「ゴルフ場でキャディにチップを渡す?」問題を考えてみよう

最終更新日:2017/02/20

「時間とお金がかかりすぎる」
からかゴルフの愛好者人口は減りつづけていると聞きます。

ゴルフ場でキャディに渡すチップも厄介な点の1つではありますね。

手軽に、そしてなによりも楽しくゴルフをするために、この「チップ問題」をどうすればいいのでしょうか。

あまり深刻にならずに考えてみましょう。

そもそもゴルフ場でキャディへのチップは必要?

他の諸外国と違い、日本では一般的にサービスの対価としてチップを渡す習慣はないですよね。

海外旅行に初めて行って覚える習慣かもしれません。

そもそもチップのシステムというのは個人のレベルに差があるという前提に立って、評価に応じて対価を払うということです。

日本人は同じサービスでレベルにバラつきがあるという状態自体を嫌がる傾向にあるので、個別に評価する作業になじみがありません。
同じ金を払うなら同じサービスを受けて当然だし、サービスを提供する側もお客様に不公平があったら個人の評価に留まらず、即クレームものです。

つまり、今の日本はチップを渡さなくてもハイレベルなサービスが期待できる、コスパのよい国だということなのでしょう。

ということで、建前を全面に出すなら、日本のゴルフ場ではキャディへのチップは不要、ということになります。

 

かつて日本のチップは「心づけ」だった?

振り返って、昭和の時代には、旅先で旅館に泊まる時は、部屋に案内してくれた受け持ちの仲居さんにまず「心づけ」を渡すのが一般的でした。

「お世話になります。」
「よろしくお願いします。」
などのあいさつを添えてぽち袋に入れたり、ティッシュ(当時は、ちり紙)で包んだりして渡したものです。

現金を裸で渡すのは無粋というより、失礼な感覚だったのではないでしょうか。
この精神が今のゴルフ場でもいきていますね。

スタート前や、直後に「今日一日よろしく」と渡すチップです。

初心者がいる場合や特別な配慮を希望するときなどは渡すことも多いでしょう。

いつ渡そうかなどと考えるのは面倒なので先に渡してしまう、という人もいるでしょう。
キャディさんを評価するのも、したと思われるのもちょっと苦手な人が実は結構多いのではないでしょうか。

人見知りな性格であったり、ゴルフの腕前であったり理由はいろいろですね、きっと。

こういうところに日本人らしさが垣間見られますね。

 

最近のゴルフ場ではキャディにチップを渡している?

最近はセルフで回れるコースが多い中、キャディ付のゴルフコースでのキャディフィーは決して安くはありません。

キャディフィーを払うのでチップは想定されていません。

そのためチップを渡すか否かは全く個人の自由だといえます。

ですから、渡さないし必要ない、と考える人ももちろん少なくありません。

渡す場合は、外国みたいに相場が決まっているわけでもないけど、みんなで「1,000円」という人も多いようです。

現金ではなく、飲み物などを茶店で買って”キャディさんを労う”という人もいらっしゃいます。

どれが正解というのはない、というのが現在の日本のゴルフ場でのチップ事情でしょう。
楽しくプレーするために必要だと思えば渡せばいいし、勿体ないと思えば渡さなければいいだけです。

自由にいきましょう。

 

バブル時代のチップ事情はどうだった?

今は昔、贅沢を極めたバブル時代のゴルフ場はどんな状況だったのでしょうか。

若い世代は想像もつかないかもしれませんね。

まさに、ゴルフする人=時間と金のある人、もしくはゴルフを必要とするステータスにいる人という簡単な方程式がひけらかされていた時代ですね。

メンバーによってはバブルを体現して常にチップを奮発する人、ホームコースのキャディは自分の会社の従業員という認識でチップは渡さない人、の2極だったのではないでしょうか?

でも、接待などの場合は別で、キャディさんは「今日はしっかり頼むよ」と相応のチップを貰っていたと想像に難くありません。
なぜならゴルフ場がビジネスの現場でもあったわけですから。

それ以外に、”メンバーさん”が奮発してくれるのは「お年玉」だったりしました。

またその時代には、バブルな人たちが多く海外へゴルフをしに行きました。
そして、そこで正に、チップをばらまきまくったのです。

円の強さを背景に隣国や東南アジアなどで、現地の物価と比べて法外な額のチップにキャディが狂喜したのを満足気に語るおじさんが多く見かけられたものです。

 

海外のゴルフ場でのチップ事情はどんな感じ?

ところで現在、海外のゴルフ場でキャディに渡すチップの状況はどうなのでしょうか。
それではお隣、中国の状況をみてみましょう。

いくつかの日本人向けゴルフ場予約サイトによると、基本的にチップは渡すべきと案内されています。
しかも、相場もほぼ決まっており、日本人の多い上海および近郊エリアだとゴルファー1人につき、50元(およそ800円)、格の高いゴルフ場では100元(およそ1,600円)です。

日本との違いは、キャディ1人につき、ではないことです。
2人乗りカートに、キャディ1人が基本なので、4人のパーティならカート2台、キャディ2人となるのが普通です。

南方の広東省あたりになると、100元スタートです。

これは外国人だからなのかは分かりませんが、20~30年前の日本人のおじさま達のおかげで、チップ相場は上げ止まっている印象はぬぐえませんね。

 

元キャディさんにお話を聞いてみました。

バブルがはじけた直後にキャディをしていた方に当時のチップ事情を訊いてみました。

「まさに、バブルという感じの贅を尽くしたコースでしたがオープンと同時にバブルがはじけ、チップを貰える機会はそれほど多くありませんでした。

昔はすごかった、と先輩から聞かされたものです。
そのかわり、これは今でもそうでしょうが、ハーフの茶店ごとに必ずお菓子やジュースを貰ってました。

ゴルフ場によってはこれを現金化してくれるところもあったようですが、私の勤めていたゴルフ場にはそういうシステムがなかったため、キャディ同士で好きな物を交換しあっていましたね。

私はビール好きなのですが、キャディをしていた期間、ビールを買ったことがありませんでした。

また、メンバーさんから貰えたお年玉の額も景気に”連動”して下がっていきました。
当初は軽く日当を超えていたものです。

その後、景気がみるみる悪くなっていき、ゴルフ場が経営方針を変えて、プレー費を下げ、一般ビジターも入れるようになったため、ますますチップは遠のいていったそうです。
話は変わりますが、私が担当したゴルファーがホールインしたのは7年間で2回。
2回ともゴルファーが保険に入っていたため、書類のキャディ欄にサインしました。
後日、ゴルフ場に私宛てで高級ワインセットやブランドのカードケースが送られてきました。

これも大きな意味でチップといえるでしょうね。」

 

チップは楽しくプレーするために

日本のハウスキャディ(ゴルフ場専属のキャディ)の給与体系はチップでの収入を想定していませんので、チップを渡さないことに罪悪感を覚える必要はないです。

それでも、その日1日、いいゴルフをしてもらうために精一杯頑張るキャディさんの心意気を感じたら、その気持ちを形にすると、意外と自分自身も気分がよくなったりするものだと思いますが、いかがでしょうか。