日本国内のゴルフ場ではほとんどないプレー形式であるショットガン方式ですが、海外特にアメリカでは一般的なプレー形式です。
プロツアーの前に開かれるプロアマ戦では、このショットガン方式が取られますが、国内のゴルフ場でしかプレーしないゴルファーにはあまり機会のないプレー方式です。
ショットガン方式のメリットは何といっても、効率化です。
通常1番ホールや10番ホールから順次スタートする方式だと一番最初に出た組は一番最後の組を待たなければなりませんよね。
その点、ショットガン方式なら各ホールからスタートしていく為、スタートから終了までがほぼ同時となります。
そういったショットガン方式のメリットは沢山ある様に思えるのですが、普及しない理由、ショットガン方式で回れるゴルフ場などについて見ていきましょう。
まずショットガン方式とは通常のプレー方式と何が違うのか
日本国内のゴルフ場でプレーするとほとんど経験する機会のないショットガン方式ですが、そもそもどの様なプレー方式なのでしょうか。
ショットガン方式とは、一組のプレーヤーが1番や10番ホールから順次スタートするのではなく、あらかじめゴルフ場から決められたホールからスタートする形となります。
例えば、18組のプレーヤーがそれぞれ1番から18番に分かれて同じ時刻にスタートすれば終了する時刻もほぼ同じとなりますよね。
実際はもっと多くの組がスタートしていく為ホールアウトする時刻は異なりますが、話を単純化する為に18組とします。
ショットガン方式だと、順次スタートする方式と比べて圧倒的に時間のロスがなくなります。
ゴルフをスポーツとして捉えた場合、非常に理に叶った方式と言えるのではないでしょうか。
ただ、1番10番からスタートする、いわゆるアウト、インスタートの感覚が身についたゴルファーにとってみると違和感があるのもショットガン方式と言えます。
アメリカのリーズナブルなゴルフ場では一般的なショットガン方式です。
ちなみにショットガンの名前の由来は、各ホールに分かれてヨーイドンでスタートする合図にショットガンを用いた事が語源だそうです。
日本でゴルフのショットガン方式が普及しない訳
ゴルフのプレー方式としてショットガン方式は時間のロスが少なく、効率的と言えるのですが、日本では普及しておりません。
これには処々の事情があるのですが、一番の理由として挙げられるのが、レストラン利用などゴルフ場でのお金の使われ方になります。
通常、アウトやインからスタートすれば9ホール終わった時点で昼食の為クラブハウス内のレストランに寄りますよね。
ここで、昼食やお酒といったゴルフ以外の部分でプレーヤーがお金を使う事になります。
対してショットガン方式だと、各ホールからスタートする為、クラブハウスに寄る事がなくプレーヤーはお腹の空いたタイミングでサンドイッチなどの軽食をコース内、普通はティーショットを打つ前のホールとホールの間で摂る事になります。
こうなると、食事でお金を使ってもらう事ができなくなる為、ゴルフ場側から見た時に機会損失となってしまいますよね。
ゴルフも商売である以上、ユーザーに多くのお金を使ってもらう必要がある為、ショットガン方式はそぐわない面があるのです。
ちなみに余談ですが、キーケースの番号でレストランの食事やコース内売店で飲料が買える様になったのはバブル期の日本が考え出した仕組みです。
今ではアジアの各国もこの方式を取っている所が多いですね。
これもユーザーにいかにしてお金を使ってもらうかの知恵だったりします。
ゴルフのショットガン方式は公平性の面から問題がある為競技には向かない
ゴルフのショットガン方式は、各ホールからスタートする為、公平性の面から競技には向かないといった面があります。
普段のプライベートなゴルフならどこからスタートしようがあまり関係がないのですが、月例会やコンペなどの競技になると話は変わります。
ショットガン方式で割り当てられたホールがいきなり難しかったりすると、公平性の面からかなり問題がありますよね。
ゴルフ場の各ホールには難易度に差がつけられている為、ショットガン方式だとその影響がもろに出てしまいます。
また、ゴルフ場側がスタートホールにプレーヤーを運ぶ必要がある為、元々ショットガンを想定していないゴルフ場のレイアウトだとオペレーションに時間とコストが掛かってきます。
日本では電磁誘導カートを採用しているゴルフ場が多く、ショットガンのオペレーションは実質無理だと言えます。
