ゴルフクラブを買うときにに何気なく選んでいるフレックス。
クラブシャフトのフレックスとは、いくつかあるシャフトの特性の1つで、シャフトの硬度を表すものです。
自分のスイングに合わないフレックスを選ぶと、球の飛距離や方向性に悪い影響がでます。
反対に最適なフレックスであれば、飛距離が伸びたり好みの弾道を手に入れられるのです。
クラブシャフトのフレックスをはじめ、各特性の意味を正しく理解して、ご自分のゴルフを変えてみませんか。
何気なく選んでいるフレックス、その意味とは?
シャフトの硬さ表すゴルフクラブのフレックスですが、シャフトのしなり具合を意味するとも言い換えられます。
そのクラブシャフトのフレックス表示を、柔らかい方から順に並べてみると、
L(レディース)⇒ A(アベレージ)⇒ R(レギュラー)⇒ S(スティッフ)⇒ X(エクストラ)
と表されます。
その他にもSとRの中間に当たるSRであったり、Xより硬いXXやLより柔らかいLLというのもあります。
ただしクラブシャフトのフレックスの測定基準は、メーカーによって統一されていないので、メーカーが違えば同じフレックスのクラブでも硬く感じたり柔らかく感じることがあります。
また、クラブシャフトは捻じれも生じるため、この捻じれの力(トルク)によっても硬さの感覚は変わっていきます。
一般的には柔らかいクラブは捻じれも大きく(高トルク)、硬いクラブは捻じれが小さく(低トルク)なります。
フレックスが影響する、ゴルフスイング中のシャフトのしなりを理解しよう
クラブシャフトのしなりはなぜ必要なのでしょうか。
全くしなりのないシャフトでドライバーショットを打つことを想像してみてください。
どんな結果になるでしょうか。
シャフトの動きをイメージしやすくするために、釣り竿を思い浮かべましょう。
餌の付いた針や錘を遠くに投げるためには、釣り竿のしなりを使って投げますね。
釣り竿の場合は、たいていバックスイングはしないで、投げたい方向と反対側に竿先を向けて投げる準備をします。
ゴルフスイングでいうところの、トップの位置です。
そして腕の動きで竿先を持ち上げて投げたい方向に振り出します。
この時の竿先の動きとしては、準備時点では錘などの重さで竿は地面側にしなっており、投げる動作開始と共にしなりが大きくなり、釣り人の頭上を越えたあたりで竿先が逆側にしなり戻っているはずです。
このしなりの動きこそが、腕を振るスピード以上の速度を竿先にもたらすために、釣り針や錘を少ない力で遠くのターゲットまで飛ばすことができるのです。
ゴルフクラブの動きも、釣り竿の動きと同じしなりの原理でボールを飛ばすのです。
シャフトがしなり、そしてしなり戻る。
フレックスによってしなりの大きさと速度が変わるので、フレックスにどんな意味があるのか、如何にゴルフスイングに大きな影響を及ぼすかお分かりになりますね。
弾道にも影響する、ゴルフクラブのフレックスの意味とは
低い弾道で風に負けないショットを打ちたいとか、高弾道のドライバーショットで飛距離を最大限に伸ばしたいとか、ゴルファーの望みはつきません。
ではそういう望みはどうやって叶えるのでしょうか?
その都度ゴルフスイングを変えますか?
それでは安定性にかけますし、スイングが壊れることもあるのでオススメはしません。
そこで考えるべきは「シャフトしなり」です。
ゴルフスイングでは、トップの切り返しでシャフトに大きなしなりが生まれます。
そしてそのしなりが戻る力によって、逆側にシャフトがしなった時にインパクトを迎えるのです。
この逆しなりが重要なのです。
逆しなりが大きい場合、インパクトでフェースはアドレス時よりを向いていますね。
ロフト角10度のドライバーでも、逆しなりでフェースが上に向けば、インパクト時のロフト角は11度や12度以上にもなります。
つまり高い弾道のショットが生まれるのです。
同様にしなり戻りが少なければインパクトのフェースは立つようになり、元々のロフト角に近い弾道でのショットになるわけです。
スイングスピードの遅い非力な女性プレーヤーがフレックスXの硬いシャフトのゴルフクラブを使うとどんな結果になるでしょうか?
十分なしなりが生まれないので、フェースは上を向かず低弾道の球になってしまいます。
シャフトのしなりの意味が理解できれば、答えは簡単ですね。
どうやって決める?ゴルフクラブのフレックスの選び方
それでは自分にあった最適なしなりを得るためのゴルフクラブのフレックスは、どのように選ぶのが良いでしょうか。
一般的にはクラブのヘッドスピードで判断する場合が多いと思います。
ところでご自分のヘッドスピードがどのくらいか把握していますか?
