方法があります。
ちなみに身長180センチで、手首と地面の間隔は90センチ程度ですから、適正な長さは44インチと言うことになります。

ゴルフクラブをシャフトカットするもう1つの理由とは

シャフトカットの目的はゴルフクラブが長いから切るというだけではありません。

「調子が悪い」ときもシャフトカットすることがあります。
前述しているように、目標とするスコアとかの調子ではなく、ゴルフクラブの先端か手元に対する調子なので、バランスと言い換えても良いと思います。

なぜ調子が悪いとシャフトカットするかというと、ゴルフクラブには一定の弾性があり、その弾性が合わないときにシャフトカットするわけです。
一般的に弾性のことを「しなり」と呼んでいて、釣竿を振り下ろすときに竿先が遅れてしなる、あの状態と同じことがゴルフクラブにもあります。

ゴルフクラブの場合には、グリップ側からヘッド側まですべてが均一にしなる訳ではなく、先にいくほどしなり具合は大きくなりますが、振ったときの感じでは手元調子ならグリップ側、先調子ならヘッド側がしなっているように感じます。

しなりが強いとフックしたり、また反対にスライスしたりと横回転を与えることが多く、その他にも弾道が高くなるボールになることもあります。

このような時はゴルフクラブの先端側をシャフトカット(チップカット)すると、弾性が少なくなり先がしならないように変えることができます。
一応は計算上でバランスを出すことはできますが、実際にどのくらい硬くなるかは切ってみないと分からないので、失敗することもあることを理解した上でシャフトカットすることが大切です。

ゴルフクラブはどのくらいシャフトカットするものなの?

では実際にどのくらいシャフトカットするのでしょう。

長さを短くしたいと考えるのであれば、グリップエンドからシャフトカットします。
1インチはおよそ2.5センチなので、最初は1インチからということがあると思います。
くどいようですが、1度切ると元に戻すことはできないので、確実な方法は段階を追って切っていくことです。

ただしシャフトカットは、タダ(無料)ではありませんので、費用対効果を考えると2回程度までには抑えたいところです。

仮に46インチのゴルフクラブのシャフトを1インチカットすると45インチになるわけですが、短くなった実際の長さは指幅1本分です。
切らずともグリップエンドをわずかに空けた握り方をすれば45インチになるわけで、短いから打ちやすいという当初の目的に対する効果が得られるのか微妙なところかもしれません。

では、思い切って2インチシャフトカットすると44インチになりますが、データー上は今よりも10ヤード以上飛距離が短くなります。
さらに1インチシャフトカットすると、そのゴルフクラブはスプーンの長さよりも短くなっています。

あくまでもドライバーを対象にするのであれば、相応の長さは使いこなすことも必要になると思います。

ゴルフクラブのシャフトカットは1回きりの勝負?

ゴルフを始めたころから比べるとスイングスピードは速くなるものです。
技量が上がれば無用な力みはなくなり、ヘッドスピードも速くなっていきます。

ただヘッドスピードが上がると、重くてちょうど良いと感じていたはずのヘッドが暴れだしコントロールが難しくなります。

シャフトが柔らかいと感じるときや弾性を硬くしたいと思った時は、ゴルフクラブの先端側をシャフトカットして調整する方法が取られます。

一般的にゴルフクラブの先端をシャフトカットするときは、0.25インチもしくは0.5インチとわずかな長さを切ります。
「長いシャフト」とはいっても釣竿ほどではなく、ゴルフクラブは最大でも1m超の長さしかありません。
それでもバランスを考えるとわずか1センチにも満たない0.25インチ、シャフトカットすれば弾性を変更できるわけです。

ただしシャフトカットするためにはヘッドからシャフトを抜かなければならず、高熱を加えて接着剤を溶かす必要があります。
すると、シャフト自体も薄いシートを巻いて接着してあるだけなので、その熱で強度が落ちてしまいます。
そのため再接着しても抜けてしまう可能性があるので、1度先端をシャフトカットしたゴルフクラブは簡単に「あと0.25インチカット追加する」ことはできないこともあります。
またシャフト自体も設計段階から先のしなりを精密にミクロ計算して作っているので、先端カット自体対応していないシャフトもあることだけは覚えておきましょう。

ゴルフクラブをシャフトカットするもう1つの注意点

ゴルフクラブをシャフトカットするときには、もう1つ注意点があります。

シャフトをわずかに切っただけで柔らかいシャフトは硬くなるのですが、あまり極端に硬くなりすぎると飛ばなくなります。
イメージとしては野球のバットのようなもので、「しなり」がないと極端に飛距離は下がります。

野球の場合にはピッチャーが投げたボールを弾くことで反発する力が加わりますが、それでもホームランバッターが打つ距離はゴルフのショートホール程度です。
野球のボールとゴルフボールを一緒にはできませんが、スイングスピードを考えると野球のほうが速いのでゴルフボールの飛距離もある程度までしか飛ばないと思います。

シャフトカットしてから「失敗した・・・・・・」とならないよいようにするためには、事前に自分のスイングを理解してくれるクラフトマンがいるメンテナンス工房に通うことです。その上でクラブの長さや硬さを相談すると、スイングスピードなどの数値を元に適正なシャフトカットもしくはシャフト交換を勧めてくれるでしょう。

ちなみにシャフトカットで成功するのは10本やって1本程度とも言われているので、工房の専門家とコミュニケーションをとることが大切です。

ゴルフクラブをシャフトカットする前には必ず試し打ちを!

ゴルフクラブをシャフトカットすると「短くて振りやすそう」と思うかもしれませんが、全体のバランスを理解していないと、かえって使い難い道具になってしまいます。

希望する長さのデモクラブで振ってみて、まずは長さを調節したほうがよいのか、もしくは鉛などで調整したほうがよいのかを見極めることが大切です。