老若男女がゴルフを楽しめるのはハンディキャップのお蔭かもしれません。
ゴルフの技量の目安となるハンディキャップがないと上手な人が勝つことは明らか。
誰にでも勝敗のチャンスがあることからプレイヤー裾野(すその)は広まったのでしょう。
ゴルフ界に貢献しているハンディキャップ制度ですが、意外に誰が決めているのか知らないこともあるようなので確認してみましょう。
ゴルフのハンディキャップを設定するのは誰?
もともとゴルフはハンディキャップのないスクラッチ競技から始まりました。
当初はお互いがイーブンでスタートして勝ち負けを競うゲームで、しかも5ホールで終わるときもあれば、9ホール以上ラウンドするときもある1ホール毎のプレーを楽しむものだったわけです。
時代は進み競技人口が増えたことから、1度の競技会で参加者全員の勝敗を決めることができるストロークプレー競技ができました。
当初は技量を申告してもらい適正と思われるハンディキャップを付与していましたが、参加者が実力を謙遜したことで結果的に過少申告になったり、実際にゲームをすると圧倒的なハンディキャップのせいで勝てなかったりと混乱することになります。
そこで目安で決めていたハンディキャップを改めることにしたのです。
ゴルフクラブにハンディキャップ委員会を設けて、公正な算出法でハンディキャップを決めることになりました。
こうしてハンディキャップ競技ができたことで、多くのプレイヤーが競技会に不公平無く参加することができるようになり、ゴルフ界の裾野は広がっていきます。
ゴルフのハンディキャップは技量の目安になるか?
ハンディキャップ委員会からハンディキャップを受けられるのは、誰でも簡単というわけではなく長い間ゴルフクラブに所属していることが大前提でした。
つまり会員権を買ったメンバーでなければ、ハンディキャップを持つことはできなかったのです。
ところがバブルが崩壊した頃、ゴルフ場は供給過多となり、また会員権を持たなくてもビジターとしてゴルフを楽しめるのが当たり前となっていき、会員権を買わずにプレーを楽しむ人が増えてきました。
そこでゴルフ協会は、プレイヤーが申告したスコアを査定してハンディキャップを発行する、もしくはクラブメンバーでなくてもゴルフ協会の指針に基づいた算定基準を満たすものが正式なハンディキャップとすることにしたのです。
そんな経緯もあって、現在では委員会の意見を考慮せずにスコアから算出した数値をハンディキャップとしているので、ハンディキャップ自体がプレイヤーの技量の目安として認められるようになっています。
ではハンディキャップの数値を見て、いくつなら「上手い」と思えるのでしょうか。
100打を切るとハンディキャップ27って上手い?
昔から、いわゆる「シングル」と呼ばれた人が上手なゴルファーの代名詞でした。
シングルとは1~9までの一桁ハンディキャップで、スコアだけでなくマナーやエチケットは他のメンバーの見本となり、ゴルフ規則に精通していました。
どれかが欠けていると判断されると、技量はあってもシングルにはなれず、ハンディキャップ10で止めていたと言われていて、「シングル=ステータス」として広く認知されていました。
時代が移ると技量のみで査定することになり、コンペティションのための大切な数値となり、実質的なステータスは感じられなくなってきています。
そんなハンディキャップですが、他人が「上手い」と思える目安は一体いくつからでしょう。
一般的にゴルフを始めた人はダブルボギーが目標になります。
パー5を7打、パー4を6打、パー3を5打で上がることで、パー72のコースでトータル108打です。
まずはこの108打を切ることが第一関門になりますが、コースレートを考慮せずにハンディキャップに置き換えると、ハンディキャップ36と言うことになります。
さらにゴルフ雑誌で盛んに取り上げられている「100を切る打法」からみると、100打を切ると言うことは99打ですから、ハンディキャップでは27と言うことになります。
100打を切っても、なんだか上手いと胸を張れるようなハンディキャップではなさそうです。
