アプローチに極意があれば、知りたいと思うのは当然のことではないでしょうか。
しかしゴルフは個々のスタイルによって、技術的に求めるものが違うので、一概に「コレがコツ!」とは言えません。
そこで一流プロのショットを参考にして、アプローチの極意について考えていきます。
ローリー・マキロイのアプローチの極意を探す
アプローチの上手い人は、自分だけのスイングやタイミングを持っています。
それを「極意」と表すこともありますし、「コツ」と呼ぶこともあります。
もしも極意を身につけたければ、上手な人の技を盗んでしまったほうが早いかもしれません。
現在のゴルフ界で、アプローチが上手いと言われるプロゴルファーでは「3R」が有名です。
名前に「R」が付くローリー・マキロイ、リッキー・ファウラー、石川遼の3人は、若い時に3Rと呼ばれ、それぞれに将来が期待された選手でした。
彼らの武器は曲がらずに飛ぶドライバーとパーオン率です。
そしてグリーンを外しても、そこからのアプローチの精度は、まさに神業と領域といっても良いかもしれません。
そこで3Rの中から、まずはローリー・マキロイのアプローチの極意について探ってみましょう。
マキロイのアプローチの特徴は、アドレスの形をインパクトの形にしていることです。
逆に言うとインパクトありきのフォームなので、インパクトの形が正確であれば、アドレスを再現するだけで正しいインパクトができるわけです。
マキロイの場合には、飛球線に対してスクエアなスタンスをとり、ノーコックで右手の角度を変えずにボディーターンでスイングし、インパクト後は左肘を抜いて身体をターゲットに向けます。
リッキー・ファウラーのアプローチの極意は基本にあり
3Rのリッキー・ファウラーは、左腕に祖父の名前「田中豊」と入れている日系ゴルファーです。
ファウラーの場合、曲がらないドライバーショットと精度の高いアプローチが持ち味です。
ただし一般ゴルファーでは想像もできないアプローチの距離で、175ヤードから200ヤードと言われています。
ちなみに125ヤード以内のパーオン率は脅威の87%です。
リッキーの場合には、残り13%がリカバリーアプローチということになります。
そんなファウラーのリカバリーアプローチは、飛球線に対してスクエアなスタンスを取ります。
ボールは左足寄りに置き、ボールよりも右側でグリップを構えるハンドレイトグリップにします。
あとはフェースを開き、ヘッドを走らせて柔らかい球筋でピンポイントに落とすイメージです。
ただしファウラーにとってアプローチの極意は、スタンダードなスタイルにあります。
グリーンのセンターにピンが立っている時、ボールはスタンスの中央に置きます。
軽いハンドファーストで構えて、コックを使ったテークバックでヘッドを上げるのです。
この一般的なテークバックができることが正しいインパクト、そして理想的なアプローチの基礎となるそうです。
石川遼のアプローチの極意は右ポケットにあり!
3人目の「3R」、石川遼といえばハニカミ王子で注目された人気のプロゴルファーです。
アプローチからのチップインやドライバーを使ったセカンドショットなど、桁外れなプレースタイルは人気を後押ししています。
また人気だけではなく、グリーンジャケットにもっとも近い日本人として活躍していましたが、故障から戦線離脱。
そんな石川遼は、300ヤードの飛距離よりも、アプローチの上手い選手として認識されています。
石川遼のアプローチの極意は「右ポケット」にあります。
テークバックで右腰を後ろに引くと、腰の回転によって身体が捻転します。
この時、右側のポケットにシワができるようにすると、しっかり腰を回転させることができます。
インパクト後には身体の正面はターゲットに向けて、右ポケットは飛球線と平行になるようにします。
右ポケットが正しく動かない時は、手打ちになっている可能性が高くなっている証拠です。
アプローチのような小さなスイングでも、しっかり身体を捻転させることが大切なわけです。
なお練習では、素振りでは捻転したスイングできても、ボールを打つとできないことがあります。
アプローチの場合には、なるべくボールを打ちながら、身体を使ったスイングを身につけるようにしましょう。
松山英樹のアプローチの極意はトップの位置で距離を出す!
