ちょっと長めのドライバーをシャフトカットして、1インチほど短くしようかなという話をよく聞きますが、果たしてシャフトを短くするとコントロールしやすくなるのでしょうか。
そこでシャフトカットしたときのプラス面とマイナス面、シャフトカットしたクラブとはどういうものかを確認していきたいと思います。
ドライバーを1インチシャフトカットして得られるものとは
感覚的に長いクラブを短くすれば扱いやすくなります。
使用中のドライバーを1インチでもシャフトカットすれば当然短くなり、クラブをコントロールしやすくなりますが、一方でバランスや硬さなど心配なこともあります。
それではシャフトカットによるメリットとデメリットについて考えていきます。
そもそも長いクラブとはどのくらいなのでしょう?
一般的なドライバーの長さは45インチから45.5インチとされていて、それより長いと「長め」、46.5インチ以上になると長尺ドライバーと言われることが多いようです。
一方で短いドライバーは44.5インチ以下になりますが、短尺ドライバーの中には43インチと3番ウッド程度の長さにしているものもあります。
確かに短いドライバーは扱いやすくなりますが、一方で飛距離が落ちる心配があります。1インチで飛距離は5ヤード変わると言われているので、45インチから43インチに変えると10ヤード程度マイナスになります。
長いドライバーをシャフトカットすると、わずか1インチでも5ヤード飛距離が短くなる、つまり飛ばないクラブになってしまうことを理解しましょう。
長さを1インチだけシャフトカットしたドライバーはどうなる
ドライバーのミート率を上げる為に1インチ以上もシャフトカットすると、バランスが変わってしまうので、バランス調整が必要になります。
バランスが「重い」ときはヘッドに重量を感じますし、「軽い」ときはヘッドの重さを感じなくなります。
バランスというのはシャフトを糸でぶら下げたとき、その位置がヘッド寄りにあるかグリップ寄りにあるかを数値で表したものです。
数値は英文字と数字の2つを使って表示します。
英文字は軽いほうからA→B→C→D→Eと5段階に分かれていて、数字は軽いほうから0→9までの10段階に分かれています。
男性用であればD0~D2、女性用であればB8~C4というのが市販品としては多いようです。
中間をとると男性はD1、女性はC1くらいが標準バランスと言えると思いますが、ドライバーをグリップエンドから1インチシャフトカットすると、6ポイントくらいヘッドが軽くなるので、ヘッドにウエイト(鉛板)を貼る必要があるかもしれません。
ちなみにポイントはD1のドライバーがC5、C1のクラブがB6になるということです。
ヘッドバランスは重量にして2gで1ポイント変わるので、感覚的にはヘッドが12gも軽くなったように感じてしまいます。
このように1インチ程度シャフトカットしたドライバーはなんらかのチューニングをしないと、そのままでは使いづらいクラブになる場合があります。
1インチのシャフトカットで全く別なドライバーに変わる
シャフトカットで1インチと言えば、わずか2.5センチですから、指の太さ1本分だけグリップエンドを空けた長さです。
果たしてそのわずかな長さの違いで、ドライバーの性能の違いを実感できるものでしょうか。
シャフトカットすると長さの違い以外に、バランスが変わることは紹介しました。
そしてこれ以外に総重量も変わってきます。
現在のドライバーのシャフトの多くは軽くて丈夫なカーボンシャフトになっています。
特に日本製のカーボンは飛行機のボディに使われているほどの硬度と耐久性を兼ね備えている逸品です。
それだけにシャフト自体の重量は軽く、メーカーにもよりますが平均重量はわずか60グラム程度です。
最軽量は30g台ものまであります。
シャフトカットしてもクラブ自体の重さにはさほどの違いはありませんが、打ちづらいと感じるかもしれません。
これはシャフトカットしてもらうショップの専門家と相談したほうがよいと思いますが、重量フローを考慮しなければなりません。
すべてのクラブは長さと重さが一定の間隔でなければ、突出した重さのクラブだけが振りにくくなり、まして1番難しいドライバーがそのクラブであれば、他のクラブと比較した調整が必要となります。
僅か2.5センチ、1インチのシャフトカットですが、全く別なドライバーになる可能性があります。
ドライバーを1インチシャフトカットする決断は慎重に
