ゴルフのプレー中、バンカーや池などのハザードにボールを入れてしまったら、冷静な判断ができにくくなってしまい大叩きにつながります。
ゴルフコースのハザードの中に、赤杭や赤線で示されるラテラル・ウォーターハザードというものがあります。
ラテラル・ウォーターハザードの定義や救済処置などのルールをしっかり理解しておけば、次のショットを少ししでも有利に行う事が出来ます。
ミスにミスを重ねる事が無い様に、しっかり理解しておきましょう。
ゴルフルール!赤杭はラテラル・ウォーターハザード
まず、最初に赤杭や赤線で示されるラテラル・ウォーターハザードの範囲について考えてみましょう。
ゴルフ場にある、池、川、海、溝、湖、排水路などのハザードを総称してウォーターハザードと呼ばれています。
そのウォーターハザードの中でも、赤杭や赤線で囲こまれているものを、ラテラル・ウォーターハザードと呼びます。
なお、赤杭と赤線そのものは、ラテラル・ウォーターハザードの部分にあたり、赤杭に寄りかかって止まったボールや赤線に少しでもかかったボールはラテラル・ウォーターハザード内にあるボールとなります。
また、ラテラル・ウォーターハザードの限界は、その赤杭と赤線の上下にも及びます。
例えば、赤杭や赤線で囲まれたハザード内に架かっている橋の上のボールはどうなるのでしょうか?
この場合は、ラテラル・ウォーターハザードの範囲内となりますので、そのまま打つ場合以外は、通常の1打罰を付加してラテラル・ウォーターハザードの処置をとることがルールで決められています。
ゴルフルール!赤杭をわかりやすく理解しよう!
ゴルフのルールでは、赤杭や赤線で示されるラテラル・ウォーターハザードの救済を受ける条件には、ハザード内にボールがある事が確認できなければならない事、もしくは入ったことが確実でなければなりません。
とは言え、ウォーターハザードと言えば川や池、海などがほとんどで、ボールをすべて確認できるはずがありません。
そこで、プレイヤー以外にも同伴競技者や局外者が、赤杭や赤線を越えてウォーターハザード内にボールが入るのを確認していた場合は救済処理が受けられるとしています。
ここで注意しないといけないのが、ボールが池の方向に飛んで行ったので、探しに行ったが見つからない、そこで、池に入ったと推測して救済措置を受け1打付加してプレーを続けた、という経験がある人も多いと思います。
この行為は、誤所からのプレーで2打罰になってしまうかも知れませんので注意してください。
本来この場合は、ロストボールであり紛失球の処置をとらなければいけません。
なぜなら、池の方向に飛んだのは確かだが、池に入ったことは誰も確認していないので探しに行ったのであって、必ずしも池に入ったとは限りませんし、最後に赤杭や赤線を越えた地点を決定できないからです。
但し、見晴らしの良いフェアウェイの先に急な傾斜があり、その方向にボールが転がると、必ずその先の池に入ってしまう事を誰もが知っているホールなどで、その方向に転がり、ボールが消えた事を誰かが確認していた場合は、赤杭や赤線を横切った事が容易に推測できるため、その地点から救済処置が受けることができます。
この様に、ラテラル・ウォーターハザードの救済処置を受けるためには、赤杭や赤線を最後に越えた地点が確認できた時、と覚えておくと良いかも知れませんね。
ゴルフルール!赤杭の救済処置
赤杭や赤線で囲まれたラテラル・ウォーターハザードの範囲内で、ストロークが出来ない場合や、ウォーターハザード内にボールが入っている事がわかっている場合、又は、ほぼ確実に入っている場合には、1打罰を付加してラテラル・ウォーターハザードの救済処置を受ける事が可能です。
救済処置の方法にはいくつかありますので、どのような方法があるのかゴルフルールを抜粋してみました。
赤杭や赤線で囲まれたラテラル・ウォーターハザードについてゴルフのルールには、下記の様に救済処置の方法が記されています。
1.初めの球を最後にプレーした所のできるだけ近くでプレー
2.ホールと初めの球がウォーターハザードの限界を最後に横切った地点と結んだ後方線上(距離に制限はない)にドロップ
3.球がラテラル・ウォーターハザードの限界を最後に横切った地点から2クラブレングス以内でそのラテラル・ウォーターハザード外のホールに近づかない場所にドロップ
4.球がラテラル・ウォーターハザードの限界を最後に横切った地点の対岸で、ホールと同じ距離のラテラル・ウォーターハザードの限界上から2クラブレングス以内でそのラテラル・ウォーターハザード外のホールに近づかない場所にドロップ
ルールブック記載の救済方法は、これからゴルフを始めようと思っている人や、ゴルフのルールを習いたての初心者ゴルファーにとっては特にわかりづらいものになっています。
次章ではより具体的に説明していきます。
ゴルフルール!赤杭の救済処置を有利に使おう!
