ゴルフにおいては発展の一役を担ったとも言われる握り、つまり勝敗を賭ける行為ですが、現在は賭博と認定されていて公衆の面前ではタブーとされています。
それでも行われている、ゴルファーの握りについて考えていきます。
ゴルフにおける握りとは勝負の結果を賭けること?
楽しいゴルフに少しのスパイスを加えることでさらに楽しめると、勝敗にチョコレートのやり取りをしていたのはずっと昔のことです。
その昔は領地を賭けてまで没頭していたようで、ゴルフを楽しむというよりも賭けのための道具だったのかもしれません。
いまでは賭け事は許されない「犯罪」ですが、ゴルフは賭け事があったことで発展したとも言われているので、歴史を振り返ると全否定することはできないのかもしれません。
近代ゴルフ発祥の英国では、ゴルフの賭けをベット(bet)と言うそうです。
ベットは「餌をやって釣る」と言う意味が含まれていて、ゴルフに引き込むための餌が賭けの品と言うことになります。
日本ではゴルフの賭けのことを握りと言います。
勝負を始める前に、賭ける品について同意した「契約の握手」のことを表したものと伝わっていますが、本当の語源は分かっていません。
ゴルフの握りは勝敗を明確にするためのものであって、賭けの対象を手にすることが目的ではないというのが一般的です。
日本におけるゴルフの握りは刑法に抵触する賭け事になる
日本における握りは、あくまでもスパイスであって料理の主役ではありません。
ゴルフをそっちのけで賭けに興じているようであれば、それは単なる賭博でしかありません。
また現在のゴルフ界では公然と握りをすることを禁じているので、ゴルフ場のレストランでは伝統的な賭けの品となっていた板チョコの販売も自粛されてきています。
秘め事のような握りにはなっていますが、いまでも食事などを賭けの品にしているゴルファーは多く見受けられます。
同伴競技者に食事をご馳走することで、握りを楽しんでいたとしても、大騒ぎすることはないと思います。
一方で大企業の社員が1口200円の「馬券」で等賞を予想して楽しんでいたのですが、こちらは参加した61人(プレー40人、プレー以外21人)が検挙されています。
3回のゴルフコンペで購入した馬券は全部で537口だったそうで、金額にすると10万円程度、1人あたり1700円で1回あたり600円の金額です。
的中しても2000~3000円程度だそうですから、出資額と差し引くと賭博というほどの金額ではないように思えます。
しかし金銭を対象にした賭け事は犯罪となる可能性があることは知っておくべきです。
賭けの対象を少額にすれば握りのゴルフは大丈夫?
近代ゴルフはマッチプレーから始まったと言われていますが、ベットをするプレーヤーにとっては各ホールで勝敗を決することができるので、都合が良かったのかもしれません。
やがてゴルフはスポーツになり、プレーヤー間で金銭をやり取りしなくても、賞品(賞金)が出るようになります。
勝敗を競うのが自分ではなく「馬」となり、賭けのために馬券を購入することになります。
この賭け事を成立するためにスポンサーがつき、賞金を提供してゴルフはプロ化されていきます。
プロには莫大な賞金が入り、賭けを主催する人達にも胴元として莫大な儲けがあり、さらに馬券を購入した人にも、掛け金をはるかに超えるリターンが生まれることになります。
ただ日本でこの賭けをやったら、立派な犯罪として取締りの対象になるのです。
日本での握りは、金銭などを対象にせずに高額にならないものを握りの対象にするべきです。
ゴルフで楽しむ握りと賭けの違いはなに?
日本におけるゴルフの握りには、さまざまな計算方式があります。
計算方法とは賭けの違いであり、1ラウンドでたくさんの握りができることになります。
ただ1回のラウンドでたくさんの握りをすれば、当然対象となる賭けの品も増えることになり、金銭が絡む可能性が高くなるので注意が必要です。
単純な握りは、アウト・イン・トータルのそれぞれの合計数で競うものです。
一般的には「ナッソー」と言われていて、もっともポピュラーな握り方です。
全部負けても3つですから、負担感もなく楽しめるかもしれません。
同じような計算方法に「タテ・ヨコ」があります。
タテはスコアの合計で競い、ハンデを考慮して計算できるので難しくはありませんが、点数の開きがそのままカウントされるので、賭けの対象が金銭になる可能性があります。
ヨコは各ホールごとに競うので、いわゆるマッチプレーが基本になります。
こちらも全部負けるとチョコレート18枚になるので、タテ・ヨコを合わせると賭博の臭いがしてくるのではないでしょうか。
ゴルフのレベルの違う人と握りで賭けると楽しめない?
基本的にゴルフの握りは、同じレベルの人と競うから面白いのであって、ハンデを与えて賭けても後味は良くないことが多いようです。
ハンデを与えて勝ったら弱い者いじめみたいな気分になりますし、負ければハンデを与えすぎたと後悔するものです。
そんな格差のある相手との握りや、不特定多数の人との握りであれば、「オネスト・ジョン(Honest John」」が良いかもしれません。
いまではダブルペリアが浸透しているので、オネスト・ジョンを使う人は少なくなっていますが、ゴルファーの心理をついて楽しめる握りになると思います。
スタート前に自分のスコアを申告し、ホールアウト後に隠しホールを発表して、そこのスコアはパーで換算します。
一般的にはグロスよりも良いスコアになるのですが、申告したスコアよりもアンダーなら逆に罰金を支払うことになります。
プレー中にアンダーと分かっていても、良いスコアで上がりたいのがゴルファーの心理です。
なにより他人に厳しく自分に優しい人は、申告スコアが甘いのでアンダーになりやすいと言われていて、発表される順位や罰金で笑いが絶えない楽しめるものになるはずです。
ちなみにオネストは「正直な、誠実な」という意味です。
危険な臭いのする賭けはゴルフ本来の握りとは違う!
ゴルフにおける握りには、スマートな賭けと危険な賭けがあります。
ゴルファーの中で人気のラスベガスは、名前の通りに賭博性が高く危険なものです。
4人が2組分かれて勝負をし、スコアの小さな人が10の位で大きな人が1の位となって2桁の数字をもとに、対戦相手との点差を計算します。
1位と4位、2位と3位が組み変えながら、個々の点数を出していきますが、3打と4打で34の組と、5打と6打で56の組があった場合、1ホールでその差は22にもなってしまいます。
しかもバーディーが出ると、相手の組のスコアを反対にすることができるので、この場合なら65になって、その差は31にも開いてしまいます。
もしも100円の板チョコなら3100円分が1ホールで精算されることになり、ゴルフのスパイスの域を完全に超えているといっても良いと思います。
ちなみに刑法185条の賭博罪要件には、金額の多寡にかかわらず賭けゴルフも対象となっていて、50万円以下の罰金が科せられます。
ちょっとしたスパイスのつもりの握りが、とんでもない結果になることもあるので、主食のゴルフだけで楽しんだ方が良いのはないでしょうか。
ゴルフの伝統的な慣習である握りは賭け事だと認識すること
古くからゴルフの握りはゴルファーにとっての楽しみでもあり、チョコのやり取りは慣例化されてきました。
しかし現在では単なる賭けとして、少額であっても刑罰の対象となっています。
誰もが持つスマホによって発覚する恐れもありますから、公衆の前で握りについては語らない方が良いでしょう。