若手の代表格のプロゴルファー石川遼といえば、常に比較されるのは世界ツアーで活躍している松山英樹がいます。
強靭な肉体から放たれるボールの勢いは、まさに世界の一流選手と比較しても遜色のないところです。
そんな松山英樹のアプローチに対する考え方はとてもシンプルです。
世界ツアーでもアイアンショットの精度については高く評価されていますが、アプローチについては、もう少し進化させたいと考えているようです。
つまり発展途上のアプローチ法ですから、本人にとっては極意と呼べるのか微妙なところはあります。
ただ、国内ツアーでは圧倒的な強さを誇っていましたので、「進化させたい」というレベルは常人のものとは違うところなのかもしれません。
そんな松山英樹のアプローチは、フルショットのコンパクトサイズと言う考え方です。
振り幅(テークバックの位置)によって距離感を出しますが、その打ち分ける距離は5ヤード単位です。
使用するクラブの距離感をすべて確認して、あとはトップの高さを変えることで距離を調節するという、シンプルなアプローチ法にしています。
藤田寛之の7つアプローチと3つの極意
海外のマキロイやファウラー、国内の石川遼や松山英樹などのゴルファーは、まさにアスリートの身体を持ち、体型や身体能力の高さから見ても、一般ゴルファーがそのまま極意として参考にできる部分は少ないかもしれません。
その点では体型的にアマチュアゴルファーと変わらない、藤田寛之のアプローチは参考になるのではないでしょうか。
藤田は7つのアプローチを持っていて、バリエーションを入れるとさらに多くの打ち方をしているそうです。
その中で「上げる」「転がす」「ピッチ&ラン」の3つを使いこなすことが、彼にとっての極意となります。
トーナメント会場のコースセッティングは、非常に厳しいレベルに設定されているので、得意なアプローチを持つのではなく、不得意なアプローチのないように練習を重ねることが大切だという考えです。
その中で藤田独特の打ち方が、フェースを開いてのインサイドアウトのスイングです。
身体をターゲットに向けて構え、ダフることなく安全にボールを運ぶことができるアプローチ法と考えているようです。
宮里優作が気付いたアプローチ極意とは
小柄なゴルファーらしく、アプローチに関する引き出しの多い藤田寛之ですが、実はプロゴルファーの大半が、多くのアプローチ法を持っています。
ただプロが「勉強になる」と思えるアプローチショットとなると、そう多くいるわけではありません。
一時は「藍ちゃんのお兄さん」と呼ばれていた宮里優作ですが、苦労の末つかんだ勝利以降は、常に優勝争いに絡む好位置をキープし続けています。
そんな彼がベースにしているのは、お父さんが主宰する宮里道場です。
しかし彼が強くなったのは、拾うゴルフが上手くなったからだと言われています。
その先生となったのが藤田寛之です。
先生と言っても、別に手をとって教えたわけではなく、藤田自身が気付かないうちに、宮里が「盗んだ」そうです。
トーナメント会場の練習場で藤田のアプローチを見て、早めにコックする手首の使い方を習得したことが極意と感じたらしく、それからは拾うゴルフというよりもバーディーを狙った攻めのゴルフが身上になっているようです。
多くのプレイヤーの中から、もっとも自分に合っている打ち方を参考にするのであれば、それはワンポイントにあるのかもしれません。
もっと大事なアプローチの極意とは?
アプローチの打ち方は人によって異なります。
オープンに構えるか構えないか、ハンドファーストかハンドレイトか、ボールポジションも右と左が正反対の場合もあります。
自分に合ったアプローチ法を探すこと、実はそれがもっと大事な「極意」なのかもしれません。