赤杭や赤線で囲まれたラテラル・ウォーターハザードの救済処置は、ゴルフルールにより最大4カ所の場所を選択する事が出来るわけですが、次のショットがより有利になる場所を考えるようにしましょう。
たとえば、少しでもホールに近づきたいので、ボールが横切った場所から2クラブレングス以内の場所を選択してしまいがちですが、傾斜やラフからのショットはミスを重ねる可能性がありますので、選択肢の中でもより良いライや条件など、冷静な状況判断が必要です。
また、ホールとニアレストポイントを結んだ後方線上に制限なく下がる事が出来る訳ですから、得意な距離まで下がることや、赤杭や赤線を横切った場所より得意なライなどを選択する事も考えてみて下さい。
その他に、ホールまでは同じ距離が残りますが、ラテラル・ウォーターハザードの処置ルール特有の、対岸からの選択も忘れてはなりません。
ライの状態や次のターゲットを狙いやすいアングルを考慮してこちらを選択する事も考えてみてください。
また、「初めの球を最後にプレーした所のできるだけ近くでプレー」を選択した場合、そのショットがティーショットであれば、ティーグランドから打ち直しが可能です。
そして、救済処置を受ける場合は、ボールを拭く事ができるので覚えておいて下さい。
ゴルフルール!赤杭の範囲内でもボールは打てる
赤杭や赤線で囲まれたラテラル・ウォーターハザードの範囲内にボールがあっても、プレイヤーの判断でストロークが可能であれば無罰でストロークする事が可能です。
たとえば、赤杭や赤線の中のラフや砂地など、たとえ水中にボールがあったとしてもプレイヤーの判断により無罰でストロークできます。
この場合、ストロークするにあたり注意しなければならないケースを説明していきます。
まず、赤杭や赤線の中で、クラブを水面や地面に付ける行為、つまりソールしてはならない事です。
素振りの場合も同様で、クラブをソールしてしまった場合は、ルールで2打罰となってしまいます。
但し、先に説明したラテラル・ウォーターハザードの上空の橋など、動かせない障害物上にボールがある場合にかぎり、ルールで障害物に触れても良い事になっている為、クラブをソールする事が可能となります。
その他に、赤杭や赤線内の小石や葉っぱ、小枝などは取り除くことも出来ません。
うっかり小枝などを動かしてしまった場合も、ルールで2打罰となります。
逆に、ラテラル・ウォーターハザードで行ってもよい行為は、地面から長く生えている草などの長生類にクラブが触れる事や、ストロークの妨げになる赤杭を取り除く行為は可能です。
ラテラル・ウォーターハザードにおけるルールを知らないと、無罰でストロークが出来るはずが、逆にペナルティーを受けてしまう事もあります。
ゴルフのルールは複雑ですが、ピンチの時ほど冷静にルールを思い出して下さい。
ゴルフルール!赤杭と黄杭の違いはなに?
ゴルフ場には赤杭のほかに、ウォーターハザードの周りに立つ黄色杭も存在します。
ゴルフのルール上では赤杭と黄色杭の範囲などの定義は同じですが、受けられる救済処置に違いがあります。
赤杭の場合はニアレストポイントから2クラブレングスにドロップが可能に対し、黄色杭では1クラブレングスになります。
また、赤杭では対岸もドロップ可能ですが、黄色杭は黄色杭や黄色線を最後に越えた地点での対岸で、ドロップすることは出来ません。
本来、赤杭や赤線で示めされるラテラル・ウォーターハザードは、コース内を並行(ラテラル)に流れる川などにより、ウォーターハザードの救済処置を受けるのが困難と判断された場合に用いられるようになったため、ドロップ出来る範囲が広くなっています。
但し、近年ではコースの地形や設計上の理由のほかに、ルールの簡素化などの面からも、黄色杭や黄色線で示すウォーターハザードは少なくなってきています。
その代わりに、プレー進行を早めるために、隣ホールとの境界に黄色杭を立て、その杭を越えた場合には1打罰を付加して、プレーしているコースに戻せるなどのローカル・ルールを設けているゴルフ場が多くなっています。
ゴルフルールの判断に迷ったら
先日、松山秀樹プロが圧倒的な強さで世界ゴルフ選手権シリーズHSBCチャンピオンズを見事に優勝しました。
最終日の18番ホール、パー5の池越えのセカンドショットで、池を越えたはずのボールは傾斜に当たり戻ってしまい、池の中に消えていきました。
その場面で、松山プロは、池に消えたボールが傾斜のどの位置に当たって戻ったのか、すなわち赤杭や赤線で示めされるラテラル・ウォーターハザードの限界を越えていたか、いないかを、同伴競技者や競技委員を呼び、ビデオで確認したうえでラテラル・ウォーターハザードの処置を行い見事にパーセーブしました。
アマチュアの試合では、競技委員などはすぐに呼べない場合が殆どです。
ゴルフのルールや救済処置に迷った場合は、必ずその場で同伴競技者に確認する様にして下さい。