ゴルフクラブのAクラスが「上手」な目安
100打が切れ、さらにスコアが上がって「90を切る」となったら、89打でホールアウトするわけですから、ハンディキャップは17ということになります。
80台のスコアと10台のハンディキャップがあれば、上手いと呼ばれても良いのではという気になるのではないでしょうか。
でもメンバーがクラブで行う月例競技会ではAクラス、Bクラス(場合によってはCクラスを設けているところもあります)に分けて競技が行われ、ゴルフクラブによってはAクラスがバックティーを使用、Bクラスはレギュラーティーを使用するなんてことがあります。
つまりBクラスは技量が達していないとみなされているわけです。
そのAとBの境はクラブによって違いますが、AクラスとBクラスだけならハンディキャップ16程度が目安です。
Cクラスも設けていれば、AクラスとBクラスの境はハンディキャップ12前後です。
一応、メンバーであればAクラスに入れる技量が上手の目安になると思います。
ハンディキャップはバックティーのスコアが目安
そもそもAクラスにはどうやったらなれるのでしょうか。
たぶん自己流で、しかもゴルフ練習場でボールを打っていると、周囲から「こうやって打った方がいいよ」とアドバイスを受ける程度でも、ハンディキャップ12くらいにはなれるはずです。
もちろん経験は必要ですが、ハーフでパーの目安が3つ、合計6つとあとはボギーでOKというスコアです。
いわゆる寄せワンと呼ばれるグリーン周りのリカバリーができるようになれば、だれでもハンディキャップ12くらいにはなれるはずです。
つまりこの辺りにいる人にとっては、Aクラスだけでは上手いとは言えないことになります。
では競技者にとって上手いとはどんな人なのでしょう。
一般的なプレイヤーのパー72は仮の設定であって、本来はレギュラーティーではなくバックティーからのラウンドスコアが正規と考えています。
ということは、バックティーからのスコアで算出されたハンディキャップがAクラスに準じていれば、間違いなく上手いと言われるはずです。
上手になれば技量の目安にしかならないハンディキャップ
最近ではハンディキャップ競技を正式な競技会としていることもありますが、基本的にはスクラッチで競うスポーツです。
でも技量が違い過ぎると一緒にプレーをしても勝敗は明らかなので、対処法として設けられたのはハンディキャップです。
昔は白いシャツ、黒いズボン、黒い靴はシングルの証だった地域もあり、一般のプレイヤーは遠慮したなんてことがあったそうです。
当時はシングルになるということは栄誉だったこともあり、1度シングルになると降格なしの終身名誉シングルのような人がたくさんいました。
現在のハンディキャップは、頻繁に変動するので今月はシングルでも来月はハンディキャップ10なんてことは珍しくありません。
しかも上手くなると競技会はスクラッチになるので、ハンディキャップ競技はなくなってきます。
ただ自分の技量を計る上でひとつの目安になることは間違いないので、ゴルフを始めたばかりの人はハンディキャップ36、次はハンディキャップ27、そしてハンディキャップ16を目安に進んでいく指針にはなるでしょう。
ちなみにシングルを維持するには、年間200回くらいのラウンドが必要と言うのが一般的なので、時間とお財布を考えて目指すことも大切ですね。
クラブハンデからダブルペリアに算出方法は移行していく
ゴルフを始めたばかりの時は、ハンディキャップを持つことで競技会に参加できるようになります。
しかしハンディキャップが向上するように練習を重ね、上手なゴルファーの仲間入りを果たすことができると、皮肉にもハンディキャップ競技に出場する機会は少なくなってしまいます。
また最近のオープンコンペでは、直近スコアから算出したハンディキャップではなく、当日のスコアからハンディキャップを算出するダブルペリア方式が一般的になってきてもいますね。
つまりハンディキャップは技量の目安でしかないと考えても何も不思議ではありません。