ゴルフクラブをグリップの上から握る理由と効果について

最終更新日:2018/06/24

球筋が安定しない時はゴルフスイングに問題があると考えがちですが、実はグリップの握り方に原因のあることが多いようです。

左手を上から握るストロンググリップと、方向を調整する右手の使い方が分かれば、簡単に修正することができるようになります。

今回はそんなグリップについて考えます。

ゴルフを始める時にグリップを上から握る理由とは?

近年は初心者からプロゴルファーまで、ストロンググリップで握るゴルファーが多くなっています。

このストロンググリップは、通称フックグリップとも言われていて、まさにフックボールが打ちやすいグリップの握り方です。

つまり初心者にとって悩みの種である、スライスを抑制する効果を得られるのです。

またドライバーをストロンググリップにすることで、飛距離アップが期待できるため、多くのプロゴルファーもこの握り方を実践しています。

このようにスライスを抑止し、飛距離アップが期待できるストロンググリップですが、まずはその握り方を確認してみましょう。

ゴルフボールとターゲットを結ぶ飛球線に対して、フェース面を垂直に合わせることを「スクエアなフェース」と言います。

アドレスでは、最初にスクエアなフェースをセットしてからグリップを握ります。

この時、左手を上から握るとストロンググリップになりますが、なぜ上から握るとフックボールになるのかを確認していくことにします。

グリップを上から握るとゴルフクラブはスクエアになる?

左手でグリップを上から握るとストロンググリップになり、フックボールを打ち出すことになります。

これを確認するためには、フェース面に注目します。

まずはストロンググリップを保ったまま、左手甲をターゲット側に左回転します。

インパクトの時の正しい形は、グリップを両手で挟んでから握る状態です。

本来の左手甲の向きは、飛球線に対して垂直になり、フェース面と一緒の方向に面しています。

ところがストロンググリップから左に半回転させて、左手甲をターゲットに合わせると、フェース面は左下を向くことになります。

このフェース面でゴルフボールを打つと、トゥ側が先行しているので、インパクトの摩擦でボールに左回転がかかるのです。

通常であれば、チーピンのような下向きのフックボールが飛び出します。

しかしゴルフの初心者の場合は、ダウンスイングでヘッドの切り返しができずに、ヘッドが遅れてインパクトを迎えることになります。

この時フェースが開くため、左向きのフェース面は真っ直ぐになり、スクエアなインパクトができるわけです。

ゴルフ初心者はグリップを上から握るとスライスしない?

ゴルフの初心者が、グリップを上から握るストロンググリップにすると、振り遅れによるフェースの開きをカバーして、スライス防止の効果があります。

一方で上級者の場合は、インパクトの直前でヘッドの返しが良いので、振り遅れの心配はありません。

通常通りにインパクトすると、フェース面が左を向いていますからフックするのです。

いわゆるドローボールとなり、着弾後のランもあって飛距離アップが期待できます。

またヘッドの切り返しによってヘッドスピードが加速することから、インパクトでヘッドが遅れて入ることがあります。

つまりスイング中の急激な加速は、ヘッドの重みと慣性モーメントによってヘッドのトゥ側が遅れる場合があるのです。

しかしそのフェースの開きを補正してくれるのが、インパクトでフックフェースになるように構えるストロンググリップなのです。

古くは上級者にならないと上手く切り返しができないものと言われてきましたが、技術の進歩によってゴルフクラブが進化したことから、切り返しのできない初心者でもヘッドスピードが速くなっていて、上級者だけの現象とは言えなくなっています。

初心者からプロゴルファーまで、上から握るストロンググリップで構えるのは、フェースをスクエアにするためなのです。

右手もグリップを上から握るとゴルフボールはブレない

ゴルフクラブを上から握るのは左手だけではありません。

通常ストロンググリップは、左手甲を上に向けて、下から右手を合わせるように握ります。

しかしそこから切り返しのスイングをすると、左手甲がターゲットに向くことで、シャットフェースになってしまいます。

このままインパクトを迎えると、極端なフックボールになる可能性が高くなので、抑えるために右手をかぶせるように握ります。

つまり右手もグリップを上から握ることになるわけです。

右手を横から添えることで、左手甲の左回転を防ぐことができます。

こうして左手を上から握ることでフェースの開きを防ぎ、右手も上からに握ることでフェースが閉じるのを防ぐことができるでしょう。

どうして左手の甲の回転を抑制できるかというと、右手をかぶせたことで右腕の関節が動かなくなるためです。

この状態でスイングすると、軽いドローボールを打ち出すことができます。

本来ドローボールは飛距離を稼ぐことができますが、この状態では両手首が固まっているので、コックを上手く使えていません。

そのため極端なフックは止まりますが、飛距離ダウンは否めないものとなります。

ゴルフスイングを変えずにグリップを上から握る!

飛距離が必要なドライバーショットでは、左手をグリップの上から握るストロンググリップにしたほうが良いと考えられます。

この時ドローボールを狙うのであれば、右手はグリップを下から握るようにして、曲がり具合をみながら調節していくことになります。

ユーティリティーやアイアンなど、正確な距離と方向を必要とするゴルフクラブは、右手も上から握ることで、フェース面を返す(左に向ける)ことなく、一定に保つことができるようになるため、そうしたほうが良いでしょう。

またスライスに悩んでいる場合、左手はグリップを上から握るようにして、右手は下から合わせるようにすべきです。

逆にフックで悩んでいる場合には、右手をかぶせることでフェースが返らなくなり、スクエアなインパクトができるようになります。

このようにグリップの握り方によって、フェースの向きが変わりますので、スライスやフックの原因をスイングそのものと考えずに、グリップを見直すだけで修正することができます。

ゴルフクラブを上から握る時に適合したグリップの形

ゴルフクラブを握る時、多くの場合は松山英樹プロと同じく左手人指し指の上に小指を乗せるオーバーラッピング、もしくはタイガーウッズと同じく小指を絡めるインターロッキングにしているはずです。

オーバーラッピングは手のひらを使って握るパームグリップが多く、インターロッキングは指で握るフィンガーグリップが多くなります。

フィンガーグリップでストロンググリップにすると、指先でグリップを掴むことになるため安定性がなくなります。

また右手も指で握るため、左側にかぶせる傾向が強くなるのが特徴です。

一方でパームグリップは手のひらでグリップを掴むことから、ストロンググリップをしやすいのが特徴です。

いわゆるフックグリップでドローボールを狙うのであれば、最初からグリップを上から握ることができるパームグリップにしたほうが握りやすくなるのではないでしょうか。

ただし、ドライバーと他のクラブの握り方を変えるのはオススメできません。

なるべく左手は同じ握り方で、右手のかぶせ方で調節すると安定したボールを打ち出すことができるはずです。

グリップの上から握る形を崩さずにゴルフスイングしてはダメ

左手をグリップの上から握るストロンググリップの形を崩さずにインパクトを迎えると、ヘッドの先が遅れてスライスの原因になります。

フックグリップなのにスライスしている場合は、ゴルフスイングの大幅な改造などを考えずに、左手甲をターゲットの方向になるように、握った手を左回転するだけで修正することができるのでやってみてください。