プロゴルフツアーのそれぞれの大会には賞金総額が決められています。
そこから、優勝賞金がいくら、○○位がいくらと配分されていきます。
この割合がどのように決まっているかご存知ですか?
今回は賞金にまつわるお話しをしていきたいと思います。
日本のゴルフツアーの賞金の配分
日本の男子ゴルフツアーでは、アマチュアを除く60位タイまで、女子ツアーでは50位タイまでの選手が予選通過できます。
予選を通過しないと、賞金は1円も貰えません。
男子ツアーの賞金の配分は、1位20%、2位20%、3位6.8%です。
男子ツアーでは順位に対する配分率は一定で変わりません。
賞金総額に配分率を掛けたものが順位ごとの賞金額です。
その配分の合計は100%です。
予選通過者が少ない場合は支払われる額が少ないので賞金が余ります。
通過者が多い場合は足りません。
余った賞金はプールしておいて足りない時に使うのです。
女子ツアーの賞金の配分は、1位18%、2位8.8%、3位7%です。
しかしこれは一応、予選通過者50名を想定した賞金配分です。
これは必ずしも固定ではなく、大会予選通過者が多いほど配分率が下がったり、大会によって配分率が違ったりします。
固定の大会は、各順位に割り当てる賞金の総額の方で、常に賞金総額の95%の範囲内で割り振る仕組みです。
賞金総額が一定だと予選通過者はその都度違うので、毎回配分率が微妙に変わります。
海外ゴルフツアーの賞金の配分
米国男子ゴルフツアーは年間46試合あります。
その賞金総額は約350億円です。
賞金の配分は、1位18%、2位10.8%、3位6.8%です。
配分は日本と変わらないけど、賞金総額と試合数に大きな違いがあります。
1位は18%ですが、1億を超えるものが多いので、2位の選手でも5,000万円以上になるのが当たり前の米男子ゴルフツアーです。
また2007年から始まったフェデックス・カップは別です。
賞金総額約35億で、なんと優勝賞金の配分は28.6%で前述の配分比率とは大きく異なります。
米国女子ツアーは年間34試合あります。
その賞金総額は約63億円と日本女子ツアーの約2倍です。
賞金の配分は、1位15%、2位9%、3位6.8%です。
米国女子ゴルフツアーは人気が今1つなので今後試合数や賞金配分は変動する可能性はあります。
そうは言っても米国女子ツアーは賞金総額でいくと世界1位で試合数では世界2位(日本が1位)と世界では存在感たっぷりです。
アマチュアゴルファーが上位に多数入った場合の賞金の配分
アマチュアゴルファーは上位に入ろうが、優勝しようが、賞金は1円も貰うことはできません。
予選通過も「アマチュアを除く50位タイ」といったようにアマチュアを除くことになっています。
あり得ない状況かもしれませんが、もし1位から10位までが全員アマチュアゴルファーだったとしたら、11位に位置しているプロが優勝賞金の配分を貰えることになります。
もちろん12位の人が2位の配分といった感じになります。
しかし大会によってはアマチュアゴルファーが優勝した場合、優勝賞金をチャリティ等に寄付という形をとっているものもあります。
そのような場合は配分は変わりません。
ですから、アマチュアゴルファーが優勝した場合、プロ選手は悔しい思いはするかもしれませんが、賞金に関しては配分が通常の2位の約2倍になるので、棚からぼたもち的な感じにはなりますよね。
試合的には悔しいでしょうが、年間を通して見る賞金ランキングには大きく影響してきますからね。
賞金以外に副賞が貰える。どんなものがある?
ツアーでは賞金以外にも副賞が貰えます。
副賞でのイメージで大きいのは車ではないでしょうか。
トヨタやベンツ、ポルシェなど高級車が貰えます。
先日もイ・ボミ選手が真っ赤なポルシェを副賞として貰っていました。
通算20勝の彼女は、約20台車を貰ったことになります。
面白いことに、彼女は自動車免許を持っていません!
