ゴルフクラブのスペックには、長さや硬さ、重量、そしてバランスなどたくさんありますよね。
ご自身のクラブでこういった数値をどこまで把握して使っていますか?
全く無頓着な方から、すべてを計測してリストにしている方までいるかもしれません。
ところでバランスの数値d4は重いと表現されることが多いと思います。
実際のところどうなのか、今回はバランスについてお話していきます。
ゴルフクラブの一般的なバランス
今お使いのゴルフクラブのバランス数値はいくつか把握していますか?
購入時に商品POPに記載されていたり、クラブのラベルに記載されていたりすると思います。
その数値を見たうえで、クラブ購入を決めましたか?
店員さんにオススメされるがまま、もしくは価格優先、好きなプロが使っているからと購入の決め手はさまざまでしょう。
ある程度クラブに詳しくなり、こだわりが出てくるとこのバランス数値は絶対気になりますよね。
人によってはバランスが一番大切とまで考えているかもしれません。
まず店頭に普通に並んでいるゴルフクラブのバランスがどのくらいなのか見てみましょう。
男性用【d0~d2】
シニア用【c7~c9】
女性用【c0~c6】
上記の数値が極一般的な数値だと思います。
ここ10年で、これらの数値に当てはまらないクラブもたくさん出てきましたが。
まずバランスの読み方ですが、アルファベットa→b→c→d→e→、数字が0→9の順で重くなります。
つまり、女性用よりシニア用、シニア用より男性用が重いということが分かると思います。
重いと分かったところで、それがスイングにどう影響するのか知らなければ意味がありませんね。
d4は重いと漠然と分かっても意味のないことです。
それでは、もっと詳しくバランスを見ていきましょう。
ゴルフクラブのバランス詳細
ゴルフクラブのバランスとは、グリップを固定し、そこから14インチのところに支点を置いて専用のバランス計測器で測ります。
つまり、14インチの位置からグリップエンドまでの重さと、反対の14インチからヘッドまでの重さの差が影響しています。
単純にバランス変化は、グリップが重いとバランスは軽く、ヘッドが重いとバランスが重く出ます。
さらにシャフト自体の重量配分によっても影響されます。
そしてクラブの長さも長くなればなるほど、14インチよりヘッド側が重くなります。
このように、さまざまな要素が絡み合ってバランス数値は導き出されるのです。
私たちがゴルフクラブを握るのはグリップですから、ヘッド側の重さが重い、つまりバランスが重いほど振ったときに重く感じるということになります。
男性用だとd0よりd4が重く感じることができるのはこういった理由からです。
しかしこのバランスの数値、あくまでヘッド側の重さを感じること、表現を変えるとヘッドの利き具合を感じることであり、振り抜きやすいことには関係ないのです。
それはどうしてか次で説明します。
同じバランスd4でも振り抜きやすさは違います
ゴルフクラブのバランスの測り方とヘッドの利き具合だということは、ここまで読めば分かったと思います。
しかし、ここで考えなければいけないのがクラブの重量(質量)です。
ドライバーを例に考えてみましょう。
①長さ:45インチ/バランス:d4/重量:320g/硬さ:S
②長さ:45インチ/バランス:d4/重量:290g/硬さ:S
この2本のドライバーは長さもバランスも硬さも同じですが、重量だけ30gも違います。
これを見て、皆さんはどっちが振り抜きやすいと考えますか?
だれでも290gのドライバーだと答えるはずです。
なぜなら30gも軽いほうが振りやすいに決まっていますから。
実際こういったクラブスペックは存在します。
簡単に作れてしまうのです。
こう考えるとバランスがそれほど重要視されないのではないかと考えることができます。
とくに最近のクラブはヘッドの重さを変えられる機能が当たり前のようにつくようになりましたし、グリップやシャフトも製造技術、素材の変化によって超軽量のものが増えてきました。
ここまで読んで皆さんはバランスについてどう思うようになりましたか?