分からないというゴルファーは、一度ゴルフショップで測定してもらいましょう。
成人男性でだいたい40m/sくらいが平均値でしょうか。
そうなるとフレックスはRを選ぶケースが多いようです。
50m/sに近い数値だとXシャフトのレベルになりますね。
ただしこれらはあくまでも目安です。
先に述べたように、シャフトのフレックスはメーカーによって基準が違いますので、その点を考慮して選ばなければいけません。
もっと賢い選択方法は、いろいろなフレックスのクラブを振ってみて、最もヘッドスピードが速くなるシャフトを選ぶ方法です。
シャフトはしなり戻りでインパクトを迎えると説明しましたが、スイングする腕のスピード(スイングスピード)に加えてシャフトのしなり戻りのスピードが加わったものがヘッドスピードです。
つまりヘッドスピードにはプラスの速度が加わったものなのです。
時速200キロで走っている新幹線に乗っている人が、車内の通路を進行方向に向かって時速5キロで歩けば、その人物は地面に対して時速205キロで移動していますね。
ゴルフスイングにあてはめると、新幹線の速さがスイングスピード、徒歩の速さがシャフトのしなり戻りのスピード、人間の地面に対する移動する速さがヘッドスピードというわけです。
この理論から考えると、もしスイングスピードに対して柔らかすぎるフレックスを使った場合には、しなりが大きすぎてインパクトを迎えてもシャフトのしなり戻りが十分でなく、結果的には、
[ヘッドスピード≦スイングスピード]
となってしまいます。
つまりしなり戻りによるプラスのスピードが得られないのです。
シャフトのしなりがヘッドスピードを上げるという意味が理解できれば、最適なフレックスのシャフトを選びに一歩近づくことになります。
フレックスだけじゃない、その他のゴルフクラブシャフトの特性を知る
ゴルフクラブのシャフトにはフレックス以外にも知っておくべき特性があります。
まずひとつは、すでに説明した捻じれ(トルク)です。
「シャフトがしなることは知っているけれど捻じれるとは知らなかった」というゴルファーは、一度グリップを固定した状態でクラブヘッドを掴んで捻じってみてください。
シャフトが捻じれることが分かります。
クラブのスイングの軌道(スイングアーク)は、真っ直ぐ上げて真っ直ぐ下したつもりでも、若干のループは出てしまいます。
ループしながらしなることでクラブシャフトは捻じれるのです。
捻じれの少ない(トルクの小さい)シャフトのゴルフクラブは、手の動きがダイレクトにクラブフェースに伝わります。
したがってフェースの動きを敏感に感じてコントロールしたい上級者は、トルクの小さいシャフトを選ぶ傾向にあります。
対してアベレージゴルファーの場合は敏感なフェースコントロールは難しいので、比較的トルク大きいシャフトを選んだ方が良いでしょう。
もうひとつ、意味を知るべき特性とはキックポイントです。
キックポイントとはシャフトしなりの中心点を指します。
長いシャフトのどの位置が中心になってしなるかということです。
シャフトの真ん中がしなるものは中調子といいます。
これに対して真ん中よりクラブヘッド側、すなわち先の方がしなるシャフトを先調子といいます。
反対にグリップ側がしなるシャフトを元調子といいます。
調子の違いは弾道に影響がでます。
先調子と元調子、どちらがインパクト時にクラブフェースが上を向きやすいでしょうか?
想像してみてください。
先ほどから、シャフトはしなり戻りをしてインパクトを迎えると説明してきました。
答えは簡単ですね。
先調子になります。
先調子の方がシャフトのヘッドに近い部分がしなるので、高弾道のショットが打てるようになります。
ただしそれが結果的に飛距離を伸ばすことにはなりません。
タメの大きな元調子の方が、クラブシャフトの全体的なしなりの働きで良い結果になる可能性もあります。
これは個人のスイングによって変わるので、数多くの種類のシャフトが装着されたクラブを打ってみて、最適なものを見つけるしかありません。
自分に合わないフレックスのゴルフクラブを使うことにも意味がある
シャフトの特性とそれがもたらす効果を理解することで、自分のスイングにあった最適なシャフト選びができるようになると思います。
次にもう少しゴルフのレベルアップを図りたいゴルファーは、試しにわざとシャフトフレックスの合わないクラブを使ってみることをオススメします。
それにはどんな意味があるのでしょうか。
初心者ゴルファーやアベレージゴルファーには、ドライバーショットのスライスに悩んでいる方を多く見かけます。
力無い打球で飛距離もでない。
飛んだとしてもOBゾーンにまっしぐら。
そんな球ではなくて、力強いドローボールを打ってみたいというゴルファーは、是非一度極端に柔らかいフレックスのドライバーを使ってみてください。
男性だったらLフレックスの女性用ドライバーを借りて打ってみるのです。
そうすると自分のスイングスピードに対してシャフトが柔らかすぎるので、フルスイングした時にはしなり戻りをする前にインパクトを迎えることになるでしょう。
結果としてクラブフェースは開いて下を向いた状態でのインパクトになるため低弾道のスライスボールが出るはずです。
俗にいう「球が捕まらない」状態ですね。
次にフルスイングは止めて、ゆっくりとしたの速さスイングしてみます。
すると今度はしなり戻りをした状態でインパクトができるはずです。
しなり戻りが一番大きくなったところでインパクトをすると、クラブフェースは閉じて上を向いた状態になるので、高弾道のフックボールがでるはずです。
これは逆に球が捕まり過ぎの状態です。
この感覚が分かればしめたもの。
右利きのゴルファーであれば、スイングの速さを調節してボールを真っ直ぐはなく若干右に打ち出してみます。
しなり戻りと打ち出し角度が合えば、右に高弾道で打ち出されたボールは軽く左に曲がりながら軌道を描くはずです。
そう、これがドローボールの原理なのです。
ドローボールを打ちたくて無理に手をこねてチーピンなんてゴルファーを見かけますが、ドローボールはシャフトのしなり戻りを使って打つのです。
自分のクラブでドライバーショットに四苦八苦しているゴルファーは、一度試してみると大きな発見がありますよ。
「ゴルフはシャフトを働かせる」という意味
ゴルフクラブのシャフトには様々な特性があることがお分かりになりましたか?
よく「ゴルフはシャフトを働かせる!」と言われますが、その言葉の意味がご理解いただけたでしょうか?
シャフトをしならせて、その戻る力を利用してヒットする。
それが「シャフトを働かせる」ことですね。
このことを理解すれば、あなたのゴルフスイングは確実にレベルアップしますよ。
次回のクラブ選びでは是非この知識を生かして最適なシャフトを見つけて、ご自分のゴルフを変えてみましょう!