20台もの車をどうするの!?と思う人も多いでしょうが、副賞の車が要らない場合はあらかじめ主催者側に伝えておくと、現金に換金してもらうことができます。
もちろんそれは賞金には含まれません。
また大会のスポンサーである会社の商品も副賞になっています。
リコーであればコピー機、食品会社であれば、そこの食品の1年分といったものになります。
明治ではお菓子1年分が貰え、申ジエ選手は児童施設に寄贈しました。
副賞には配分等はなく、優勝した選手のみ貰うことができます。
また副賞以外にもホールインワン賞やイーグル賞などの賞金もあります。
大会によって各選手が貰えたり、複数の場合は総額を均等割りしたりします。
プロゴルファーは1試合どれだけの出費がある?
プロゴルファーはそれぞれが個人事業主です。
基本的には経費は自己負担です。
中には企業と社員契約をしている場合もあり、経費を出張旅費等で会社がもってくれる契約をしている選手もいます。
まず必要とする経費は自宅から会場までの交通費です。
選手の多くは、レンタカーを借りて期間中、ホテルとゴルフ場を往復するのでその料金が掛かります。
次に宿泊代です。
選手によっては一流ホテルに泊まる選手から1泊1万円以下のビジネスホテルを利用する選手とまちまちです。
ほとんどの選手は1人1部屋です。
経費を浮かすために地元に知人がいる場合は、期間中その人の家に泊まりながら通う選手もいます。
それから食費です。
朝や昼はゴルフ場で食べる選手が多いですが、夜は外食になります。
そして意外に感じるかもしれませんが、プレー代です。
ツアーだからと言ってプレー代がタダになるわけではありません。
3日もしくは4日間の試合のプレー代を選手は払っています。
ホテルや移動費など試合によって差はありますが、もろもろ含めて1試合平均20~25万円の出費があります。
専属キャディが一緒であればそれにプラス10万円掛かります。
賞金総額6,000万円の試合で予選通過の50位で配分0.4%なので24万円の賞金となり、実質±0円ということになりますね。
予選で落ちたら賞金は貰えず完全に赤字になってしまいます。
賞金シード保持と脱落の差
賞金シードを保持できれば、1年間の試合には毎回出場できるので、予選さえ通過すれば賞金は貰えるということになります。
ですから、永久シード権を持っている選手は予選落ちさえしなければ、食いっぱぐれることはないと言えます。
実際永久シードを持っているということは、国内男子ツアーだと通算25勝以上(国内女子ツアーは30勝以上)しているので、すでに10億円近くは稼いでいることになるので、試合に出なくても十分にお金は持っているということになります。
賞金シードを脱落した選手はいばらの道が待っています。
賞金を獲得できる試合に出るためにファイナルQTに参加しなければなりません。
もちろんQTに賞金などないので、ファイナルQTで結果を残し、試合に出られる権利を獲得しないと出費だけが増えていくことになります。
テレビで注目される選手たちはたくさん賞金を稼いでいて輝く憧れの存在ですが、約5,000人いるプロゴルファーの中のごく一部ということになります。
プロゴルファーの9割近くは試合に出て賞金を稼げないのです。
賞金シードから脱落してしまうとまた賞金を稼げるようになるまで相当な苦労が必要になってきます。
そんなプレッシャーの中戦っていると思うとツアーの見方もまた少し変わってくるでしょう。
1打に人生が掛かっているプロ選手たち
ツアーを見ていると賞金総額と優勝賞金のことしか出てこないので、実際プロゴルファーがどのくらい賞金を貰っているのか、そしてどのくらいの出費をしているのかわからないですよね。
年間獲得賞金を見ると夢のような仕事だな…と思うでしょうがきっとそれまでの出費を考えると相応の対価だと思います。
ですから、今までお金を出してくれた両親やサポートしてくれた人たちへの感謝の気持ちを口にする選手が多いのです。
予選通過をしないと賞金の配分はないので常に赤字状態になっています。
プロゴルファーの1打の重みについてよく語られますが、賞金や出費のことを知ると、想像よりはるかに重い1打ということがわかります。
プロには狙えない攻め方をアマチュアができてしまうのは1打の重みの差です。
プロになった畑岡奈紗選手のゴルフ内容も今後大きく変わってくると思います。