スクラッチで行われるゴルフ競技でも賭けたら違法!要注意!

最終更新日:2017/08/04

お互いがイーブンでプレーするスクラッチ競技、上級者の中で行われるゴルフ競技会のひとつです。

プロの試合はスクラッチであることに対して、アマチュアのときは大抵マッチプレー競技で行われることが多いのですが、「マッチプレー=勝ち負け」となり、結果的に賭けを行ってしまうことがあるようです。

そこでゴルフの歴史と賭けについて、そして日本では違法であることを再確認したいと思います。

連綿と続くスクラッチ競技は賭けゴルフの歴史?

ゴルフの起源については、スコットランドの牧童が家畜を追うのに使っていた杖で石ころを…と言ったものから、中国では創始者の名前が「呉 竜府」だったなんてものまでありますが、近代ゴルフはオランダからではないかという説が強くなっているようです。

実際にはいつ頃から盛んになったのかも分かりませんが、当初は水鳥の羽を丸めてボールにして目標物に当てるゲームだったようです。
もちろん庭先で遊べるようなゲームだったことから、家族単位で楽しむことができたようです。

時代は移りさまざまなルールが決められ、道具が改良されて競技となってくると、ベット(賭け金)を積んでゴルフゲームを楽しむようになります。
スコットランドではあまりにも盛んになったことで、法律でプレー禁止令が発せられますが、取り締まりを受けても継続されつづけて今に至るわけです。

ただ創世記から近代ゴルフの前まで楽しまれたのは、あくまでもベットを前提としたスクラッチでのマッチプレーゲームが主体で、スポーツとなったのはずいぶんと後になってからです。

つまりゴルフにおいての「賭け」はスポーツ以前の歴史でもあるわけです。

スクラッチでは賭けゴルフにならない!そこでハンデを開発

もう少し、ベット(賭け金)の話を続けます。

当時のゴルフはスクラッチなので、技量によって勝ち負けはハッキリします。

勝ち負けが最初から決まっているなら、公平な賭けをすることはできません。
そこでハンディキャップをつけて、技量の劣るプレイヤーと公平にゲームを楽しむことにしたわけです。
ただし下手なほうが「私にこれだけのハンデを下さい」と申し出ることはなく、あくまでも上手なほうが腕前を聞いて相手のハンデを決めていたわけです。

どちらも勝ちたいわけですから、明らかに上手な人が有利に設定をするはずです。

そこで考えたのがホールに基準を設けて、いくつでホールアウトができるか、つまりパー(PAR)を設定して技量を標準化したのがハンディキャップの始まりです。
「私は普段パーでプレーしているけど、あなたは?」と聞けば、ホールバイのハンディキャップが容易に決められることになります。

このことで「公平な賭け(?)」ができるようになり、さらにゴルフは盛んになっていきました。

スクラッチといえども賭けゴルフは違法!

日本ではいつの時代でも「賭けごとは悪い」と言われています。
ましてスポーツという崇高な目的のためにプレーをするのに、お金が絡むなど恥ずかしいことと考える人がいてもおかしくはありません。
もちろんゴルフも同じで、賭けごとだけではなく、お金が絡まないアマチュアゴルファーであることは名誉なことだったようです。

そんな中、球聖とも呼ばれる「ボビー・ジョーンズ」は代表的な人物です。
現在も「ゴルフが紳士のスポーツ」と言われているのは、彼のお蔭だと言う人もいるほどで、終生アマチュアを貫いたゴルファーでした。

ところが、そんな彼にも「パトロン」という人達が支援していたようで、その名残りは彼が作ったゴルフ場『オーガスタインターナショナル』に残されています。
同コースを会場とする『マスターズ』では、ギャラリーをお客として扱わず、あくまでも支援者(パトロン)としているのです。

そしてゼネラルルールにおいても、アマチュアはプレイヤーとして賞金や指導料、もしくは執筆であっても認めないとされています。
まして賭けなどもっての外、特に日本での賭けごとは「博打」であり、例え少額であっても違法行為とみなされます。
スクラッチだから大丈夫、ではないのです。