そういった面から、ショットガン方式が採用できるゴルフ場は限られており、且ついつもその方式に出来る訳では無い為、日本では一般的ではないと言えるのです。
ゴルフをスポーツと考え自分でバックを引っ張る方式だとショットガン方式はよい
ゴルフを単にスポーツとして捉え、キャディバックを自分で引っ張る方式だとショットガン方式は向いています。
そのためアメリカやイギリスのコースではこうした方法が一般的だったりします。
スタートホールまで1人1人自分のキャディバックを乗せた手引きのカートを引っ張っていきます。
手引きの為、カート道路を意識する必要が無く、ゴルフ場側はプレーヤーにスタートホールと行き方を説明するだけで済みます。
他のプレーヤーがいるホールの中を通っていくのは都合が悪いと言えるため、脇道が整備されています。
そして、この方式が一番優れている点、価格です。
ショットガン方式で手引きカートならコース整備だけに主なコストが掛かる事になり、結果プレーフィーが安く抑えられます。
欧米のプレーフィーが日本と比べて格段に安いのはこうした理由からです。
そもそもゴルフに対する考え方が日本やアジアと圧倒的に違うのです。
これはゴルフというスポーツの歴史が違う為と言えますが、欧米のほとんどのコースはゴルフは単にスポーツとして捉えられているからなのです。
ですので、日の長い夏場などは仕事の終わった後2~3ホールだけ回ったりする事ができるコースが沢山あります。
ゴルファーにとってはうらやましい環境ですね。
ゴルフ発祥の地ではショットガン方式ではないが日本とも違う方式
ゴルフ発祥の地スコットランドのゴルフ場、全英オープンの舞台となるリンクスコースなどがその代名詞ですが、ここのゴルフスタイルも日本とは違っています。
林間コースに多いのですが、比較的最近作られたゴルフ場はそうでもなく日本方式に近い所もあるのですが、歴史のあるリンクスコースは、ハーフで昼食という概念がありません。
そもそも、ハーフターンでクラブハウスに帰ってこれないのです。
ここでゴルフのアウト、インの意味になってくるのですが、ゴルフは前半9ホールはアウト、後半9ホールはインと言いますよね。
これが何を表しているのかと言うと、前半はゴーイングアウト、すなわちクラブハウスを出発して離れた所へ向かって行くという意味で、逆に10ホール目からカミングイン、クラブハウスに戻ってくる事を表しているのです。
ですので、ハーフで休むという事がないのです。
18ホール通してラウンドするのですね。
さて、ショットガン方式とは違いますが、ここでもハーフで休まないとなるとお金が生まれる機会を損失してしまいます。
ですので、ゴルフ発祥の地スタイルも日本のゴルフ場スタイルには合わないと言えます。
日本でショットガン方式のプレーができる米軍多摩ヒルズゴルフ場
東京都稲城市の広大な土地に、米軍の保養施設である米軍多摩ヒルズゴルフ場があります。
その名の通り、在日米軍用のゴルフ場なのですが、日本人でも条件を満たせばラウンドすること事ができます。
それは、米軍関係者に友人がいる事や家族に米軍やその関係者がいる場合です。
そんな米軍多摩ヒルズゴルフ場のプレースタイルはショットガン方式です。
出発前に小さなクラブハウスに設置されている自動販売機で食べ物や飲み物を購入してからスタートホールに向かいます。
もちろんゴルフバックもカートへ自分で積み込みます。
ショットガン方式含めこうした方式は、クラブハウスに到着してから実際にプレーするまで無駄がないと言えます。
まさに効率化を意識した外国式と言えますね。
純粋にしかも単にスポーツとしてゴルフを楽しむスタイルといったらよいでしょうか。
また、米軍多摩ヒルズゴルフ場は円ではなくドルがスタンダードとなっています。
さすが米軍施設と言えますね。
このゴルフ場だけでなく日本国内にある米軍施設に関しては、政治的に色々語られる事も多いのですが、そこはさておき、行く事ができれば日本のゴルフ場とは違った経験が出来る為、一度プレーされるのもオススメです。
ゴルフのショットガン方式は日本には馴染まない
ショットガン方式は、ゴルフを純粋にスポーツとして楽しむ事ができる仕組みであり、また効率化にも寄与しますが、長く日本のゴルフプレースタイルはショットガン方式や1ラウンド通して回る事を想定して運営されていない為、馴染まないと言えます。
ハーフを上がったら食事休憩して、”後半がんばるぞ!”、といったプレースタイルが日本のゴルファーには合っていると言えますね。
また、ゴルフ場側もその方が何かと都合がよいのです。