ドライバーやアイアンには長さや重さ以外にバランス(スイングウェイト)という数値がありますね。
a~eのアルファベットと数字で組合わせて表示されます。
このバランスがスイングにどれだけ影響するのか考えたことありますか?
自分のクラブをd2に合わせるためにどうしたら良いか知っていますか?
バランスを深く考えるといろいろなことが分かってきます。
今回はバランスについてお話ししていきます。
ゴルフクラブのバランスとは。測定方法・標準値・男女差など
ゴルフクラブのバランスとは、ひとことで言えば「ヘッドの効き具合い」のことです。
クラブを振ったときに感じるヘッドの重量感を数値で表したものです。
「バランスが重いクラブ」ほどヘッドの重量を感じやすく、「バランスが軽いクラブ」ほど重量が感じにくくなります。
専用の計測器を使い、「14インチバランス測定法」という米国で考え出された方法で数値を算出するのですが、極めて簡略的に言えば、クラブのグリップエンドから14インチ(約36センチ)のポイントを支点にして、ヘッド側がどれだけ重いかを計算式を使って割り出すというものです。
ヘッド側が軽い方からa、b、c、d、eの5段階に分類します。
さらに、各段階ごとに軽い方から0~9まで10段階設けてあります。
つまり、最も軽い「a0」から最も重い「e9」までの間で表示します。
一般的なアベレージゴルファーなら、「d0」~「d2」バランスのアイアンが基準とされ、非力な男性は「c7」~「c9」を、逆にパワーヒッターは「d3」あたりが適正といいます。
参考までに「d2」のバランス測定計算値は217。
一方、女性は「b8」~「c4」ぐらいのアイアンが多いですが、力強い女性は「c」ランクの上の方の数字のクラブを使った方がいいでしょうね。
ヘッドの重いアイアン。グリップの軽いアイアン。同じバランスd2?
クラブのバランスというのは、あくまでも「ヘッドの効き具合い」を数値で表示したもので、決してクラブの「振りやすさ」を表したものではありません。
アマチュアにはこれを誤解しているゴルファーも多く、「このクラブはバランスが悪いから振りにくい」などと言っているのをよく耳にします。
まったくの間違いというわけでもないですが、バランス数値だけを鵜呑みにするのはダメなのです。
バランスというのは、ヘッドやシャフト、グリップの重さでどうにでも変わるものです。
だから、重いスチールシャフトのアイアンと、軽いカーボンシャフトのアイアンでも、バランス表示は同じ「d2」ということだってあり得ます。
同じスチールシャフトで、ヘッドが重いアイアンとグリップが軽いアイアンが共に「d2」バランスというのもあります。
前述したように、バランスというのはグリップエンドから14インチの場所を支点にして、ヘッド側がどれだけ重いのかを数値で表示しただけのものです。
だから、仮にドライバーが「d2」バランスでとても振りやすいからといって、アイアンもすべて「d2」にしてしまうのは少し考え物です。
アイアンの各番手のバランスがd1、d2、d3とバラバラだとどうなる?
もし、各番手のアイアンに同じシャフトが装着されていたのなら、同じ数値のバランスに揃えた方が「ヘッドの効き具合い」に一貫性が出るから、スイングしやすくなるかもしれません。
ただ、あまりバランス一辺倒の考え方をすると、肝心の重量フローなどが疎かになってしまい、あげくスイングに逆効果を及ぼしかねません。
誤解を恐れずに言えば、アイアン各番手のバランスがバラバラでも、それぞれが自分にとって振りやすければ一向に構いません。
アイアンは番手によってそれぞれ重さも長さも違うし、振り方にも変化が出てくるから、むしろバランスがバラバラになる方が”自然”かも…しれません。
それに、バランスに多少の誤差があったとしても、あまり気にすることはないです。
それこそ10ポイント以上の極端な差は話は別ですが、1~2ポイント程度のバランス差だと、「プロでさえ過半数は気付かない」というデータもあるぐらいですから、アマチュアゴルファーにはまず分かりません。
だから、数値にばかりこだわって、全番手のアイアンを同じバランスに揃えても大して意味はないということです。
バランスよりも、クラブの長さと総重量の関係をより適正なものにする方がよっぽど大事なのです。
アイアンのずれたバランスをd2に揃えるためにどこを調整する?