R&Aが定める賭けゴルフ禁止のルールの範囲

創世記からのゴルフにとって、ベットは歴史であり発展の要因でもありました。
特に英国などでは試合に対して賭けをするのは一般的で、ゴルフなどのスポーツに限らず、選挙結果などさまざまなものが対象となっているようです。

ところが日本では、国が定めた公営ギャンブル以外の賭けは認めていません。
当然、スクラッチゴルフであっても認められることはないわけです。

ただ巷(ちまた)では、スコアを比較して「1打いくら」といった数字が飛び交っているようです。
また単純なスコアだけでなく、1番と4番のスコアと2番と3番のスコアを10ケタ1ケタに置き換えて計算するラスベガスや、ピンそばに近い順から金・銀・銅と決めるオリンピックなどさまざまなものを対象としているようです。

さらに一般的なコンペでも、ドラコン賞(ドライビングコンテスト)やニアピン賞など、さらには最下位から2番目のブービー賞なども同じようなものかもしれません。

ただ賭けに対して厳しい目を向ける中、善し悪しは別として風土として賞品を受け取る文化を残しているのがゴルフですから、そこはゼネラルルールでも幅を持たせています。

換価できる商品券はダメだけどという前提で、賞品は7万5000円を限度に受け取っても良いことになっています。
少し前まで7万円でしたから、ルールを決めるR&Aは物価上昇率か景気変動を考慮したのかもしれませんね。

スクラッチで対戦するマッチプレーのゴルフは面白い

ここまで、ゴルフの歴史にとっての必要悪としての「賭け」について説明してきましたが、実はプレーにとっても必要な部分があります。

現在のゴルフはストロークプレーが主体です。
ストロークプレーとは「自己との戦い」であり、相手の善し悪しでプレースタイルを変更することを望みません。

一方で、最近はめっきり減ってしまいましたが、マッチプレーがあります。
マッチプレーは、対戦相手と戦うスクラッチ競技なので、ホールアウトのスコアは関係ありません。
それだけにストロークプレーでは完全ホールアウトがルール化されていますが、マッチプレーではグリーン上の「OK」などで中断するコンシードがルール化されています。

マッチプレー競技の特徴は、相手よりも良いスコアであがれば確実に勝つことができると言うものではありません。
お互いがパープレイの72打でホールアウトしても、相手方は1回だけトリプルボギーで、3回のバーディと残りをパーで上がることができると、すべてパーで上がった人よりもUPホール数が勝るため勝負に勝つことができます。

「負けを取り返す」という賭け引きが行われるのが、スクラッチで行われるマッチプレー競技の醍醐味とも言えます。
そして、これこそが賭けごとの流れをくむ「相手に勝つためのゲーム」がその根底にあるとも言えます。

ハウスで賭けゴルフの現金をやり取りするのは厳禁

通常のゴルフで大事なことは、クラブハウス(特にレストランなど)で、お財布を出して現金をやり取りしないことです。

例え少額であっても賭けごとは、紳士のスポーツとして認められてはいません。
また日本では、お金をかけて楽しむゲームとしての風土も微妙なところがあり、パブリックスペースでは賭けを対象に金銭の授受は慎むのがマナーとも言えます。

一方、スクラッチで楽しむマッチプレー競技は、1度体験すると病みつきになります。
基本的に2人で対戦する競技なので、コースの了解がないとできませんが、メンバーになるとチャンピオンを決める例会などで、スクラッチのマッチプレー競技が開かれています。

あくまでも「相手に勝つこと」が目的であり、でも相手の技量を尊重してコンシード(OKパター)を伝える、このタイミングはゴルファーならではの間合いだと思います。
ただし、マッチプレーは通常のストロークプレーとルールが違うので、少し勉強してから望むと楽しめると思います。

紳士の名に恥じぬゴルフプレイヤーでありますように

「チョコレートを1枚」なんて隠語を使っていた時代もありましたし、「握り」なんて下品な言葉を語源も知らずにハウスで使っていた時代もありました。

最近は金銭を賭けているゴルファーは少なくなったようですが、スクラッチ競技と言えばクラブを代表する競技会のはず、「紳士」の名に恥じぬような振る舞いをしたいものですね。