ドライバーのシャフトカットをするときは、わずか1インチと言えども慎重にしなければいけません。
確かに短いドライバーに変更したら、扱いやすくなることは間違いありません。
世界で戦うトッププロの多くは、ドライバーの長さが45インチ前後です。
つまり一般のプレイヤーの平均の長さよりも短いものが主流となっているわけです。
もちろん理由は「コントロール」にあります。
トッププロたちのコースセッティングは、フェアウェイとラフでは大きな違いがあり、しかもそのフェアウェイ幅は20ヤード程度と極端に狭めていることもあるほどです。
一流プロでさえ45インチがコントロールできる最大の長さと感じているとしたら、アマチュアゴルファーにとって46インチ以上のドライバーはかなり難しいクラブと思っても当然のことだと思います。
ただシャフトカットでドライバーをコントロールできるかというと、バランスや重量フローなど意外に障壁があり、簡単に「1インチくらい切ろうか」というわけにはいきません。
最低条件として、自分のスイングを理解してくれるクラフトマン(ショップの専門家)を見つけ、適正な長さのアドバイスを求めることが必要です。
その上で、自分が所有しているドライバーをシャフトカットしても大丈夫なのか、別なシャフトに差し替えた(リシャフト)ほうがよいかを相談するべきです。
ドライバーの先端を1インチシャフトカットすると硬くなる
ドライバーのシャフトカットは「長いから」という理由だけではなりません。
使い慣れて愛着のあるドライバーですが、技量が進歩したことでスイングスピードが速くなり、またはヘッドスピードが速いと感じたころから、曲がりが気になり出したときにもシャフトカットを選択することがあります。
シャフトの長さを短くしたいと1インチだけシャフトカットすることはありえますが、それ以外にシャフトがやわらかく感じて、硬くするためにシャフトカットをする選択もあります。
ドライバーを釣竿に見立てると、遠投するために竿を振ると竿先が遅れるように、柔らかいシャフトのドライバーはヘッドが遅れてしまいます。
最初のころは当てるだけで精一杯でしたが、クラブの特性を生かしてスイングが速くなり、ヘッドスピードも上がることはよくあることです。
このような時はヘッド側をシャフトカットして、しなる元を詰めてしまいます。
これを先端カットやチップカット、トリミングするなどと言います。
短くするというよりはヘッドが遅れてこないような硬いシャフトに生まれ変わらせるわけです。
一般的なシャフトカットは0.25インチから始めて、徐々に切っていきます。
ただ1度に1インチもシャフトカットするとなると、弾力性のないクラブと感じるかもしれません。
またシャフトの種類によっては先端カットを禁止しているものもありますし、やったからと言って1フレックスも硬さが変わるわけではないことは知っていてください。
1インチ短いドライバーにするシャフトカットは適合性が大事
クラブは適度なしなりによって反動が起こり、その結果ヘッドスピードが加速することになります。
そこで重要なのがキックポイントです。
シャフトのどこの部分で曲がり始めるかはクラブよって違いますが、そのしなりの部分をキックポイントと言います。
一般的には「調子」で表していて、先調子・中調子・手元調子とか、ロー(キック)ポイント・ミドル(キック)ポイント・ハイ(キック)ポイントともいいます。
シャフト自体は全体的にしなります。
特にしなる部分を強調して「調子」で表現しますが、決してその部分だけが柔らかくなっているわけではありません。
スイングしたときそう感じるように調整されているものなのです。
ところがドライバーの先端を1インチもシャフトカットしてしまうと、結果的にシャフトの剛性は得ることができても「調子」が狂ってしまうことになります。
またボールの弾道が低めの人やフック系のゴルファーにとっては、シャフトカットした結果、さらに悪化する場合がありますので、自身のスイングと合っている調子を選んでシャフトカットするかを決断することが大切です。
わずか1インチされど1インチ!シャフトカットして大丈夫?
クラブが長いとミート率が悪くなるのでシャフトカットすると安易に決断して、あとから失敗したという話をよく聞きます。
わずか1インチとは言え自分に合った長さにだけカットするのではなく、クラブの特性をしっかり理解した上で決断するようにしましょう。
1度短くなったドライバーは元に戻ることはありません。