いわゆるバランス調整にはいくつかの方法がありますが、代表的なのはヘッドに鉛を貼るやり方です。
鉛は、ゴルフショップなどへ行けば500円前後で買えます。
1gの鉛を貼ることで、バランスは0.5~0.6ポイント増加します。
要するに微調整用だから、「d2」にする際、場合によっては鉛を何枚か貼ることになるかもしれません。
ただし、同じ重さの鉛を貼ったとしても、クラブが長くなるほどバランスが出ます。
つまり、バランス増加量が多くなります。
また、グリップの重さを変えることで、「d2」バランスに揃えるという方法もあります。
グリップを軽くするとバランスは増加し、逆にグリップを重くするとバランスは減少するのです。
仮にグリップをそれまでより1グラム軽いモノに付け替えると、バランスは0.2ポイント増加する計算です。
さらには、クラブの長さでバランス調整する手もあります。
例えばクラブを1インチ短くカットすると、バランスは4.9~6.6ポイント減少します。
クラブを同じ1インチ短くしたとしても、クラブの元々の長さが短いほどバランスはより多く減少します。
同じ調整をしても、5番アイアンと9番アイアンではバランスの出方が違ってくるということです。
アイアンの重要ポイントはバランスよりライ角と重量フロー!
ライ角とは、クラブヘッド(ソール)とシャフトの取り付け角度のことです。
以前はライ角なんてプロゴルファーかアマチュアでもシングルプレーヤーぐらいしかこだわらなかったのですが、最近は一般のアベレージゴルファーもライ角調整する人が増えてきました。
というのも、ライ角はアイアンを選ぶうえで、かなり重要な要素だからです。
間違ったライ角、もしくは自分に合わないライ角のアイアンだと、いいスイングをしてもボールは真っ直ぐ飛んでいきません。
インパクトでトゥー側が浮いて引っ掛けボールになるか、あるいはヒール側が浮いてプッシュアウトが出るクラブになってしまうのです。
では正しいライ角とはどんなものでしょうか?
それは自分なりにアイアンを構えた際、トゥー側が少し浮くぐらいのライ角です。
アドレス時にソール全体がピタリと地面に着くようなライ角はダメなのです。
これだと、インパクトでヒール側が浮き、トゥー側が地面に着いてしまうはずです。
あげく、地面の抵抗でヒール側が前に出てフェースが開き、スライスボールになってしまうのです。
また、アイアンはクラブの長さが短くなっていくほど重量が重くなるようにセットされているはずですが、この重量調整、つまり重量フローが適正でないと各番手で打感がバラバラになりスイングにも悪影響を及ぼすのです。
アイアンは「d2」バランス云々より、ライ角や重量フローを重視した方がいいのです。
現在は超軽量グリップやカウンターバランスシャフトでバランスをどうにでも出来る!
使っているアイアンが重すぎてどうにも振りにくい、といった時、鉛を貼るなどしてグリップ側の重量を増やして振りやすくする方法があります。
これをカウンターバランスと言います。
ヘッドが重すぎて振りにくいのなら、グリップ側の重量を増やして重いヘッドと釣り合いをとってあげれば、振った時に以前よりは軽く感じられる、というわけです。
ちなみに、グリップ側を5グラム程度重くすれば、バランスは1ポイント変わってくるといいます。
「d2」バランスなら「d1」になるということです。
しかし問題もあります。
カウンターバランスで振りやすくしても、クラブの総重量は以前より重くなっているわけですから、クラブそのものが重すぎて振りにくい場合は逆効果になってしまうこともあるのです。
一方、最近はクラブの軽量化に伴い、超軽量グリップが流行っています。
一般的な男性向けグリップは50~60グラムですが、その半分以下の超軽量グリップが出ています。
グリップが軽くなればバランスは増えますが、こうした超軽量グリップだと、4ポイント前後変わってくる計算です。
「d2」バランスなら「d6」ぐらいにまでアップするのです。
バランスに過敏になるとロクなことはない!?
前述の通り、バランスは決して振りやすさを表すものではないということ。
あくまでもクラブ選びをする際のひとつの要素に過ぎません。
クラブの総重量や長さが違えば、たとえ同じ「d2」バランスでも「ヘッドの効き具合い」は違ってくるから、クラブを比較しようがないはずです。
それに最近はシャフトやグリップのバリエーションが豊富になってきたから、同じバランス表示でも振った感触は様々です。
要するに、バランスなんてあまり気にする必要はないということです。
市販のアイアンセットは大体が「常識的な範囲」のバランスになっているはずです。
まずは、こうしたアイアンが使いこなせるようになるのが先決です。
プロでさえ気付かないような誤差のバランスにまで過敏になると、それこそグリップのテープの厚さや巻き方にまでこだわるようになるでしょう。
まさに「バランス地獄」にハマります。
追求するとキリがなくなってしまうのです。
その結果どうなるでしょうか。
ライ角や重量フローなどが疎かになり、ロクなアイアイン選びができなくなってしまうのです。
かといって、バランスなんて無視していい、というわけではありません。
あまり神経質にならず、程々にということです。