ゴルフの正式ルールにないオール6インチで本当に大丈夫?

最終更新日:2018/07/16

ゴルフのルールでオール6インチ・リプレースというのを聞いたことがありますか?

約15センチ以内でボールを動かすことができる、タッチプレーのことを指した言葉ですが、実はこれ変なゴルフ用語なのです。

そこで6インチについての用語説明と適用する時の注意事項を紹介します。

ゴルフのルールでオール6インチってあるの?

正式なゴルフのルールには、「オール6インチ」というプレースタイルはありません。

日本のゴルフを知らない外国人が日本でプレーをすると、6インチプレースという特有のプライベートルールに驚かれることがあります。

ゴルフは「あるがまま」の状態でボールを打つことが基本中の基本ですから、6インチを見た外国人スタッフは、「なぜ日本人はボールに触る?」と疑問を抱くわけです。

ところが日本人的には、「今日は6インチで行こう!」と同伴者から提案されると、全員が納得してその6インチのルールでプレーをします。

一般的に6インチプレースやワンクラブドロップなどのタッチプレーは、コースコンディションが荒れている時に使うものです。

「アブノーマル・グランド・コンディション」といって、通常のプレーができない状態の時に採用される臨時のルールなのです。

まして、どこでもタッチプレーができる「オール6インチ」を宣言することはありえないわけです。

ゴルフルールにないオール6インチって造語?

ゴルフのルールにおいて「オール6インチ」と言うのは考えられないことです。

芝面にたくさんの水を含んでいるカジュアルウォーター、青杭や白線で囲まれてるアンダーリペア、倒木などのルース・インペディメントが散乱している状態であれば、通常のプレーができないので、タッチプレーを容認することはあります。

ところがオール6インチとなれば、バンカーやウォーターハザード内でも6インチプレースが可能だと言うことになるわけです。

池で6インチが可能になれば、杭の外側にボールを出して、芝面にソールして打つことすら可能になるかもしれません。

またはバンカーの中で6インチが可能になれば、目玉はなくなり、砂が盛り上がったところに置くことも可能になります。

ですからルール上からすると、オール6インチにはならないはずです。

しかし実際にはゴルフ場でも「本日はオール6インチ」と掲示していたり、キャディから伝えられることがあります。

おそらくこの「オール」の意味は、ほかのルールと混同したことでできた造語ではないかと推測できます。

ゴルフの独自ルールであるオール6インチの意味

一般的に6インチは「スルー・ザ・グリーン6インチプレース」と表示します。

スルー・ザ・グリーンとは、フェアウェイとラフを指すルール上の用語ですが、それ以外のティーグラウンド、バンカー、ハザード、グリーンは入りません。

オールがコース内のすべてを表すのであれば、かなり問題のある臨時ローカルルールズになりますが、もしかするとこのオールはフェアウェイとラフを指した言葉かもしれません。

ゴルフボールが芝の中に埋まった時の救済は、フェアウェイのみ無罰と決まっています。

異常なコースの状態によってボールが自らのピッチマークに埋まった場合、ゴルフ規則25−2によって拾い上げられるのはフェアウェイのみと定められています。

そんなフェアウェイに埋まったボールは、付着した土を拭き取って無罰でドロップすることができます。

一方でラフやセミラフで埋まると、アンプレアブルの1罰打でドロップすることになります。

オール6インチと言うルールの意味は、この異常なコースの状態でタッチプレーをする時、フェアウェイだけではなくラフも容認すると言う意味と捉えることはできます。

オール6インチのルールはゴルフにならない?

6インチプレースをコース内のどこでも可能とも解釈できるオール6インチは、仮にフェアウェイとラフのことだとしても適切な表現とは言えません。

「オール」が付いたことで、OB以外のすべての場所で6インチの範囲でボールを動かしても、ルール違反にはならないと解釈する人がいても不思議ではないはずです。

ルール通りに「スルー・ザ・グリーン」を6インチの前に置けばなんの問題もないわけですが、聞き慣れないゴルフ用語に戸惑いがあるのかもしれません。

スルー・ザ・グリーンを、フェアウェイとラフに置き換えると、その中にあるバンカーやハザードはどうなるのと突っ込む人がいるかもしれません。

そこでティーグラウンド、バンカー、ハザード、グリーンを除いたところと定めて、その区域に名称を付けたのです。

ちなみにゴルファーにとって馴染みのあるスルー・ザ・グリーンは、2019年のルール改正からジェネラル・エリアと名称が変わります。

初めての人にとってはスルー・ザ・グリーンより、ジェネラル・エリアのほうが分かりやすいかもしれませんが、「そもそもジェネラルって何?」と言う人には通じないかもしれませんね。

ゴルフ場がオール6インチのルールにする理由

仮にゴルフ場のローカルルールにオール6インチと出ていたとすれば、よほどコースコンディションが悪いか、もしくは激込み満員状態と考えたほうが良さそうです。

ラフで6インチができれば、沈んだ球の状態はなくなり、常にティーアップしたような状態で打つことになります。

ラフの抵抗を受けずにフェアウェイウッドやロングアイアンが使えるのですから、ロングホールはわざとラフに入れたほうが、セカンドショットは良い結果を得られることになりかねません。

もしもドライバーが得意であれば、2打目も草の上に6インチしたボールを打つことができるかもしれません。

常にティーアップしたショットが可能であれば、コースコンディションが悪くても気になりませんし、なによりベストスコアが出れば「悪いコース」とは言わないはずです。

また6インチによって常に最高のライを選ぶことができるので、ミスショットも減らすことができ、プレーの時間短縮に繋がります。

ミスショットが減れば打数も少なくなり、コースの中が満員でも進行は良くなるはずです。

しかし、これではゴルフ本来の楽しみがなくなっているかもしれません。

ルールがあっても極力オール6インチをしないゴルフを目指す

ボールを持ち上げてライを良くしてプレーをするオール6インチは、もはやゴルフというスポーツではないと思う人もいることでしょう。

特に競技ゴルフをしていれば6インチの癖は付けたくないでしょうし、逆にライの悪いところこそ、普段練習場では打てないので「ありがたい」とポジティブに考える人もいるかもしれません。

確かにオール6インチになっていれば、そのまま打てる状態でも触らないと気が済まなくなっていきます。

ライを直さなくてもボールの刻印と飛球線を合わせて、方向性を確認できるようにしたくなります。

このオール6インチを続けると、まさに病気のように「触らずにはいられない」ようになってもおかしくありません。

そのうちゴルフ場のルールはノータッチでも、自分たちだけのオール6インチを設定してしまう可能性も高まります。

グリーン手前のエプロンからのアプローチでも、触らないことが原因でトップしたり、ダフったりと症状はドンドン悪化していくものです。

ゴルフ人生がオール6インチプレーにならないように、仮に6インチが設定されていても余程ひどいライでなければ、あるがままの状態で打つようにしましょう。

日本のゴルフ場では特別ルールのオール6インチは仕方なし!

高温多湿の日本のゴルフ場では芝の管理が難しく、ゴルフの正式ルールではないオール6インチでも仕方のない部分もあります。

それでも競技会に出場すれば、ノータッチでプレーをすることになるのですから、多湿の時やライの悪い時も経験の1つと思って、なるべく触らないプレーを心がけてはいかがでしょうか。