正しいスイングをチェックする時、スイングプレーンという言葉を使うことがあります。
この言葉が生まれてすでに半世紀が経ち、現在はシャフトプレーンと言う概念が生まれています。
スイング軌道を円盤に見立てた時、さらに第3のプレーンという考え方もあるので、そんな3つのプレーンについて紹介します。
スイングプレーンからシャフトプレーンへと移行
ゴルフのスイングを表す言葉に「スイングプレーン」があります。
このスイングプレーンには色々な解釈の仕方がありますが、そのどれもが間違いではありません。
元々スイングプレーンという概念を考えついたのは、ベン・ホーガンという往年の名選手です。
時代を越えてホーガンの様々な教えは、現在の我々のゴルフスイングに活かされています。
例えばアドレスの時の基本姿勢やボールポジションなどは、道具が進化してもホーガンスタイルがスタンダードとなっていることからも分かります。
当時ホーガンは「最強のゴルファー」でしたが、現役時代スイングスタイルについて多くを語ることはありませんでした。
そうして晩年になり『モダンゴルフ』というゴルファーのバイブルを発表します。
その中にこのスイングプレーンという考え方が入っていたわけです。
ただスイングプレーンがスイングアークを指したことは分かっていますが、どこを基準にしたものかはいまだ論争の中にあります。
その論争の中でも「シャフトプレーン」こそが、真のスイングプレーンであると言う考えが広まってきています。
元祖スイングプレーンから後発シャフトプレーンができた理由
ベン・ホーガンが提唱したスイングプレーンとは、首元からボールまでに1枚のガラス板を立て掛けた状態を想定し、その板の内側でスイングをするべきと考えていたはずです。
このスイングプレーンの内側をスイングすれば、アウトサイドインやインサイドアウトのようなスイングになりません。
理想とするインサイドインのスイングでしか、このスイングプレーンの内側に納めることができないのです。
イメージとしてプレーンを持つと、スイングの軌道目標が分かりやすく、また歪みを修正しやすいと考えたのかもしれません。
ところがこのスイングプレーンという考え方を突き詰めて考えていくと、矛盾がでてくることになります。
身体の軸を中心にスイングをするのがインサイドインです。
肩からヘッドまでが180度の一直線でクラブを構えることはありません。
つまりアームシャフト角と言って、腕とシャフトには適度な角度が必要なわけです。
実際にスイングをする時、アームシャフト角の変化を考慮してスイングプレーンで考えるよりも、シャフトの角度を考慮したシャフトプレーンを意識したほうが、正しいスイングに結びつくと言う考え方が広まってきます。
スイングプレーンとシャフトプレーンは円盤の角度が違う
スイングプレーンとシャフトプレーンでは、同じスイングをしても、いわゆる円盤の角度は違います。
現在は身体の中心軸を基準にして、丸い円を描くスイングの時に、スイングプレーンが使われます。
円の角度が鋭角的であれば縦振り、緩やかであれば横振りとしています。
これら縦振りと横振りには、それぞれメリット・デメリットがあり、一概に最良の角度を決めることはできません。
ただ自分の体型や運動能力と、自分が想定する球筋を考慮した時、もっとも簡単に打てるスイングの角度があるとしたら、そのプレーンをフォームに取り入れていくことが良いはずです。
実際にスイングプレーンとシャフトプレーンを比べてみます。
スイングプレーンの基点となるのは首なので、首からヘッドまでの急角度になります。
一方でシャフトプレーンはグリップとヘッドを結ぶ線が基点となるので、緩やかな角度のプレーンとなります。
同じスイングでも、視点を変えるとスイングプレーンの角度が変ります。
指導者がスイングプレーンの角度について指摘した時、どちらを基準にしているかによって違ってくることがあるのです。
意識のスイングプレーンと実軌道のシャフトプレーン
スイングプレーンやシャフトプレーンは、スイングの角度を表すものと考えたとしましょう。
同じボールの位置であってもシャフトが短く、左手親指と腕の角度が直角に近づくハンドダウンで構えたとしたら、スイングの角度はかなり違ってきます。
つまり使用するクラブの長さやライ角などによって、適正なグリップの位置は変わってくるのが当然なのです。
それなのにプレーンの角度を見て、スイングを評価しても、あまり意味のないことになるはずです。
つまり理想とするスイングがインサイドインとした時、正しいスイングアークのイメージとして使うことはできますが、型通りにヘッドの軌跡を作り出すためのガイドラインにすることは向いていないと言えます。
練習器具の中には、大きく斜めになった円の中心に立ち、円に沿ってクラブを振ってスイングプレーンを作ると言うものがあります。
確かに初歩のスイング作りに効果はあるかもしれませんが、ライ角やシャフトの長さを考えると、その円の傾きが正しいとは限らないかもしれません。
事実スイングプレーンとは、アドレスに入る時にイメージとして思い浮かべるものであって、実際のスイングではいちいちチェックするものではありません。
1軸のスイングプレーンと軸移動のシャフトプレーン
ガイドがついたスイングプレーンの練習器具は、軸が1本であることが条件です。
実際のスイングは、テークバックで軸は右側に移動し、ダウンスイングで左側に移動します。
この体重の動きを全くしないスイングでボールを打つと、飛距離ダウンになるため、実践的なスイングとは言えないでしょう。
そのため実践に即したスイングプレーンを作るためには、想定した軌道でスイングができているかを、動画撮影してチェックしていくことです。
この時首からヘッドまでを結ぶベン・ホーガンのスイングプレーンで見るよりも、シャフトプレーンで確認したほうが、より正しいスイング軌道をチェックできます。
首とヘッドを結ぶ円盤よりも、シャフトそのものが作り出す円盤を見たほうが、正しいスイングを導くことが簡単になるのです。
ただスイングの修正を考えるゴルファーにとっては、軸を中心に正しく回転しているスイングプレーンも気になるところです。
そこで第3のスイングプレーンが生まれ、現在の主流となり始めています。
スイングプレーンやシャフトプレーンを越えるプレーンとは
ベン・ホーガンの1枚の板を首からぶら下げたスイングプレーンでは軸移動する現在のスイングに適合しないと考え、新たにシャフトが描く円盤を基準にするシャフトプレーンが生まれました。
ただどちらもスイング結果によって確認することはできても、目標となるスイング軌道をアドレスの時点で明確に示すことはできません。
そこでスイングプレーンとシャフトプレーンの中間点で、第3のスイングプレーンを考え出されたのです。
スイングチェックすると、イメージするダウンスイングがベン・ホーガンのスイングプレーンで、テークバックする時はシャフトプレーンを意識します。
ところが実際のスイング軌道はその中間を通っていることが分かりました。
もちろんシャフトプレーンなのですが、自分がイメージするスイングプレーンよりも緩い角度で、自分が想定するシャフトプレーンよりも鋭角になるのが実際のプレーンだったのです。
提唱したベン・ホーガンの時代には、ここまでスイングプレーンに意味はなかったと思います。
ただ『モダンゴルフ』から半世紀が経ち、道具が進化したのと同時にスイング理論も進化してきた結果が、この第3のスイングプレーンを産むことになったのでしょう。
スイングプレーンとシャフトプレーンを参考に第3のプレーン
スイング軌道のイメージを大事にするなら、ベン・ホーガンタイプのスイングプレーンを確認します。
テークバックを始動しながら正しい軌道を求めるのであれば、シャフトプレーンを確認します。
実際のスイングで正しい軌道をチェックするなら、第3のシャフトプレーンが向いていると言えるでしょう。