ミスなくピンそばに寄せられるパッティングウェッジとは?

最終更新日:2018/04/11

パッティングウェッジをご存知でしょうか?

これを昔の道具と考えているようなら時代の波に乗り遅れているのかもしれません。

パターのように打つだけで、ミスがなく安定したアプローチが可能になる優れもの。

そんな古くて新しいアプローチの道具と同じように活用できるアイアンについて紹介します。

パッティングのように転がすためのウェッジがある

現在、グリーン周りで使用するクラブの大半は「ウェッジ」と名前がついています。

ピッチングウェッジ、アプローチウェッジ、サンドウェッジ、ロブウェッジと、そうした用途の下にウェッジをつけています。

ウェッジとは「くさび」のことで、樹木を切り倒す時に使うV字型のものですが、ショートアイアンの形容が似ていることから、ウェッジと名づけられたようです。

ちなみに「ピッチング」は放り投げること、「アプローチ」はギャップウェッジが正しい名称で、ギャップは隙間と言う意味です。

また「サンド」は砂(バンカー)を指していますし、「ロブ」はロビングの略称で上げるという意味です。

くさびを打ち込むようにボールをインパクトすると、バックスインピンがかかり高い球筋で飛球します。

この高さとスピンの関係によってそれぞれのウェッジがあるわけです。

ところがもう1つ、まったく違うウェッジがあります。

こちらは高くボールを上げるためのウェッジではなく、転がすことを目的としたパッティングウェッジと呼ばれているものです。

パッティングウェッジが新兵器と呼ばれた時代

昔はパッティングウェッジが「新兵器」なんて言われた時代があり、随分と多くのゴルファーが使用していました。

第1次ゴルフブームだった1960年代には、普通のクラブだったのですが、1970年代に入ると急激に使用者が少なくなります。

その原因はコースの形状にあったようです。

いわゆる社用族が競ってゴルフを始めたことから、難易度の高いハイグレードなコース設計が流行り、グリーン周りが複雑になったことで、転がすアプローチの機会が減ったことが原因でした。

それまでのパッティングアプローチには、チッパー、ジガー、ロバーと3種類があり、多くのゴルファーはチッパー派とジガー派に分かれていました。

チッパーのロフト角は35度で、ジガーのロフト角は45度です。

ちなみにロバーは55度もありましたので、転がすと言うよりもパッティングのストロークで浮いた球筋を出せる特殊なクラブでした。

その後しばらくはゴルフショップの店頭でお目にかかることもなかったわけですが、近年パッティングウェッジが見直されてきて、再度有名メーカーの人気モデルの中にもラインナップされるようになってきたのです。

パッティングウェッジはペンデュラム式で打つ!

以前はロフト角のついたL字型パターのようなイメージでしたが、現在はマレット型のパターにロフト角があるようなタイプが主流です。

また名称もパッティングウェッジ、もしくはチッパーと呼ぶことが多く、ジガーやロバーと言う名称は使われていません。

外見上はパターと同じなので、アプローチショットというよりもパッティングをする感覚でボールを打ちます。

パッティングであれば、余程のことがないとダフることもなく、またトップしてもわずかに転がる距離が伸びるだけで大きなミスにはなりません。

打ち方は、ペンデュラム(振り子)式のパッティング方法が向いています。

テークバックの引く幅によって転がる距離を調節できるので、ヘッドを引くだけで距離感を出すことはできます。

あとは方向性ですが、飛球線というかパッティングラインというか、ターゲットに向かうラインの延長線上にヘッドを引くだけで真っ直ぐ転がっていきます。

パッティングウェッジと同じ効果があるアイアンの活用法

パッティングウェッジは操作性が簡単で、しかもミスショットが少ないことから、初心者から上級者までピンを狙っていけるクラブです。

ただし転がすクラブなので、バンカー越えやラフの距離が長い場合には使うことができません。

つまりボールの置かれている場所によっては、他のウェッジを選択することが当然ですが必要になります。

また気をつけたいのは、形状は似ていますがパターではないと言うことです。

ルール上のパターは、グリップの形状にパター用のグリップを装着できますが、パッティングウェッジはアイアンなので、円柱の形状でなければ違反クラブになってしまいます。

ちなみにパターのロフト角は通常3度で最大でも10度までなので、チッパータイプなら25度、ジガータイプなら35度の差があります。

このパターとの差を考えると、グリーン周りから転がすのであれば、パッティングウェッジのほうがピンに近づける可能性は高くなると言えるでしょう。

パッティングウェッジをアイアンに持ち替える時のコツ

便利なパッティングウェッジですが、通常のアイアンを使ってもパッティングウェッジと同じ打ち方ができます。

チッパーのロフト角が35度なので、7番アイアンとほぼ同じロフト角になります。

またジガーは45度なので、ピッチングウェッジとほぼ同じです。

ちなみにロバーは55度でサンドウェッジとほぼ同じですが、果たして転がすことができるのかは微妙なところだと言えます。

アイアンでパッティングする方法は2種類あります。

1つ目は意識的にトップする方法です。

ボールの側面をパッティングのようにリーディングエッジで合わせます。

フェース面を返さずに、押し出すようにすれば真っ直ぐ転がります。

そして2つ目はロフト角を活かします。

左足1本で立つくらいの体重配分で、左肩を支点にして左腕を振り子のように動かします。

ボールは左目の真下になるように置き、手首を固定してテークバックとフォロースルーの大きさが均等になるように心がけます。

アイアンはシャフトが長いので、短く持つことがパッティングスタイルのコツです。

パッティングウェッジを入れるなら何を抜く?

グリーン周りからのアプローチには、パッティングウェッジとアイアン、それにプラスしてパターという選択肢があります。

ボールの置かれている状況によって使うクラブに違いはありますが、エプロンやカラーであればパッティングウェッジかパターを選択するでしょう。

パッティングウェッジは飛距離が長いので、芝の抵抗を受けずに距離感を掴みやすく、パターはすぐにグリーン面で転がり出すライであれば、ミスなしでピンそばに寄せられるメリットがあります。

対してアイアンはエプロンやカラーの他にラフからでも使うことができること、ロフト角が豊富なのでクラブ選択で距離を変えることができるのがメリットです。

どのタイプもアプローチにありがちなトップやダフリを心配する必要はありません。

ただ難易度で考えるとパターとパッティングウェッジが同程度、アイアンのパッティング方式は若干難しいかもしれません。

もしもキャディバッグにロブウェッジが入っているのであれば、パッティングウェッジに入れ替えたら、それは使い勝手の良いクラブになるはずです。

パッティングウェッジはアプローチ以外も役に立つ

パッティングウェッジは、あごのないバンカーショットやトラブルのリカバリーなど、アプローチ以外でも使うことができます。

扱う時には、捻転やダウンスイングなどが必要ないため、転がる距離さえ把握できれば、使用日から役に立つ道具になるはずです。