時代を越えて評価されるテーラーメイドのアイアン名器5選

最終更新日:2017/12/27

ドライバーやフェアウェイウッドで有名なクラブメーカー、テーラーメイド。
メーカー自体もウッド系の宣伝に力を入れていることもあり、テーラーのアイアンと言われてもピンとこない方もいるかもしれません。

しかし同社の歴代モデルの中には他社に全くひけをとらない、時代を越えて評価の高い名器がいくつも存在します。

今回は名器と呼ぶにふさわしいテーラーメイドのアイアン5モデルを紹介しましょう。

テーラーメイドのアイアンラインナップ

テーラーメイドのアイアンラインナップを見てみると、まずドライバーのモデルと同じ名前のアイアンシリーズがあります。
しかしそのシリーズはドライバーやフェアウェイウッドと一緒に宣伝しやすいのでラインナップに加わっているように見え、中には良いものもあるのですが純粋にアイアンとして作り込まれたものは少ないように感じます。

一方でそれらのラインに隠れて目立たないのですが、アイアンのみの独立したモデルも発売しており、こちらは純粋にアイアンとしての良さを追求した上級者向けのモデルが多いのが特徴です。

この独立したアイアンモデルはドライバーシリーズにとらわれず開発されているようで、発売サイクルも比較的ゆっくりです。
つまりしっかり時間をかけて作られていることが伺え、その中に非常にレベルの高い名器と言えるアイアンが存在しています。

テーラーメイドを代表する名器!300フォージド 2001年

テーラーメイドのアイアン名器としてまず取り上げなければならないのが300フォージドです。
キャリアのあるゴルファーの方だと、同社のアイアンと言えばこれが浮かぶのではないでしょうか。

非常にシンプルなキャビティバックで装飾もほとんど無い潔いデザインとなっています。
じっくり見てみるとソールは狭くトップブレードも薄い、今時ならマッスルバック並のデザインです。
小振りなヘッドサイズと相まって、構えた時はとてもシャープに感じます。

近年のキャビティバックモデルは優しい傾向がありますが、こちらは硬派なクラブで使いこなすにはある程度のレベルが求められます。
ダウンブローにきちんと打ち込む必要がありますが、操作性は非常に高く、まさに上級者向きのモデルです。
また打感もとても柔らかくその中にも厚みがある、これぞフォージドと言える心地良さです。

このクラブによってテーラーメイドのアイアンが一気に注目を集めるようになりました。同社にとってもターニングポイントとなったアイアンで、そういった意味も含めてメーカーを代表する名器でしょう。

高い操作性の名器!rac フォージドアイアン CB 2002年

続いてのテーラーメイドのアイアン名器は、300フォージドの翌年に発売されたrac フォージドアイアン CBです。
やはり形状はシンプルなキャビティバックになっています。

一時期同社のアイアンのバックフェースはメカニカルなデザインになり好みが分かれるところでしたが、このアイアンはそれ以前のモデルなので飽きのこないすっきりしたデザインです。

そしてこの年のラインナップにはマッスルバックモデルが用意され、このモデルは中上級者向けになったようで、ソール幅が気持ち広めなどわずかですが優さが加わっています。
それでも今時のキャビティバックモデルからすれば一筋縄ではいきませんが、しっかり練習を積めば高い操作性を手に入れることができます。

実はこのモデルの特筆すべきは、この操作性の高さと優しさを程よく兼ね備えているところにあります。
大抵は操作性の高さと優しさの両方を求めると、どちらも中途半端になってしまうことが多いのですが、このモデルは操作性が高いレベルのままで中級者でも手が届くクラブになっています。

真剣にステップアップを目指す中級者から、本格指向の上級者まで幅広く満足できる高次元のバランスを持っている名器です。

実戦向きの名器!TP フォージドアイアン 2007年

次のテーラーメイドのアイアン名器はTP フォージド アイアンです。

TPとはツアープリファードの略でツアー向けといった意味です。
この頃、同社はプロや上級者向けのモデルにTPの名を付けて発売していました。
このクラブはまさにTPモデルで、トップブレードも薄くサイズもコンパクトでシャープな顔をしています。

