ゴルフにとってスタンスは重要です。
過去に、右足は右サイドのストッパーの役目を担い、左足の先を開くことでコンパクトでスムーズなスイングができると提唱した人物がいたようです。
半世紀以上前の先人の知恵をもとに、スタンスについてお話します。
左足を開くゴルフのスタンスで腰の回転が良くなる
アドレスでゴルフクラブを構えるとき、スタンスは肩幅にとるのが一般的です。
肩幅のスタンスは下半身が安定するので、テークバックをしたときに身体がぶれることなくトップの形を作ることができるからです。
一方で肩幅のスタンスが広いと感じる人にとっては、テークバックがしにくく捻転不足になるかもしれません。
もし肩幅が広いと感じる場合は、両足のつま先を少しだけ外側に広げてみましょう。
つま先を開くことで腰が回転しやすくなり、テークバックやダウンスイングがスムーズにできるようになるかもしれません。
このとき飛球線に対して平行にスタンスをとることが大切です。
正しいゴルフスイングをする上で、右足と左足を結んだ線と飛球線がスクエアであることは重要なことです。
ただしつま先を揃えても、開きすぎると上半身のバランスが崩れて、スイングフォームが歪んでしまいます。
あくまでもスムーズに捻転するためにつま先を開くだけなので、スイングフォームに影響のない範囲で活用しましょう。
左足を開くスタンスは歴史的な名著を参考にしている?
右足と左足のつま先を開くスタンスのスタイルは、ずっと昔から続いているものです。
今から半世紀以上前に出された『モダンゴルフ』という一冊の教本によって、そのスタンスの方法が紹介されました。
もちろん、その本が出版される前から、つま先を広げるスタンスは行われていたので、他にも同様の教本はあったのかもしれませんが、後世に残る教本はこのモダンゴルフと言うことになります。
モダンゴルフが発表された当時と、現在のゴルフは違うものになっていますが、スイングの基礎となる部分の多くは、今もこのモダンゴルフの理論から引用されているようです。
プロの試験に合格すると、プロゴルファーにはゴルフ教本が与えられますが、その中のグリップの握り方や構え方、またスイングの仕方などは、まさにモダンゴルフの影響が感じられるものです。
ゴルファーのバイブルと言われるベン・ホーガンの『モダンゴルフ』には、「つま先を90度に開く(片足45度)」と記されています。
その理由はトップで身体が右方向を向くことができる、現代風に言うと左肩が90度回転することができると伝えているわけです。
ゴルフスイングで左足のつま先を開くと左の壁がなくなる?
腰が回転しやすくなることで、スムーズなスイングができるようになりますが、一方でつま先を開くことで「壁」が崩れる心配もあります。
ゴルフ用語で多用される「壁」とは、「右の壁・左の壁」として使わていて、体重移動の限界点を示すものです。
ゴルフスイングのフォームには実在する壁はありませんので、あくまで仮想の壁のことになります。
右の壁は、テークバックで重心を右足の上にスライドさせたときの限界点です。
それを越えるとスエーとして、体重移動がマイナスに作用すると考えられています。
そして左の壁は、ダウンスイングでインパクトまで移動した重心が、左足を越えて逃げてしまうことを言います。
テークバックで重心が外に逃げると、ダウンスイングに入ったときに戻ることができずに、右足に体重がかかったままのすくい打ちになります。
またインパクトで重心が外に逃げるというのは、腰だけが左足よりも外に逃げるスエーになった状態です。
円のスイング軌道をイメージすれば、軸が定まり重心のぶれは最小限にとどめることができます。
左足を開くとアウトサイドインのゴルフスイングになる
ゴルフスイングの壁を崩さないようにするために、飛球線に対して足の内側を垂直にセットするという考え方があります。
つまりつま先を開くことなく、飛球線に正対したスタンスをとるわけです。
ただしこの場合は、飛球線に正対するのは右足だけで左足は開きます。
左足のつま先は開いてわずかにオープンなスタンスにすることで、ダウンスイングの勢いを逃がすこともできるようになるからです。
オープンスタンスにすると、テークバックでのインサイドの引きが浅くても、その分だけインパクト後のフォロースルーが厚くインサイドに入れることができます。
つまり飛球線に対しての半円を描くのではなく、少しだけ左に傾く半円を描くことになります。
特に身体の硬い一般ゴルファーにとっては、楽なスイングになることからミートする可能性が高くなります。
一方でアウトサイドインのスイング軌道になることから、スライスが持ち球になる可能性が高くなり、スライスの度合いが高ければ別な対策が必要になることもあると言えます。
左足を開くとボディーターンのゴルフスイングができる?
右足を飛球線に対して垂直に置くと右の壁はできますが、アウトサイドインのスイングになりカット打ちの可能性が高くなるので注意が必要です。
そこでゴルフスイングのバイブルとまで言われる、ベン・ホーガンの『モダンゴルフ』を思い返します。
彼の推奨した90度に開くスタンスの取り方は、右にスエーしなければ現在でも正しいスイングなのではないでしょうか。
今から50年以上前に最強のゴルファーと言われ、しかも曲がらないハードヒッターだったベン・ホーガンのスイングは、今でいうところのボディーターンです。
体重移動を極力なくした1軸で、フラットにスイングをしています。
体重移動がなく、捻転を主体としたスイングを生み出したのは、生死を分けるほどの交通事故によるものだそうです。
運良く復帰することはできましたが、一部障がいが残ったこともあってか、コンパクトなゴルフスイングを作り上げていくことになりました。
まさに一般ゴルファーにとっては、ピッタリなスイングなのですが、理にかなっている分だけ左足を意識したボディーターンのスイングに対する理解がないと習得することができません。
左足を開くことでスムーズなゴルフスイングができる!
そこでベン・ホーガンは、少しだけレベルを落としたスタンスを考案しています。
「ビッグ・ベン」と最大級の愛称で親しまれたプロだからこそ、ボディーターンは可能だと考えたのかもしれません。
一般ゴルファーに比べるとテークバックが大きく、この深い捻転は誰もができるものではないと考えたのでしょう。
飛球線に対して右足を垂直にして、左足だけを開くスタンスにしたのです。
もともと1軸のボディーターンを推奨していますから、右サイドの壁の対策として考えたのではなく、コンパクトなスイングを目指したわけです。
ホーガン提唱のゴルフスイングはシンプルでコンパクトですが、身体の硬さやスイングスタイルには個人差があるので、まずはスムーズなスイングができるかをチェックし、次に身体が安定すれば、そのスタンスの取り方が合っているということになります。
左足を開くことでシンプルでコンパクトなゴルフスイング
ゴルフのスタンスで左足のつま先を開くと、インサイドに振り抜くことが簡単になります。
一方で右足は飛球線に対して垂直に置いて、右の壁を作って重心が逃げないようにします。
あとはシンプルでコンパクトなスイングフォームを心がければ、スムーズなスイングができるようになるはずです。