ゴルフクラブのバランスをd4にする計算方法
それでは、今度はゴルフクラブのバランス調整の計算方法を説明していきます。
d0のドライバーをd4にするといった例でお話してみます。
サンプルドライバースペック
長さ:45インチ/バランス:d0/重量:290g/硬さ:S/ヘッド重量:195g/シャフト重量:50g/グリップ重量:45g
このサンプルドライバーをd4にする方法はたくさんありますが、シンプルな方法だけ説明します。
①ヘッド重量を増やす
ヘッドの重さをウェイトを付け替えたり、鉛を貼り付けたりして増やします。
その重さは8g。
あくまで目安ですが、ヘッド重量は2gごとに1ポイント変化します。
変更後スペック①
長さ:45インチ/バランス:d4/重量:298g/硬さ:S/ヘッド重量:203g/シャフト重量:50g/グリップ重量:45g
②グリップを軽くする
グリップを軽いものに付け替えることでバランスを増やします。
25gのグリップに変更します。
これも目安として、グリップ重量5gごとに1ポイント変化します。
変更後スペック②
長さ:45インチ/バランス:d4/重量:270g/硬さ:S/ヘッド重量:195g/シャフト重量:50g/グリップ重量:25g
③長さを変更する
シャフトの長さを0.7インチ長いものに交換します。
シャフトの種類は同じで、ざっくり1g増えると仮定します。
この目安は、1インチ(2.54cm)で6ポイント変化します。
変更後スペック③
長さ:45.7インチ/バランス:d4/重量:291g/硬さ:S/ヘッド重量:195g/シャフト重量:51g/グリップ重量:45g
このようにヘッドの重さ、グリップの重さ、シャフトの長さによってバランスは変化します。
細かく言えば、ヘッドの重量変化がソールかネックなのか、グリップのお尻側が極端に重いとか、シャフトがカウンターバランス(グリップ側に重さを配分すること)なのかによっても変化します。
こうやって見ていくと、バランスにこだわり過ぎる必要性は感じないのではないでしょうか?
バランスをd4などに合わせるよりも重量フローが大事!
ここまで読んできて、ゴルフクラブはバランスよりもその他の数値のほうが大事かもしれないと思えるようになってきましたか?
d0だろうとd4だろうと、プロのクラフトマンにかかれば簡単に調整することができてしまうのです。
ではどこを重要視したらいいのでしょうか?
この答えは重量でしょう。
この世の中にあるさまざな物には質量があり、質量があればあるほど慣性の力が働きます。
ゴルフクラブであれば、軽ければ振り抜きやすく操作性が高い、重ければ振り抜きにくく操作しづらいと言えます。
なら軽ければ軽いほどいいではないかと考えてしまいますが、軽すぎるとエネルギーが少ないので飛距離が出なくなってしまいます。
ゴルフで飛距離が出なくてもいいと思っている方はそうはいないでしょう。
そこで、よく言われるのが振り抜ける、扱いきれる範囲で最も重いクラブが適正だということ。
そして、その適正重量が見つかればあとは各番手の重さの流れ、重量フローを整えてあげれば、最高のセッティングになるのです。
ただこの適正重量を見つけるのが、私たちアマチュアには難しいのですよね。
次が最後ですが、適正重量の見つけ方と重量フローについてまとめます。
ゴルフクラブのトータルバランスの揃え方
まずはあなたにとってのゴルフクラブの最適重量の見つけ方ですが、基本的には良く使うアイアンを基準にして考えたほうがいいと思います。
大まかに分けますと、アイアンシャフトがカーボンシャフト、軽量スチール、重量スチールのどれかです。
その5番アイアンの重さを基準にして考えてください。
カタログやホームページ、お店のPOPなどに基準番手として重さが載っていることが多いからです。
①カーボンシャフト:360g~380g(各メーカー純正カーボンの場合)
②軽量スチール:390g~410g(定番は日本シャフトのNS950GH)
③重量スチール:420g~430g(定番はトゥルーテンパーのダイナミックゴールド)
④女性用(7番):310g~340g(女性用は5番アイアンは定番セットに入っていないため)
あくまで標準的な数値だと思ってください。
最初のほうに説明しましたが、シャフトやグリップの種類が豊富になってきたため、この数値に当てはまらないものもたくさんあります。
ここから、オススメするドライバーの重量を計算します。
①280g~300g(5番重量から80gを引きます。)
②300g~310g(5番重量から90gを引きます。)
③320g~330g(5番重量から100gを引きます。)
④240g~270g(7番重量から70gを引きます。)
この重量は男性用は45インチ、女性用は43.5インチを想定しております。
現在は長尺クラブが増えてきたため、仮に1インチ長くなると15g軽くすると思ってください。
①が46インチなら265g~285gという感じです。
0.5インチなら7gです。
あとはこの例に習って、重量をフローさせるだけです。
3Wは43インチが多いので、45インチのドライバーに30g増。
アイアンは通常5番から下の番手になるにつれて0.5インチずつ短くなるので、7gずつ増といった感じです。
これで、あとは極端なバランスのずれをなくせばOKです。
ドライバーがc9でアイアンがd4といったのは無しです。
d0とd2くらいは問題ない範囲だと考えます。
どうですか?
ゴルフクラブのセッティングの仕方が分かりましたか?
まずは自分のクラブを測ってみましょう!
すでにこの数字を理解している方は別として、スペックを深く考えたことない方は、一度今使っているドライバーと5番アイアン(女性は7番アイアン)の重量を測ってみてください。
これがオススメの重量差になっていないと、ドライバーが当たる日はアイアンがイマイチなんてことになりかねませんよ。
すべての番手をなるべく同じ感覚で振れるようにするため、バランスよりも重量を気にするようにしてくださいね。