一方で従来のアスリートモデルと比べ深めのキャビティになっていたり、ほんのわずかですがグースがあったりと優しさも感じられるのですが、それはイージーにゴルフをする為ではありません。
このモデルの特徴はその優しさがきっちりと距離を正確に刻めることに注がれていることです。

マッスルバックなど操作性の高いモデルは芯をわずかでも外すと、ガクッと距離が落ちてしまいます。
その点このクラブは飛距離が非常に安定しており、その上で上級者が求める操作性や素晴らしい打感が実現されている、バランスレベルの高いクラブになっています。

プロのように微妙な距離を打ち分けるよりも、番手ごとの飛距離を確実に打てる方がアマチュアにとっては必要なのではないでしょうか。

名器というと嗜好品のテイストが強くなるかもしれませんが、このモデルは実戦向きの名器と言えるでしょう。

テーラーメイドの本気が見える!ツアープリファード MB 2011年

このツアープリファード MBは、テーラーメイドのアイアン名器の中では難易度が一番高いモデルでしょう。
非常にコンパクトでトップブレードも薄くストレートネック、ソールも狭く構えてみるとこれぞマッスルバックといった出で立ちです。
しっかりダウンブローに打ち込まないとボールは上がりませんし、芯を外したときは手のしびれとともに距離が一番手近く落ちます。
しかし芯で捉える技術があれば抜群の打感が味わえますし、クラブコントロールができれば非常に高い操作性が応えてくれます。

軽い気持ちではちょっと扱いきれませんが、テーラーメイドが本気でアイアンを造ればこうなる、という意気込みを見せられているようなハイレベルのモデルです。

また、それまでの同社の上級者向けアイアンは飾り気の無いシンプルなデザインでしたが、このモデルはデザインをガラッと変えてきました。
少しメカニカルで色も黒やグレーを取り入れた戦闘機のようなイメージです。
ちょっと攻撃的な雰囲気で、さらにテーラーメイドの本気度が見えるような気がします。
近年はますます優しいアイアンが主流になり、プロでさえもマッスルバックを使う選手はめっきり減りました。
しかしアイアンの本来の素晴らしさはこういったクラブにあると、テーラーメイドが宣言しているようなモデルです。
是非トップクラスの上級者の方に使っていただきたい名器です。

これぞ一生物の名器?rac LT 2005年

最後に取り上げるテーラーメイドのアイアン名器はrac LT 2005です。

これまでに挙げた4モデルは上級者かそれに近い中級者がターゲットでした。
しかしこのモデルは初心者をもカバーし、しかも上級者やそれどころかプロまで使える非常に珍しいモデルです。

深めのキャビティやタングステンウェイト、若干のグースと確かに優しいモデルですが、その見た目からは想像できない操作性と素晴らしい打感を兼ね備えています。

もちろんマッスルバック並みの打感と操作性というわけにはいきませんが、オールターゲットなモデルにありがちな、どの性能も中途半端で特徴がぼやけているということが全くありません。

まだプロが優しいモデルを使うなんて、と思われていた時代に諸見里しのぶ選手など女子プロの使用者がいました。
もちろんコース攻略などに集中する為に気を使わなくて済むクラブを選んだのでしょうが、単に楽なだけでなくプロが求める最低限の性能は持っているという事です。

先代のrac LT 2002も素晴らしいクラブで谷口徹選手が長く使っていました。
もう少しレベルの高いクラブが必要なら初代ですが、初心者レベルから使えるのはやはりこの2005モデルです。

初心者からハイレベルの上級者まで、大げさに言えば一生使える希有なこのクラブを名器として挙げたいと思います。

アイアンメーカーとしてもレベルの高いテーラーメイド

アイアンの名器というと、タイトリストやミズノのように伝統のシリーズを持っているメーカーが浮かびますが、テーラーメイドも決して負けてはいません。
ドライバーやフェアウェイウッドに目がいきがちですが、非常にレベルが高いアイアンがいくつもあります。

今回紹介したテーラーメイドのアイアンを中古ショップなどで見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。
きっと本物の雰囲気が伝わってきて、打ちたくなってくることでしょう。